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ーコラムー
相続税の控除と特例
税理士監修記事

「配偶者居住権」の創設で変わる配偶者の相続

公開日:2019.3.27 更新日:2023.03.09

税制や社会保険など、各方面の制度上で「配偶者」という立場は特別な配慮を受けることができるようになっています。 相続分野でも同様ですが、個別ケースによって事情が複雑に絡み合う相続においては配偶者が思わぬ不利益を被る事例も存在します。

今般の法改正ではその点に対する手当てがいくつかなされており、その中の一つに「配偶者居住権」の創設があります。 この章では改正点のうち「配偶者居住権」に焦点をあてて解説していきます。

目次

1.相続法の改正は約40年ぶり
2.新設された配偶者居住権とはどんなもの?
3.配偶者居住権の評価方法や取得方法、期間について
4.自宅を生前贈与した場合の取扱いの変更
5.最新の情報は税理士に確認を
6.まとめ

1.相続法の改正は約40年ぶり

「配偶者居住権」の創設

民法は民事法分野の核となる法律で膨大なルールが納められている法律です。 一部のルールを一旦変更すると関連のある各方面に大きな影響が出るため、民法は簡単に内容を改正するのに不向きな性質を持ちます。

今回の改正は関係する各分野の専門家による入念な準備の元に行われましたが、民法の中の相続法分野でもいくつかの改正が出たため、今後大きな影響がでることが予想されます。  

2.新設された配偶者居住権とはどんなもの?

例えば夫婦の一方が亡くなるケースをイメージすると、残される配偶者に自宅を残してあげようと考える人がいますね。

遺言書で自宅を配偶者に相続させるように指定できますが、実際には相続分の取り分調整などの事情で自宅を手放し現金化しなければならないケースなど、確実に「住処」を残してあげることが難しいケースもあります。 

そこで自宅の「所有権」とは別に「配偶者居住権」という権利を創設して、これを配偶者に取得させることで当該配偶者が死亡するまでの終身、あるいは一定期間の居住権を確保できるように手当てがなされました。

自宅の所有権は「負担付所有権」として子など別の相続人が取得しますが、配偶者は無償で自宅を利用できます。 

3.配偶者居住権の評価方法や取得方法、期間について

配偶者居住権は被相続人が遺言で指定したり、相続人同士の遺産分割協議で話し合うことで配偶者に取得させることができます。

居住権の期間は終身でも良いですし、一定期間を定めることも可能です。 配偶者居住権の評価額は自宅不動産の現在価値から上述した「負担付所有権」を控除したものです。

負担付所有権の評価が少し難しいですが、法制審議会の事務当局が示した考え方では、負担が消滅するまで自由利用が制限される分の収益可能性を割り引いて価値を算定することができるとしています。詳しくは税理士等の専門家に確認するようにしてください。

配偶者居住権に係る法改正の施行日は2020年4月1日の予定です。  

4.自宅を生前贈与した場合の取扱いの変更

これまでは、配偶者に自宅を生前贈与した場合、贈与税の配偶者控除を利用した分の価額は相続税の計算上は相続財産への持ち戻しの対象にはなりませんが、民法上は「特別受益」とみなされるため相続財産に持ち戻しされることになり、遺産分割協議あるいは遺留分侵害額(減殺)請求の対象にされることになっていました。

つまり遺産の配分という民事上においては、自宅の生前贈与は配偶者にとっては単に遺産を先払いされただけということになるので、被相続人が配偶者に多くの遺産を残したいと考えて実行したとしてもその効果はなかったのです。

この点について、改正によって婚姻期間が20年以上の夫婦間でなされた自宅の生前贈与については民事上も持ち戻しの対象外となり、遺産分割の対象から外れることになりました。

5.最新の情報は税理士に確認を

税制の改正は毎年行われますが、常に最新の情報を基に相続対策を練る必要があります。 加えて、今回の法改正は税制だけでなく民法の改正も絡んでいるのでかなり複雑になっています。

税理士は税務が絡む改正情報は常にキャッチしていますので、税制や法律の改正があった時には必ず税理士に確認して相続対策に取り組むようにしてください。  

6.まとめ

今回は相続法の改正点の一つ、「配偶者居住権」に焦点をあてて見てきました。 ポイントは

  • 所有権と居住権を分離して、配偶者の住処を残しやすくなったことと、
  • 評価額を下げる効果があるためその分遺産の取り分を増やして生活資金を残してあげることが容易になった点

です。 自宅の生前贈与に関する特別受益の見直しと合わせて、配偶者への手当てが拡充された形です。 配偶者に住居を残してやりたいという願いが叶えられやすくなったわけですが、実際の相続対策は個別の状況をよく吟味しなければ思わぬ不利益を被る可能性があります。 時間をかけて専門の税理士と相談しながら対策を講じるようにしてくださいね。  

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