被相続人の財産を維持したり増やすことに貢献をした相続人は、「寄与分」を取得することができる可能性があることをご存知でしょうか? 実際に家庭裁判所で「寄与分」が認められることは難しいと言われることも多いですが、まずは「寄与分」の基礎を理解していきましょう。
寄与分とは?
寄与分とは、相続分に加算できる貢献に相当する金額のことです。 亡くなった方(被相続人)に対して、看護や介護をしてきた、家業や事業を手伝い財産維持・形成に貢献したなど、貢献の程度に相当する金額を相続分に加算できます。 寄与分が認められる場合とは、次のような場合です。
- 家の事業を手伝い、財産の増加や維持のために尽力した
- 療養介護を長年手伝い、介護人やヘルパーを雇わずにすむことで、財産の流出を防いだ
- その他の方法で、被相続人の財産の維持や形成に貢献した
寄与分に相当する金額の算出方法
寄与分は、原則として相続人同士で話し合って決めることになります。 しかし、相続時はただでさえ、葬儀や各種の名義変更、相続税申告の準備等、期限のある手続きに追われています。
そうした時期に兄弟のなかで、「本当にそんな時間、親の介護をしてきたのだろうか?」、「算出された金額が高過ぎないか?」といった兄弟間の認識のズレが生じやすいのが現実です。 話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に申し出て審理で決めてもらうことになります。
民法では「特別な寄与」があった時のみ、寄与分を認めています。 家族として当然の行為だとされると、寄与分とは認められません。 そこで被相続人が遺言書に寄与分について言及し、書き残すと、他の相続人も認めやすくなります。
寄与分の具体例
お父様と一緒に事業を営んでいたご長男様からの、寄与分に関する質問で具体的に寄与分について確認してみましょう。
ご長男様からは、以下のとおり質問を受けました。 「私は長男で、弟と妹がいます。 私は父と共に弁当屋で20年間働き、家業を守ってきました。 そうしたことに対する対価は、相続時に考慮されるのでしょうか?」 詳細の状況は以下のとおりです。
相続人 | 長男・次男・長女 ※配偶者は故人 |
相続財産 | 4,000万 ※相続財産は弁当屋の土地で、金融資産はほとんどなし |
長男寄与分 | 1,200万 ※長男は家業の弁当屋を20年間手伝う |
上記のケースの場合、長男・次男・長女で話し合いを進めた結果、月5万円を次男と長女に認めてもらいました。 寄与分を算出するにあたり考慮したのは下の事柄です。
- 長男は、弁当屋の事業の発展に貢献した
- 父親と共に暮らすことで、父親の生活の面倒をみた
- 長男の給与はそれほど多くなかった
- 父親と共に暮らすことで、生活費や家賃は安く済んだ
寄与分の金額の計算の方法としては、「寄与分=毎月5万円×12ケ月×20年間=1,200万円」とし、以下の流れでそれぞれの相続分を計算しました。
- 相続分から寄与分を引く 4,000万-1,200万=2,800万
- 法定相続分に従い計算する 2,800万×1/3=933万
- 長男の寄与分を加える 1,200万+933万=2,133万
上記のケースの場合、このような相続金額となりました。
- 長男の相続金額⇒2,133万円
- 二男、長女の相続金額⇒それぞれ933万円
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