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ーコラムー
相続税の基本

遺言書と法定相続分はどちらが優先される?

2018.4.20

遺言を残すことで、被相続人が自身の遺産の分配について指定できることはご存知のことと思います。遺言は故人の最後の遺志ですから相続人はこれを尊重しなければなりません。

一方で、民法にも法定相続分として分配割合が規定されています。

遺言書の内容と法定相続分が異なるケースではどちらが優先されるのでしょうか。

なお遺言書については近い将来法改正がされる可能性があり、財産目録については自筆でなくても良しとすることや法務局による遺言書の保管制度も検討されています。 今回はこの遺言書の優先度について解説します。

目次

1.そもそも法定相続分とは?
2.相続では遺言が優先する
3.一定の相続人に認められている遺留分に注意
4.遺留分は請求しなければ確保できない
5.兄弟姉妹には遺留分が無い
6.まとめ

そもそも法定相続分とは?

そもそも法定相続分とは?

法定相続分というのは、民法上で規定されている遺産の分配割合のことです。

親族間で遺産を分配するにあたって、被相続人との関係の深さを考慮して「公平性」を考えて各相続人の取り分を規定しています。

被相続人が遺言を残さなかった場合には相続人同士が話し合って遺産を分配しなければなりませんが、皆、遺産を多く貰いたいために衝突することが予想されます。法定相続分はそのような場合に一定の「指標」として機能し、どのように分配するのが公平かという道筋を示してくれます。

相続では遺言が優先する

もし被相続人が遺言書を残していた場合は、法定相続分よりも遺言書の内容が優先されます。

ですから被相続人となる人は法定相続分にとらわれずに、遺産の分配割合を考えることができます。

なぜ法律よりも遺言書が優先されるのかというと、我が国の法体系における私的自治の原則所有権絶対の原則が働くからとされています。

前者は、私人間の関係については原則として国家はできるだけ干渉しないというもの、後者は自分の所有する財産の扱いについては何者の干渉も受けず自由に決めることができる、というものです。

生前の所有財産の扱いについて、遺言書でどのように指定するかも個人の自由ということで。 ですから遺言書がある場合には、国が決めた法定相続分より優先されることになるのです。

ただし法定相続分とは別の問題として、実際には遺言書が残されていたとしても残された遺族は別途遺産分割協議を行って、相続人全員の合意が取れれば遺言の内容とは異なる分配内容にすることは可能です。

例えば、相続税の納税資金が足りなくなる相続人が出そうな場合に、その者に現預金を多めに分配するなど、現実に即した微調整も可能です。

さてここまでで、遺産の分配は基本的に被相続人が自由に決めることができる、ということがわかりました。しかし残される家族の中には、被相続人の遺産がないと路頭に迷ってしまう人がでてくるかもしれません。

ここまで説明したとおり、基本的に自身の残す遺産の分配は自由に決めることができるわけですが、完全に自由としてしまうと、例えば愛人に全財産を残すことも可能となり、残された家族が路頭に迷ってしまうかもしれません。

そこで民法では、一定の相続人に「遺留分(いりゅうぶん)」という最低取り分を保障しています。この「遺留分」について詳しくみていきましょう。

一定の相続人に認められている遺留分に注意

一定の相続人に認められている遺留分に注意

遺留分が侵害される遺言が残された場合には、所定の手続きをとることで遺留分を取り戻すことができるようにしています。 全相続人分の総体的遺留分としては次のようになります。

    • 直系尊属のみが遺留分権利者となる場合・・・相続財産の三分の一
    • 遺留分権利者が上記以外の場合・・・相続財産の二分の一

相続人が一人の場合は上記がそのまま自身の遺留分になりますが、遺留分権利者が複数いる場合には、上記の総体的遺留分に各自の法定相続分をかけて遺留分を算出します。

例えば子ども二人が相続人となる場合、各自の法定相続分は均等に二分の一となります。 この場合総体的遺留分二分の一に各自の相続分の二分の一を掛けることになりますから、各々遺産の四分の一を遺留分として確保できることになります。

遺留分は請求しなければ確保できない

最低取り分を保障する遺留分ですが、遺言書が遺留分を侵害する内容となっていた場合、そのままでは遺言の方が優先されます。

もし遺留分を確保したいのであれば、他の相続人等に対して「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」を行って遺留分を取り戻す必要があります。通常、内容証明郵便など証拠が残る手段で相手方に請求します。

これを踏まえると、遺言を残す側となる人はあらかじめ遺留分を侵害しないような分配割合にすることが望まれますが、理由があって遺留分を侵害する内容とする場合はその理由もしっかりと遺言書に記載するか、事前に相続人予定者と話し合って了解を得ておくなどの工夫をすると良いでしょう。

兄弟姉妹には遺留分が無い

ところで、遺留分権利者となれるのは法定相続人のうち「配偶者」「子」「直系尊属」のみです。

つまり被相続人の「兄弟姉妹」には遺留分がありません。

遺留分は遺族の生活保障の意味合いも持つものであるため、通常独立して生活しており被相続人からの援助なしで暮らしていると考えられる兄弟姉妹には遺留分は保障されていないのです。

まとめ

今回は遺言書と法定相続分はどちらが優先されるのか見てきました。

法定相続分は強制力のない指針という位置づけですから、遺言書がある場合は遺言の内容が優先されることになります。

ただし一定の相続人には「遺留分」という最低取り分がありますから、これを踏まえて遺言の内容に配慮する必要があります。