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ーコラムー
遺産分割
税理士監修記事

遺産分割とは?預金がある場合の遺産相続分割協議書について解説!

公開日:2020.3.9 更新日:2020.09.14

葬儀費用や当座の生活費のためにも、亡くなった人名義の預金の払戻し(または名義変更)を最優先にしたいと考える家庭が多いのではないでしょうか。

銀行で必要書類を提出することで対応してもらえますが、相続人作成の遺産分割協議書が必要となるケースは複雑です。

本記事では、預金相続で遺産分割協議書の作成を要するケースに焦点を当て、協議のやり方から銀行ごとの手続き方法まで順に解説します。

【この記事で分かること】

  • 預金相続時の手続き…遺産分割協議書が必要になるケース・銀行ごとの手続き方法
  • 預金相続時の遺産分割協議のやり方…出金(払い戻し)までの流れ・預金の取り分の決め方
  • 遺産分割協議書の書き方…預金部分の文面ひな型あり
目次

1.亡くなった人の口座から出金する方法
2.遺産分割協議書が必要なケース・必要書類とは?
  2‐1.遺産分割協議書が必要となるケース
  2‐2.ケース①:遺言書がない
  2‐3.ケース②:遺言書はあるが遺産分割協議を開く必要がある
3.遺産分割協議書が不要なケースとは?
  3-1.【Point】遺産分割前に一部払い戻し可
4.預金の遺産分割協議のやり方とは?
  4-1.【Point】遺産分割協議を始める前にやるべきこと
  4-2.ポイント1:預金の分割方法
  4-3.ポイント2:相続人に未成年者・被後見人がいる場合
5.預金がある場合の遺産分割協議書の書き方
  5-1.遺産分割協議書の書式サンプル(ひな形)
  5-2.預金相続の書き方
6.その他、預金相続時の必要書類とは?
7.銀行ごとの相続手続き
  7-1.ゆうちょ銀行
  7-2.都市銀行
  7-3.地方銀行・信用金庫・労働金庫・農協
8.こんな場合は専門家に相談しよう
  8-1.相続人のあいだで意見対立があるケース
  8-2.“へそくり口座”があるかもしれないケース
  8-3.預金以外に高額な遺産がある
9.まとめ

1.亡くなった人の口座から出金する方法

亡くなった人に預金がある場合、その家族が最初に直面するのは「どうやって出金すればよいのか」という問題です。遺品から通帳や印鑑を見つけられたとしても、勝手に出金することは法律上認められません。

そこで必要なのが、預金口座のある銀行での「相続に伴う払戻しまたは名義変更手続き」です。銀行の担当部署に問い合わせ、相続権を示す書類を提出することで、はじめて自由に預金の入出金ができるようになるのです。

<【参考】相続に伴う相続手続きの流れ>
①被相続人の死亡
②遺言書発見or遺産の取り分に関する話し合い(遺産分割協議)
③「相続に伴う相続手続き」を銀行で申請
④払戻し実行+口座解約 or 口座の名義変更

2.遺産分割協議書が必要なケース・必要書類とは?

銀行の相続手続き担当部門では、相続手続きの受理時に「相続人の範囲」「相続人各人の取り分」を必ず確認しますが、その際に求められる書類のひとつが、本記事で解説する遺産分割協議書(相続人が話し合って決めた遺産の取り分を示す書類)です。

※預金相続時に銀行に提出する書類一覧は後章で紹介します。

2‐1.遺産分割協議書が必要となるケース

遺産分割協議書が必要となるのは、相続人が複数いて、話し合いにより取り分を決めたケースに限られます。より具体的に例を挙げてみましょう。


2‐2.ケース①:遺言書がない

相続手続きの際に遺産分割協議書が必要となる代表的な例は、遺言書が見つからない(そもそも作成されていない)ケースです。

このケースでは相続人が話し合って自由に取り分を決められますが、最終合意内容について証明できるものがないと、相続手続きを受理してもらうことが出来ません。そこで、話し合いの最後に遺産分割協議書を作成して提示します。


2‐3.ケース②:遺言書はあるが遺産分割協議を開く必要がある

たとえ遺言書があっても、さまざまな事情でその内容を実現できないケースがあります(下記一覧)。

この場合も話し合いで取り分を決め、その最後に遺産分割協議書を作成して銀行に提出しなければなりません。

【遺言書があっても遺産分割協議を行うケース】

  • 遺言書が法的に無効(書式逸脱または公序良俗に反した内容)
  • 遺言書の内容に異議を唱える相続人がおり、相続人・受遺者(※1)・遺言執行人(※2)の全員が遺産分割協議を開くことに賛同している

