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ーコラムー
遺産分割
税理士監修記事

遺産分配でトラブルを生みやすい「寄与分」の計算方法と注意点

公開日:2018.2.26 更新日:2022.10.25

相続における遺産の取り分については何かと争いの火種になることが多く、「争続」の原因になりやすいのはみなさんもご存じの通りです。

一応、法定相続分という公平さを意識した取り分の指針も用意されていますが、現実には個別ケースで様々な要素が絡むことも多く、一筋縄でいかないこともしばしばです。 今回は遺産の分配に関して争いを生みやすい「寄与分」について解説します。

目次
1.寄与分(きよぶん)とは? - 認められる具体例
2.寄与分の計算方法
3.寄与分を認めてもらう方法 - 1.遺産分割協議
4.寄与分を認めてもらう方法 - 2.遺産分割調停
5.寄与分を認めてもらう方法 - 3.遺産分割審判
6.まとめ

寄与分(きよぶん)とは?

寄与分(きよぶん)とは?

寄与分(きよぶん)」というのは、被相続人の生前にその財産の維持や増加に特別に寄与(貢献)した相続人にのみ認められる優遇措置のことです。

寄与した分は遺産の分配において別枠計算がされることになるため、寄与分を他の共同相続人に取られずに済むことになります。 寄与分が認められる具体的な例を示すと以下のようなものがあります。

①被相続人の家業に従事した

例えば、農業その他の自営業を妻や子が協力して行っていたなどの場合が該当します。従業員として雇われていたようなケースは通常寄与分とはなりません。

②被相続人の療養看護に努めた

生前の被相続人の療養看護に努め、本来被相続人が支弁するべき医療費などを肩代わりしていたような場合が該当します。

③財産を給付していた

生前の被相続人の借金を肩代わりしたり、金銭の給付を行っていたような場合が該当します。


上記のような寄与をした分、つまり「寄与分」は特定の相続人が負担したものですから、他の共同相続人よりも優遇してやる必要があります。

そこで遺産の分配においては寄与分を数字に換算し、計算上除外することになります。

寄与分の計算方法

寄与分についてはこれを負担した相続人に別枠で取り分を確保するため、現実に発生した相続財産から寄与分を減算してから分配することになります。

例えば、相続人となる者が被相続人の子どもA、B、Cの三人のケースで、残された遺産が3,000万円だったとします。

法定相続分通りに分配すると、各自1,000万円ずつの取り分となります。しかし長男Aは、被相続人の父親の借金600万円の返済を肩代わりしていました。

これが寄与分として認められると、まず遺産総額3,000万円から600万円を減算し、その残りの2,400万円を分配の対象とします。

すると三人で各々800万円ずつの取り分となりますが、長男Aには減算した分の600万円がさらに加算され、計1,400万の取り分となります。


このように、生前の被相続人に対する貢献を遺産の取り分として認めてあげるのが寄与分という制度です

ただし、寄与分は領収書などの証拠が残っていなかったり、単純に数字に換算しにくい性質も持つことから、どれくらいの寄与分を認めるかについて争いになりやすく、その意味で「争続」の火種になりやすいのが難点です。

寄与分は他の相続人に認めてもらわないと成立しませんが、ここまで見てきたとおり単純に換算しにくい、という性質も持っています。

寄与分は他の相続人に認めてもらわないと成立しないものですが、領収書などの計算の根拠になるものが無いことが多く正確に換算し辛いため、相続トラブルの引き金になりやすいものです。

これらの特徴をふまえ、寄与分を他の相続人に認めてもらうための手続きの流れを解説します。早速見ていきましょう。

寄与分を認めてもらうにはどうしたらいいのか?

寄与分を認めてもらうにはどうしたらいいのか?

寄与分は自分で主張するだけでは足りず、他の相続人に認めてもらわなければなりません。 そのためには以下の方法があります。

①遺産分割協議

寄与分として認めるかどうか、認めるとしたら数字にしてどれくらいの金額として算定するのかは、相続人同士の話し合いで決めるのが原則です。

遺産分割協議を行って、話し合いがまとまればそれを遺産分割協議書に記載しておくことになります。

しかし取り分が少なくなるのを嫌って、寄与分を認めなかったり過小評価する共同相続人がいて寄与者が納得できない場合は家庭裁判所の力を借りて遺産分割調停を利用します。

②遺産分割調停

公平な第三者となる家庭裁判所の調停委員が間に入り、事件解決のための落としどころを探るのが遺産分割調停です。

当事者はお金の問題が絡んでいることもあり、また親族同士特有の人間関係も絡んでセンシティブな状態になっています。

感情的になってしまい冷静な判断ができないこともあるので、冷静に事件を見つめることができる調停委員が事件を整理して、各自から譲歩を引き出すなどして落としどころを探ります。

これで各自納得できれば良いのですが、どうしても寄与分を認めたくない者がいると調停は不成立となり、その場合は裁判所が職権で寄与分を決める遺産分割審判を利用することになります。

③遺産分割審判

遺産分割審判は遺産の分割全体について裁判所に決定してもらうものですが、その中で寄与分についても判断を求めることになります。

ただし、話し合いで事が進む協議や調停と違い、審判では客観的な証拠がなければ寄与分を認めてもらうことはできません。

もちろん協議や調停でも客観的な証拠があれば主張しやすいのは当然ですが、審判ではよりその重要性が増すということです。

ですから寄与分を認めてもらいたい人は、説明資料や数字的な根拠を示すことができる領収書、契約書などの類をできるだけ多く集めておくことが必要です。

まとめ

今回は被相続人の生前に特別に寄与した相続人に認められる「寄与分」について見てきました。

遺産の取り分の公平性を考えて作られた制度ですが、その算定は相続人間の話し合いによるのが原則であることと、取り分が少なくなる他の相続人は心情的に認めたくないことが多いことから争いになることが多いのが実情です。

認めてもらうには証拠集めが重要になってきますので、相続が発生する前から余裕を持って収集しておくのが望ましいと言えます。

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