実家・空き家を相続したらどうする?相続税・3,000万円特別控除・売却の判断を税理士が解説【2026年版】

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表 税理士 公認会計士

本記事は、日本クレアス税理士法人(相続専門の税理士)の監修のもと作成しています。
親が住んでいた実家や空き家を相続したものの、「保有すべきか売却すべきか」「相続税はいくらかかるのか」「使える特例はあるのか」と悩む方は少なくありません。判断を誤ると、余計な税金や管理コストがかかってしまうこともあります。
この記事では、実家・空き家を相続したときにまず判断すべきこと、相続税の考え方、売却時に使える「3,000万円特別控除」、放置するリスクまで、税理士の視点でわかりやすく解説します。
目次
1. 実家・空き家を相続したら最初に判断すべき3つのこと
実家や空き家を相続したら、まず「この不動産をどうするか」という方針を早めに決めることが大切です。選択肢は大きく分けて次の3つです。
① そのまま保有する(住む・貸す)
相続人が自分で住んだり、賃貸に出して活用したりする方法です。思い出のある実家を残せる一方、固定資産税や維持管理の負担が続く点に注意が必要です。
② 売却する
使う予定がない場合は、売却して現金化する方法が現実的です。後述する「3,000万円特別控除」などの特例を使えば、売却時の税負担を大きく抑えられる可能性があります。
③ 相続放棄する
明らかに価値が低く、負担だけが残る「負動産」の場合は、相続放棄も選択肢になります。ただし相続放棄は預貯金などプラスの財産も含めてすべて放棄することになるため、慎重な判断が必要です。詳しくは空き家や田舎の家は相続放棄できる?の記事もあわせてご覧ください。
2. 実家・空き家にかかる相続税の考え方
不動産を相続すると、その評価額に応じて相続税の対象になります。建物は固定資産税評価額、土地は路線価方式などで評価され、現金より評価額が低くなるのが一般的です。
さらに、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」によって土地の評価額を最大80%減額できる場合があります。実家を相続する際に税負担を大きく左右する重要な特例です。
具体的な税額の計算方法は親名義の家の相続税はいくら?で詳しく解説しています。また、家族構成別のおおよその相続税額は相続税の早見表からすぐに確認できます。
3. 売却時に使える「3,000万円特別控除(空き家特例)」とは
相続した実家・空き家を売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を使えると、売却益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できます。これにより、売却時にかかる所得税・住民税を大きく軽減できる可能性があります。
主な適用要件
この特例には、いくつかの要件があります。代表的なものは次のとおりです。
- 被相続人が亡くなる直前まで一人で住んでいた家であること(原則)
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家屋であること
- 相続後に貸付け・事業・居住に使っていないこと
- 売却時に一定の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊して売却すること
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
要件は細かく、年度によって取り扱いが変わることもあるため、適用できるかどうかは税理士に確認することをおすすめします。
「取得費加算の特例」との比較・併用
相続した不動産を売却する際には、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」もあります。ただし3,000万円特別控除との併用はできないため、どちらが有利かを試算して選ぶ必要があります。詳しくは取得費加算の特例とは?をご覧ください。
4. 空き家を放置するリスクと判断のポイント
「とりあえず保有しておこう」と空き家を放置すると、次のようなリスクが生じます。
- 固定資産税・都市計画税などの維持コストがかかり続ける
- 管理不全で「特定空家」に指定されると、固定資産税の軽減が外れて税額が最大6倍になる場合がある
- 老朽化による倒壊・近隣トラブルのリスク
- 時間が経つほど売却価格が下がりやすい
保有・売却・活用のどれを選ぶかは、立地・築年数・将来使う予定・維持コストを総合的に見て判断します。特例には期限があるため、「使う予定がないなら早めに売却を検討する」のが基本的な考え方です。相続後の手続き全体の流れは親が亡くなったらやること一覧で確認できます。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 相続した実家に誰も住まない場合、すぐに売った方がよいですか?
使う予定がないなら、早めの売却検討がおすすめです。3,000万円特別控除は相続開始から3年を経過する年の年末までという期限があり、放置すると維持費もかかり続けるためです。
Q2. 3,000万円特別控除は誰でも使えますか?
いいえ。被相続人が一人暮らしだったこと、1981年5月31日以前の建物であること、耐震基準を満たすか取り壊して売ることなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。
Q3. 小規模宅地等の特例と3,000万円特別控除は両方使えますか?
適用される税金が異なります。小規模宅地等の特例は相続税、3,000万円特別控除は売却時の譲渡所得税に対するものなので、要件を満たせば両方を活用できるケースもあります。
Q4. 空き家を相続放棄すれば管理しなくてよいですか?
相続放棄をしても、次に管理する人が決まるまでは一定の管理義務が残る場合があります。また預貯金などプラスの財産も放棄することになるため、慎重な判断が必要です。
Q5. 実家を売るか貸すか迷っています。判断基準は?
立地・需要・築年数・維持コストが判断材料です。賃貸需要があり建物がまだ使えるなら賃貸、需要が乏しく特例期限が近いなら売却が有力です。税負担も含めて税理士に試算してもらうと判断しやすくなります。

6. まとめ
実家・空き家を相続したら、まず「保有・売却・相続放棄」のどれを選ぶかを早めに判断することが大切です。売却する場合は3,000万円特別控除や取得費加算の特例で税負担を抑えられる可能性がありますが、要件や期限が細かく、有利な選び方は状況によって異なります。判断に迷ったら、相続専門の税理士に早めに相談することをおすすめします。

監修
中村亨
日本クレアス税理士法人 代表
税理士
公認会計士
2002年8月に会計事務所として創業、2005年には税理士事務所を開業し、法人や個人のお客様の会計・税務の支援をする中で、「人事労務の問題を相談をしたい」「事業承継を検討している」といったお客様のニーズに応える形でサービスを拡大し続け、現在では社会保険労務士法人など複数の法人からなるグループ企業に成長してきました。お客様に必要なサービスをワンストップで提供できることが当社の強みです。