※1:受遺者とは…遺言書により法定相続分を超える贈与を受けた人や、法定相続人ではないにも関わらず遺産の承継人として指定された人を指します。
参考コラム:遺贈とは?相続との違い、メリット・デメリットを解説

※2:遺言執行人とは…被相続人もしくは家庭裁判所によって選ばれ、遺言内容に沿って相続財産を分配する役割を担う人を指します。遺言執行人には「遺言内容を実現する義務」 (民法1012条1項)が付されており、同意がなければ遺産分割協議を開くことはできません。
参考コラム:遺言執行者(遺言執行人)とは?

3.遺産分割協議書が不要なケースとは?

遺産分割協議の作成がそもそも不要であるケース(以下一覧)については、遺言書や戸籍謄本などの別の書類により預金相続手続きを進められます。

【預金相続に遺産分割協議書が不要なケース】

  • ひとりで預金含む全財産を承継する場合(単独相続)…「遺言書※」または「相続関係を示す戸籍謄本」で手続き可能
  • 遺言書があり、その内容通りに相続する場合…「遺言書」があれば手続き可能
  • 遺言書はなく、法定通り相続する場合…「相続関係が分かる戸籍謄本」で手続き可能
  • 遺産分割調停で相続分を決める場合…「調停調書謄本」または「審判書謄本」で手続き可能

※「財産はすべて○○に相続させる」等、単独相続が被相続人によって指定されているもの

3-1.【Point】遺産分割前に一部払い戻し可

被相続人が世帯収入を管理する”一家の大黒柱“だった場合、預金口座からの出金は被扶養家族にとって急務です。相続人が集合して遺産分割協議書の作成を終えるのを待つ間に、葬儀費用・生活費などの支弁が出来なくなってしまうかもしれません。

このような状況を解決する手段として、平成31年から全国の銀行で「遺産分割前の相続預金払戻し制度」が利用できるようになりました。制度を活用することで、相続人からの申請であることを条件に、遺産分割協議書の作成に先立って一定額を限度に払戻し(=出金)できます。

【遺産分割前の相続預金払戻し制度】

相続人1人あたりの払戻し可能額
= 死亡日の預金額 ÷ 3 × 払戻しを申請する相続人の法定相続分
※同一銀行で出金できるのは150万円が上限

本制度の申請方法は銀行によって異なります。必要書類や手続きの流れ等の詳細情報については、銀行の窓口もしくはコールセンターへ問い合わせて確認しましょう。

4.預金の遺産分割協議のやり方とは?

銀行での預金相続手続きの前に行うべき「遺産分割協議」は、相続人(法律で相続権が認められている人)の全員参加が必須です。取り分を決める際も、預金だけなく不動産や有価証券などの相続財産の全体について話し合わなければなりません。

上記の点を踏まえ、実際に話し合いを始める前に、まず以下の手配をとりましょう。

4-1.【Point】遺産分割協議を始める前にやるべきこと

■Step1.遺言書の有無を確認する
…遺言書さえあれば、遺産分割協議はそもそも不要です。亡くなった人が遺言書について特に言及していなかった場合でも、必ず捜索しましょう。

■Step2.相続財産を調査する
…法務局・役場・銀行で「名寄せ照会」を行い、把握している資産以外にも被相続人所有の財産がないか確認します。

■Step3.相続人を調査する
…被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)を取り寄せて、相続権のある人を捜索します。

必要な手配が済めば、協議参加者と日時を申し合わせて話し合いに入ります。
ここでは、協議中に迷いや誤りが生じがちなポイント「①預金の分割方法」「②未成年者や高齢者が遺産分割協議に参加する場合の対応方法」の2点について紹介します。

4-2.ポイント1:預金の分割方法

預金の取り分の決め方は、以下のようにさまざまです。どの分割方法を採用しても、協議書作成以降の手続きに違いはありません。

公平性を最優先にし、節税対策・預金以外の相続財産の分割方法を意識しながら、あくまでも相続人の意思で決定します。

【預金分割のさまざまな手法】

  • 民法で定められた「法定相続分」に従って分割する
  • 相続人全員で同額ずつ分け合う
  • 預金全額を特定の相続人に承継させ、換価処分を要する財産(不動産等)は他の相続人が承継する
  • 預金全額とともに債務を特定の相続人に承継させ、清算を任せる

