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ーコラムー
相続税の納付
税理士監修記事

相続税の非課税枠を知っていますか?

公開日:2020.5.29 更新日:2020.05.29

相続が承継人に負担をかけすぎないよう、 税法では最低3,600万円以上の「非課税枠」が設けられています。

課税されない資産の多くは相続税申告書に記載するだけで非課税枠内と認められますが、例外があることは見逃せません。また、相続人が非課税枠の存在を全く知らずにいると、過大申告による損失を出してしまう可能性もあります。

生前準備の段階で「どんな資産にどの程度の金額の非課税枠があるのか」といった知識を深めておけば、節税対策の指針を見定められるでしょう。

本記事では、7種類に大別される相続税の非課税枠について解説します。

目次

相続税の非課税枠とは?
①基礎控除(相続の全ケースが対象)
  法定相続人には「相続放棄した人」も含まれる
②死亡保険金
  労災保険の給付金の扱い
③死亡退職金
④祭祀財産
⑤公益事業用財産
  非課税の条件
  公益事業用財産の非課税枠から除外されるもの
⑥心身障害者共済制度の受給権
⑦国や地方or公益事業法人への寄付財産
  寄付財産の非課税枠から除外されるケース
まとめ

相続税の非課税枠を知っていますか?

1.相続税の非課税枠とは?

遺産は相続人にとって“単なる利益”ではなく、家族構成員を失った後の家計を補うものでもあります。

また、行政の視点に立つと、公益性の高い事業のための資産に課税するのは望ましくありません。事業承継人による廃業または営利目的への業態切り替えのきっかけになり、社会全体の損失となる可能性があるからです。

そこで税法では、遺産のうち一定額内で非課税枠とする制度が設けられており、その対象となる資産(下記7種類)を「非課税財産」と呼びます。

【計7種類】相続税の「非課税財産」

①遺産総額のうち基礎控除にあたる部分
②死亡保険金
③死亡退職金
④祭祀財産
⑤公益事業用財産
⑥心身障害者共済制度の給付金受給権
⑦国や地方or公益事業法人への寄付財産

相続税の申告に備える上で、非課税財産にはそれぞれ扱いに留意点があります。

①・②・③で非課税となる評価額には一定の上限があるほか、⑤・⑦のように「事業継続要件」等を満たさなければならない財産もあるのです。
①から順に、詳しい非課税の条件を下記で解説します。

①基礎控除(相続の全ケースが対象)

どの相続ケースでも無条件で非課税とされるのが、遺産総額のうちの「基礎控除」にあたる部分です。

基礎控除は “3000万円+600万円×法定相続人の人数”で計算され、これに対して相続財産に死亡から3年以内の贈与財産を加えた額が下回る場合、税申告は原則不要となります。

法定相続人には「相続放棄した人」も含まれる

基礎控除以下の各非課税枠では、“法定相続人”に相続放棄した人も含まれます。民法の考え方に沿って税法でも放棄者を除外してしまうと、相続放棄が「ほかの相続人に害を与える手段」になりかねないからです。

遺産に含まれる債務等が原因で相続放棄を望む場合は、以上の点を踏まえて家族全員でよく話し合いましょう。

②死亡保険金

保険金の受給権は、血縁関係ではなく法律上の“契約”に基づいて発生します。この性質に基づき、保険会社との契約に基づいて給付される「死亡保険金」は、そもそも相続財産として扱わないのが民法でのルールです。

しかし税法では、死亡保険金を「みなし相続財産」として課税対象に含めます。これだけでは被保険者と受取人の利益を害するため、合わせて“500万円×法定相続人の人数”を限度に非課税枠が認められています。

労災保険の給付金の扱い

課税されない範囲に限度が設けられているのは、任意で加入した保険による給付金のみです。

業務中あるいは通勤中に亡くなった人の家族が受け取れる「労災保険」からの各給付金(下記一覧)は、給付額によらず相続税は一切課税されません。

【参考】労災保険の給付内容(※加入者が死亡した場合)

  • 遺族一時金(遺族補償一時金)
  • 遺族年金(遺族補償年金)
  • 遺族特別支給金
  • 遺族特別一時金
  • 葬祭料・葬祭給付

ただし、受給権者が亡くなって別の遺族が請求を開始した場合は、相続税は課税されないものの「一時所得」として扱われ、確定申告が必須です。

具体例として「夫が労働災害で亡くなったあと配偶者も亡くなり、子が配偶者の未受給分を請求した」といったケースが挙げられます。

③死亡退職金

被相続人の勤務先から支払われる死亡退職金は「相続財産」として扱う一方で、死亡保険金と同様に“500万円×法定相続人の人数”を限度に非課税枠が認められています。

ここで言う“死亡退職金”には、生前の功労や社内のポジションに対して支払われる退職手当(役員弔慰金など)も含まれます。

④祭祀財産

お弔いや日常の礼拝に欠かせない「墓地・墓石」「仏壇・仏具」「神棚」などの財産(祭祀財産)は、民法と税法の両方において相続財産とみなされません。したがって、骨董品としての特別な価値がないかぎり非課税とされます。

