目次 |
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1.相次相続とは? |
相次相続とは?
「相次相続」とは相次ぐ(あいつぐ)相続という意味で、一定期間に連続して発生する相続のことを言いますが、読み方としては「そうじそうぞく」と読みます。
短い間に相次いで相続が起きると相続税の負担が一気に大きくなってしまうので、税法ではそのような時に負担を軽減する相次相続控除が準備されています。
例えば、「自分」を軸として考えた場合、祖父が亡くなり父が相続し相続税を負担した後ですぐ、さらにその父が亡くなり自分が相続してまた相続税が発生、というようなケースです。
そのような時に「自分」が負担する税額から一定額を控除できるというのが本記事のテーマになります。次の項で詳しく見てみましょう。
相次相続(そうじそうぞく)控除とは?
10年以内に2回以上の相続が起きた時、最新の相続における相続税負担者の相続税額から一定額を控除できるものです。
その一定額の算出が少し難しいのですが、計算式を説明すると以のようになります。
「相次相続控除額=A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10」
A=第二次相続の被相続人(前述の例では父)が負担した相続税額
B=第二次相続の被相続人(同父)が第一次相続で取得した相続財産の価額
C=第二次相続おける相続財産の総額
※C>B-Aの時はC=B-Aとします
D=第二次相続で相次相続控除を受ける相続人(前述の例では「自分」)が取得した財産の価額
E=第一次相続から第二次相続までの年数(1年未満は切り捨て)
これを見ると難しく感じますが、イメージのアウトラインとしては第一次相続の際に支払った相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した額ということになります。
こちらでは具体的な計算事例も紹介していきます。合わせて相次相続控除の対象者と条件も確認していきましょう。早速見ていきましょう。
相次相続控除の対象者と必要条件は?
まず、相次相続控除の適用対象者は被相続人の「相続人」でなければなりません。従って、遺言書の指定により財産を遺贈された者など相続人以外の者は対象になりません。
また、相続放棄をして一定の生命保険金を受け取る者も相続人ではないので対象外となります。 条件としては、
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が挙げられます。従って、第一次相続において控除施策を活用するなどして税負担が発生していない場合は、第二次相続で本施策を活用することができません。
例えば第一次相続で配偶者の税額軽減など大きな減税措置を使って税負担が無かった場合は、第二次相続でこの控除を使うことはできなくなります。
相次相続控除の計算事例
ここからは計算式を使って、計算例を確認してみましょう。
「相次相続控除額=A×C/(B-A)×D/C×(10-E)/10」
A=第二次相続の被相続人(前述の例では父)が負担した相続税額
B=第二次相続の被相続人(同父)が第一次相続で取得した相続財産の価額
C=第二次相続おける相続財産の総額
※C>B-Aの時はC=B-Aとします
D=第二次相続で相次相続控除を受ける相続人(前述の例では「自分」)が取得した財産の価額
E=第一次相続から第二次相続までの年数(1年未満は切り捨て)
ここでは 祖父(一次相続の被相続人) → 父(二次相続の被相続人) → 自分(二次相続の相続人) という流れで、10年以内に祖父と父が連続して亡くなったという構図で考えていきます。
下記のカッコ内は上述したA~Eまでを指します。
- 第一次相続で父が負担した相続税額(A)が600万円
- 第一次相続で父が取得した相続財産の価額(B)が6,000万円
- 第二次相続における相続財産の総額(C)4,000万円
- 第二次相続で自分が取得した相続財産の額(D)が3,000万円
- 祖父が亡くなってから父が亡くなるまでの期間(E)が3年10か月
- ※1年未満は切り捨てなので3年となります
以上の数字を仮定して、これを計算式に当てはめると
600万円×4,000万円/(6,000万円-4,000万円)×3,000万円/4,000万円×(10-3)/10
となり、相次相続控除額の数字は630万円となります。 従って、今回の父親の相続において自分が支払う相続税額から当該額(630万円)を差し引いて計算することができるということになります。
ちなみに、相次相続控除を使って相続税の計算をした結果、相続税の支払いが不要になった場合でも、税務署に対する申告手続きは行わなければなりませんので注意してください。
まとめ
さて今回は相続税の負担を減らすことができる控除施策のうち、相続が10年以内に連続した場合に活用できる「相次相続控除」について見てきました。
注意点としては対象者があくまで相続人に限られるので、それ以外の受遺者などは利用することができないことと、第一次相続で相続税の税負担が発生していない場合も利用することができません。
また計算が少しややこしい為とっつきにくいのが難点ですが、最低でも「10年以内に2回以上の相続」というポイントを押さえておき、こういう時に使える控除策があったはずだ、と気づけるようにしておきましょう。
後の実際の減税額の算出は、必要に応じて税理士等の専門家に相談すれば適切な回答がもらえます。
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