4-3.ポイント2:相続人に未成年者・被後見人がいる場合

未成年者や認知症の家族の取り分を決める際、原則上は法定代理人(親権者や後見人)が遺産分割協議に参加します。

しかし、本人・法定代理人がともに相続人であるケースでは、別途「特別代理人」を立てなければなりません(民法775条・826条・860条)。法定代理人と本人とのあいだで利益相反※が生じ、本人のためになる最良の判断ができない恐れがあるからです。

※利益相反とは?…「一方の利益がもう一方の不利益に繋がる」という状況を法律用語で示したものです。

特別代理人を立てるには、遺産分割協議の開始前に家庭裁判所に選任申立を行う必要があります。特別代理人の選任には1ヶ月程度の時間がかかるため、現実に出金できることを急ぐ場合は、前述の「遺産分割前の相続預金払戻し制度」の利用を検討しましょう。

5.預金がある場合の遺産分割協議書の書き方

協議がまとまれば、預金の相続に必要となる「遺産分割協議書」の作成段階にいよいよ入ります。銀行に書式はなく、相続人自身がパソコン等で作成しなければなりません。

【参考】遺産分割協議書の内容(※作成時は以下すべて要)

  • 被相続人の基本情報(氏名・住所本籍地)
  • 協議成立を示す文面
  • 相続人・相続財産・分割方法の指定
  • その他特記事項(「後日さらに遺産が発見された場合の取扱い方法」など)
  • 協議成立の年月日
  • 相続人の署名捺印(自筆)

ここではまず遺産分割協議書の書式サンプルを紹介し、その上で預金相続部分の書き方について解説します。

5-1.遺産分割協議書の書式サンプル(ひな形)

下記書式サンプルは、亡くなった「山田一郎」の財産を3名の相続人で分割する例です。第2条の預金分割の表記について、この後解説します。

※ここで紹介する遺産分割協議書はあくまでも一例です。相続状況により異なるため、専門家に相談して作成することをおすすめします。

(表題)遺産分割協議書

被相続人  山田一郎 死亡日 令和〇年〇月〇日死亡 本籍地 東京都○〇区○○丁目〇番地 最後の住所 東京都○〇区○○丁目〇番地

被相続人山田一郎の相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行った結果、以下の通り分割することに同意した。

1.相続人山田花子は次の遺産を取得する。

【土地】
所在  東京都○○区〇〇
地番  〇番〇
地目  宅地
地積  ○○.○○㎡ 

【建物】
所在 東京都〇〇区〇〇
家屋番号 〇〇番〇
種類 木造
構造 瓦葺2階建
床面積 1階部分○○.○○㎡ 2階部分○○.○○㎡ 


2.以下の財産については、相続人山田太郎が2分の1、相続人山田次郎が2分の1の割合で各々取得する。相続人山田太郎は、相続人を代表して以下の財産の解約および払戻しまたは名義変更手続きを行い、相続人山田次郎の取得分について、相続人山田次郎の指定する口座に振り込んで引き渡す。山田次郎の取得分引き渡しに伴う振込手数料は山田太郎の負担とする。

【預貯金】
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
残高○○○○円および相続開始後に生じた利息とその他の果実(※)


3.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人甲野花子がこれを取得する。


以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を何通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

令和〇年〇月〇日

【相続人山田花子の署名押印】
住所
氏名 実印

【相続人山田太郎の署名押印】
住所
氏名 実印

【相続人山田次郎の署名押印】
住所
氏名 実印

※「果実」とは?…モノや権利から生じる利益全般を指します。
法律実務では「自然発生的な利益」から「使用や契約更新によって将来生ずる利益」までを包括して表現するために、“利益”ではなく“果実”と表記するのが一般的です。

5-2.預金相続の書き方

預金相続部分の書き方のポイントは、相続方法(誰が払戻しを受けるかor誰が今後の口座名義人になるのか)の具体化です。
預金の分割方法を基準に、各ケースで表記方法について紹介します。

<①複数の相続人で分割するケース>
預金を複数人で分割しようとする場合は、代表者が払戻しを受けて他の相続人に振り込むことを踏まえ、次のように記載します。

(条文番号)以下の財産については、相続人Aが2分の1、相続人Bが2分の1の割合で各々取得する。相続人Aは、相続人を代表して以下の財産の解約および払戻しまたは名義変更手続きを行い、相続人Bの取得分について、相続人Bの指定する口座に振り込んで引き渡す。Bの取得分引き渡しに伴う振込手数料はAの負担とする。

