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ーコラムー
不動産の相続
税理士監修記事

土地の減額評価を使いこなして実現する相続税の節税対策

公開日:2019.4.17 更新日:2022.07.12

相続税の難易度が高いのは相続財産の評価方法が難しいことが理由の一つですが、中でも土地の評価は特に難しいとされています。

ただ、土地の評価は相続税の節税対策として注目度も高いため、この章では土地の減額評価に焦点をあてて解説をしあmす

目次

1.相続財産の評価とは?
2.土地は減額評価が可能
3.減額評価ができる土地の具体例
4.貸宅や貸家建付地、定期借地権なども評価を下げることができる
  ①貸宅地
  ②貸家建付地
  ③定期借地権や底地
5.土地の減額評価は専門家でも難しい
6.まとめ

1.相続財産の評価とは

相続した財産にどれだけの価格・価値があるかを計算することを「評価」と言います。

現預金はそのままの金額で評価できますが、被相続人が残す相続財産は現預金の他にも不動産や有価証券など様々な種類があります。そしてそれらは税の計算の為に独自のルールで数値化する必要があります。

国が財産別に細かい評価方法を決め、このルールに従って評価することで、全国どこで相続が起きても皆が同じ基準に従って相続財産を評価することができ、これによって税負担の公平性が担保されているのです。

相続が発生したらまずやらなければならない、相続財産の把握とその計算方法について、こちらのコラムをご参考ください。「相続財産の種類とは?相続した財産額の計算方法まとめ

2.土地は減額評価が可能

相続財産のうち土地については、独特で複雑な評価ルールが設けられています。

税率をかける対象である相続財産は評価額が低いほど税額が小さくなり税負担が減りますが、土地は使いづらさなどを考慮して特別に減額評価をすることができるルールがあります。

なお、土地の評価を下げるといってもあくまで相続税の計算上の補正であって、市場価値が下がるわけではありません。

この独特の減額評価のルールを使いこなすことは、相続税の試算や相続税の節税を考える上で大変重要であり、絶対に無視できないものです。

3.減額評価ができる土地の具体例

■ 不整形地・・・土地の形がいびつで利用勝手が悪い土地

■ 間口狭小土地・・・道路に面する土地の間口が狭い土地

■ 無道路地・・・道路に面していない土地

■ がけ地・・・斜面を含む土地

■ 奥行が長大な土地・・・間口に比して奥行きが長大な土地

■ 忌み地・・・墓地などの施設が近くにある土地

■ 線路沿いの土地・・・騒音が激しい線路沿いの土地

■ 地積規模の大きな宅地(※)・・・三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地

上記の他にも減額要素となるものは色々あり、これにしっかりと着目できれば土地の評価額を下げることができます。

「不整形地」については、その評価方法や計算例の詳細を、具体例を挙げながら解説しています。「不整形地とは?知っておきたい評価額の計算方法や補正率について解説!」をご参考ください。

※平成29年度税制改正で、それまであった「広大地」の減額評価が廃止となり、「地積規模の大きな宅地」となりました。地積規模の大きな宅地の評価は、課税時期が平成30年1月1日以降の場合に適用されます。参考コラム「平成29年度税制改正~「『広大地』の評価に関する改正」」(2017.6.26公開)

4.貸宅や貸家建付地、定期借地権なども評価を下げることができる

①貸宅地

住宅等を建てるための土地を人に貸している場合のその土地を貸宅地といいます。

土地所有者の自由利用が妨げられる分、評価を下げることができます。

②貸家建付地

アパートやマンションなど、賃貸の用に供する建物を建てている土地を貸家建付地といいます。

この場合も貸家に住む借家人がいるために土地所有者の自由利用が妨げられる分、評価を下げることができます。

③定期借地権や底地

借地借家法の適用を受ける定期借地権も相続財産ですが、人から借り受けている土地ですので評価額は下がります

またその土地の所有者側は定期借地権を設定した土地の価額を底地として評価しますが、地権者としての自由利用が妨げられる分評価を下げることができます。

5.土地の減額評価は専門家でも難しい

上で見てきたように土地については色々な目線で減額評価ができる要素がたくさん含まれているので、このルールを使いこなせればかなりの税負担を軽減できます。

相続財産の中でも不動産は特に高額になりますから、減額できた場合の恩恵も大きくなります。

ただ、このルールは悪く言えば細かすぎるため、正確に使いこなすのは至難の業です。素人の方はもちろんですが、同じ税理士でも相続分野に特に力を入れている者以外は正確に使いこなすことは難しいのです。

知り合いの税理士に頼んで一度相続税の申告納付をした後で、相続税に詳しい税理士のチェックを受けたら相続税を払い過ぎていたことに気づく、というケースは実際に多くあります。

相続税を払い過ぎてしまった場合、「更正の請求」という手続きを行うことで税金の還付を受けることができます。相続税を払い過ぎたことにより国から通知が来ることはありません。自ら主体的に調査し動くことが必要であり、また手続きの手間がかかります。

相続税の申告、その後に更正の請求の手続き、といった二度手間を踏まないためにも、相続税については必ず相続に力を入れている税理士に相談するようにしましょう。

関連記事:納め過ぎた税金を取り戻す手続き~更正の請求とは?

関連記事:セカンドオピニオン ~ 申告内容の見直し ⇒ 還付申告

6.まとめ

この章では相続財産の評価と土地の減額評価について見てきました。

相続税の計算のためにすべての遺産を数値化する必要があり、土地についてはその過程で減額評価できる要素がたくさんあります。ただしとても細かいルールになっているので、一般の方が使いこなすのはほぼ不可能です。

同じ税理士でも特に相続分野に力を入れている者でなければ取りこぼしが出る可能性が高いので、土地の評価に関した相続税の相談は必ず相続に強い税理士に相談してください。

この記事を監修した税理士

日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬

2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ

・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数

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日本クレアス税理士法人 相続サポート

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