また、 相続した土地に存在し、一族あるいは地元住民の信仰の対象となっている設備も「庭内神し」として課税されない場合があります。例えば「両親の居住用不動産を隣接する神社ごと相続した」といったケースでは、神社の設備全体とその敷地を遺産全体の課税評価額から控除できます。庭内神しは、設備とその敷地と言った外形、建立の経緯や目的などから判断されます。(参考:国税庁「庭内神しの敷地等」)

⑤公益事業用財産

社会福祉・教育・科学技術の発展などを目的とする公益事業用の財産は、評価額に制限なく非課税対象となります。ここで公益事業とみなされるものには、以下のような種類があります。

【一例】相続税の非課税対象となる“公益事業”とは

  • 社会福祉事業(老人ホームや生活扶助施設など)
  • 更生保護事業(刑事犯の社会復帰支援事業など)
  • 学校・幼稚園の運営事業
  • 宗教や慈善活動を目的とする事業
  • 図書館・博物館・美術館などの運営事業

非課税の条件

ただし「節税のために公益事業を営めばよい」というわけではありません。
公益事業としながら特定の人物に対して利益を図ったり、公益事業とは名ばかりで具体的なビジョンがなかったりする場合には、その財産は非課税枠から除外されるからです(下記参照)。

公益事業用財産の非課税枠から除外されるもの

●特定の人物に対する「特別の利益」(運営者が個人または“人格のない社団”※の場合)
…親族などの特定の人物に対し、運営者との関係性に基づいて支給した金銭等の財産にあたります。給付金・提供した居住用不動産・運用を任せた余裕資金などが該当します。

人格のない社団とは…「町内会」や「〇〇を支援する会」など、法人登記されていないものの多数決の原則で行動する団体を指します。

●公益の用に供することが確実でない財産
…公益事業用財産として認められるには、その財産の利用に関する具体的計画を、相続開始時点までに立てなければなりません。左記計画のないものは、非課税枠から除外されます。

●2年の事業継続要件を満たさなかった財産
…承継人による公益目的の利用は「財産取得の日から2年を経過した日」まで維持されなければなりません。万一2年経過時に事業継続要件を満たしていなかった場合、非課税枠がなかったものとして相続税の修正申告を行う必要があります。

⑥心身障害者共済制度の受給権

「心身障害者共済制度」とは、障害者向けの任意加入保険の一種です。
障害を持つ人の保護者が各地方自治体で加入手続きを行い、以降月々の掛金を納めることで、保護者の死亡に際して障害者本人への年金支給が開始されます。

本制度の年金受給権は、その金額や支給期間に関わらず相続税の非課税対象です。また、掛金そのものも所得控除の対象となります。

⑦国や地方or公益事業法人への寄付財産

相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月後)までに、政府・地方自治体・公益事業法人に寄付した財産は、評価額にかかわらず課税されません

ただし、公益事業法人に寄付する場合は、前章⑤の相続関係者が事業運営者である場合と同様に、実態として公益寄与が継続していることが前提です。

寄付財産の非課税枠から除外されるケース

  • 寄付の時点でまだ法人設立がない場合
  • 寄付を受けた法人から、寄付した本人または親族が「特別の利益」を得ている場合
  • 事業継続要件(寄付を受けた日から2年)を満たさなかった場合

※公益事業法人に寄付する場合

まとめ

遺産総額や承継する事業の内容により、非課税枠を組み合わせることで納付額をゼロに近づけることも可能です。下記で改めて「非課税財産」のポイントを要約します。

基礎控除
…遺産総額のうち「3,000万円+600万円×法定相続人の数」まで非課税になる
→“法定相続人”には放棄した人も含まれる

死亡保険金・死亡退職金
…給付額のうち「500万円×法定相続人の数」まで非課税になる
→労災保険からの給付金は全額非課税

祭祀財産
…墓地や墓石・仏壇仏具・神棚や、相続した土地の敷地内にある「庭内神し」は非課税になる

公益事業用財産または寄付財産
…運営事業が「特定の人物の利益を図っていない」「具体的計画がある※」「2年間の事業継続要件を満たせる」ことを前提に非課税になる
※公益事業法人の寄付財産の場合、寄付時点で設立済みであることが要件

心身障害者共済制度の受給権
…地方自治体で加入し掛金を支払っていた被保険者(=障害者の保護者)が亡くなった場合、障害者への給付金は非課税になる


非課税財産の対象にならない資産でも、相続状況に応じた各種税額控除(配偶者控除・障害者控除・小規模宅地等特例など)を適用することで課税額カットが望めます。

承継した財産を有効活用できるよう、申告の前のなるべく早い段階で税理士にアドバイスを求めてみましょう。

この記事を監修した税理士

日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬

2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ

・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数

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日本クレアス税理士法人 相続サポート

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