【預貯金】 
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
残高○○○○円および相続開始後に生じた利息とその他の果実

<②特定の相続人が全額承継する場合>
特定の相続人が預金全額を相続しようとする場合は、名義変更に伴って口座そのものに付随する権利(預金利息や各種サービスなど)が移転することを踏まえ、以下のように表記します。

(条文番号)相続人Aは、以下の財産に加え、被相続人が以下金融機関とのあいだで預託契約等を締結した預託財産の全ておよびこれに関する未収配当その他一切の権利を相続する。

【預貯金】
〇〇銀行〇〇支店
口座名義人 〇〇〇〇
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
残高○○○○円および相続開始後に生じた利息とその他の果実

6.その他、預金相続時の必要書類とは?

遺産分割協議書の作成が終われば、銀行に提出すべき他の書類も揃えましょう。 銀行により指定される必要書類は若干異なるものの、一般的には以下すべての資料を揃えることで、手続きを受理してもらうことが出来ます。

【預金相続手続き時の必要書類】

  • 銀行指定の相続届(記入済み)
  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)※
  • 相続人全員の戸籍謄本(被相続人との関係が分かるもの)
  • 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)

※除籍謄本・改製原戸籍など役場にあるもの全て必要
(全部事項証明書を発行してもらえる場合、左記書類1通で出生から死亡までの証明事項をすべて網羅できます)

7.銀行ごとの相続手続き

想定外のハードルとなるのは、実際に銀行で相続手続きを行う際の手間です。
全国的に手続きのオンライン化が進んでおらず、郵送物のやりとりと窓口来店を中心に進めることになるからです。

あらかじめ「取引先の銀行ならどのくらいの手間がかかりそうか」を予測し、自力で行うのが難しいと判断したときは専門家にバトンタッチするべきでしょう。

最初に銀行種別ごとの相続手続きの特徴を表にまとめ、解説を進めます。


【参考】預金相続手続きの比較表

比較項目 ゆうちょ銀行 都市銀行 地銀・信用金庫
労働金庫・農協
手続き時間 1ヶ月~2カ月程度 1ヶ月程度 1ヶ月~2カ月程度
来店回数 1~2回 1回 2回
受付支店 全国の郵便局窓口で受付可能(最寄りの支店で手続き可能) 原則として全国の支店で受付可能(貸金庫がある場合を除き、最寄りの支店で手続き可能) 原則として被相続人の取引支店のみ受付可能
土日祝の手続き 原則不可 一部支店で可 一部支店で可

7-1.ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行での相続手続きでは、相続手続きの案内時・必要書類の提出時の計2回の来店が原則必要です。

事前に相続Webサービス案内(https://www.jp-bank.japanpost.jp/tetuzuki/souzoku/tzk_szk_guide.html)で必要書類を確認しておくことで、初回来店時に必要書類提出までまとめて済ませることが出来ます。

【ゆうちょ銀行での手続きの流れ】

  • 相続手続きの案内+相続確認表の提出(最寄りの郵便局窓口) → 1〜2週間程度
  • 「必要書類のご案内」の受け取り(郵送) → 窓口来店
  • 必要書類提出(最寄りの郵便局窓口) → 1〜2週間程度
  • 払戻しor名義変更

7-2.都市銀行

三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行などの都市銀行では、必要書類提出時を除き、相続手続きのほとんどを郵送で対応しています。三菱UFJ銀行では一部支店にテレビ電話を設置しており、窓口営業時間外(土日祝など)でも書類提出受付を行っているのが便利です。

実際に手続きを始める際は、事前に電話で来店予約する必要があることに留意しましょう。

【都市銀行での手続きの流れ】(三菱UFJ銀行の場合)

  • 担当部門へ問い合わせ(電話or最寄りの支店窓口)
  • 未記入相続届の受け取り(郵送or最寄りの支店窓口)
  • 記入済み相続届+添付書類の提出(最寄りの支店窓口)→ 2週間程度
  • 払戻しor名義変更

7-3.地方銀行・信用金庫・労働金庫・農協

地方銀行・信用金庫・労働金庫・農協では、ゆうちょ銀行と同様に原則2回の来店を要します。加えて、取引支店(口座のある支店)でしか手続きを受け付けない銀行が多く、被相続人と遠距離別居の関係にあった相続人にとってはネックです。

さらに信用金庫や農協では、亡くなった人が加盟していた協同組合(農業協同組合・森林組合・漁業協同組合)への出資金も別途相続手続きを要します。
総じて手続きが煩雑化しやすいため、専門家にバトンタッチして進めるのが無難です。

【地方銀行での手続きの流れ】(京都銀行の場合)

  • 相続手続きの届出+申請書の受取(取引支店窓口)
  • 必要書類の提出(郵送or取引支店窓口)
  • 払戻しor名義変更
預金がある場合の遺産分割協議書について

8.こんな場合は専門家に相談しよう

預金相続(遺産分割協議から相続まで)の手続きでは、収集すべき書類の多さ・来店手続きの煩雑さが相続人を悩ませがちです。銀行での手続き以前に、遺産分割協議の段階から“壁”にぶつかってしまうことも珍しくありません。

【よくある相続トラブル】

  • 取り分を巡る相続争いが起きて、協議が進まない。
  • きちんと相続財産の調査ができているのか不安。
  • 預金より不動産等の他の資産が多く、分割方法に迷いがある。

以下で説明するように、どのトラブルも相続人だけで解決するのは困難です。困ったときは迷わず専門家に相談しましょう。

8-1.相続人のあいだで意見対立があるケース

預金はその価値が明確であることから、“争続”の原因になりやすいものです。

争いが起きる原因は、より多く相続したい気持ちや鬱積した感情だけとは限りません。「当座の生活費が必要」「不動産を承継しても売却方法が分からないから預金をもらいたい」など、相続人それぞれの抱える不安や事情が背景となっているケースも多数存在します。

さまざまな相続ケースに通じた専門家なら、家庭ごとのトラブル要因に具体的解決策を示しながら、公平な分割案を提示することが出来ます。

8-2.“へそくり口座”があるかもしれないケース

亡くなった人が秘密の口座を持っていることは稀ではなく、後から見つかることで厄介な事態となりがちです。最終異動日※から10年で「休眠口座」扱いとなり、残高の相続手続きに特別対応(取引支店担当者による調査など)が必要となるからです。

※最終異動日とは…入出金や登録情報変更などの手続きを最後に行った日を指します。

相続人がどれほど周到に財産調査を行っても、意図的に資料が隠された口座を見つけるのは困難です。専門家に任せるタイミングに早すぎるということはなく、出来るだけ亡くなった直後から依頼手続きに入るべきでしょう。

8-3.預金以外に高額な遺産がある

預金以外の高額資産(不動産など)が遺産に含まれる場合、預金にこだわらず全体を俯瞰した相続方法の検討が必要です。

節税のために預金をあえて分割しない方法や、預金以外の資産の売却・分配方法など、遺産分割協議前にさまざまな見極めを行わなければなりません。

【例】遺産が不動産と預金で構成され、被相続人の配偶者の居住用として土地建物を残しておく必要がある場合

⇒遺産全体を配偶者が相続し、そのうちの預金から他の家族に相続分相当を支払う方法が考えられます(代償分割)。不動産を分割しないことで、配偶者控除・小規模宅地等の特例などによる節税効果を最大化できるメリットも生じます。

家族にとってベストな相続方法を選び取るにあたり、弁護士や税理士による診断が必須です。遺産を有効活用するためにも、積極的に専門家の知見を利用しましょう。

9.まとめ

遺言書がない場合・あってもその内容を実現できない場合には、預金相続にあたって「遺産分割協議書」の作成が必須です。
該当のケースで手続きを進める際は、以下のポイントを押さえましょう。

【預金相続のポイント】※遺産分割協議書が必要なケース

  • 協議前に「遺言書捜索」「相続財産調査」「相続人調査」を徹底する
  • 預金の分け方による「遺産分割協議書」の書き方の違いを押さえる
  • 銀行での手続き時は「来店回数を含む手続き全体のフロー」を確認しておく

亡くなった人の意思に依らない相続手続きでは、相続人同士の対立・分割方法の検討の必要性など、さまざまな課題が生じがちです。手続きそのものも銀行により煩雑化し、相続人の手に負えないものになる可能性は否めません。

ベストな結果を迅速に得るために、相続開始後のなるべく早い段階で専門家に相談しましょう。

この記事を監修した税理士

日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬

2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ

・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数

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