24時間受付メール相談 電話

まずは
電話で相談

0120-55-4145

受付:9:00-18:30(平日/土曜)

LINEでの
ご相談はこちら

line

Button
ーコラムー
相続税の申告手続き
税理士監修記事

相続発生時の「銀行口座の凍結」とは?

公開日:2018.5.14 更新日:2022.07.04

身近なご家族が亡くなり相続が発生すると、葬儀の手配や親族への連絡など否応なく多方面の手配に追われることになります。

そんな中、なにかと後回しにされて問題に直面してから大変なことに気づくのが、お金関係の支払いや清算に関しての問題です。入院していた病院代金の支払いや葬儀社への支払い、お寺さんへの戒名料のことなど、あわせると数百万円単位になることもあります。

相続の場面では、こうしたお金関係の清算をしようと故人の口座からお金を引き出そうとした時にその口座が凍結されていて引き出せない、という現象が起きることがあります。今回はこの銀行口座の凍結問題について解説します。

目次

1.銀行口座の凍結とは?
2.なぜ銀行口座は凍結されるのか?
3.いつ銀行口座は凍結されるのか?
4.銀行口座の凍結を解除する方法
  4.1.遺言書がない場合
  4.1.遺言書がある場合
5.相続発生時に慌てないためには?
  5.1.事前に現金を用意しておく
  5.1.生命保険の活用
6.まとめ

銀行口座の凍結とは?

銀行口座の凍結とは?

銀行口座の凍結というのは、開設されている口座を銀行側が一時的に利用できないようにしてしまう強制的な手法です。

口座を解約してしまったり閉鎖するわけではなく、預金はそのままで一時的に利用できないようにするものです。

普通の人は自分の銀行口座が凍結されるということはまずないと思いますので、そのようなことがあるのかと驚かれるかも知れませんが、相続以外でも例えば犯罪に利用された可能性のある口座を凍結してお金を引き出せないようにすることもあります。

では、相続は犯罪ではないのになぜ勝手に凍結されてしまうのでしょうか?

なぜ銀行口座は凍結されるのか?

被相続人の口座がなぜ凍結されてしまうのかというと、相続人間のトラブル回避と銀行側のリスク回避のためです。

人が一人死亡して相続が発生すると、その故人(被相続人)の周囲の複数人が相続人として財産を承継する権利を持つことになります。 実際は相続人が一人のこともありますが、それは銀行側はすぐには分かりません。

複数人の権利者がいる場合も、もちろん誰がどのくらいの財産を承継するかなどは銀行は知り得ません。

財産の中でも預金について承継する権利がない者が勝手にお金を引き出してしまうと、真の権利者の権利が侵害されて相続人間で重大なトラブルに発展することが予想されます。そしてこれについては後で銀行側も責任を問われるリスクが内在します。

ですから相続が起きたならば、誰が相続人となるのか、各相続人がどの財産をどのくらい承継するのかがはっきりするまで被相続人の口座を一旦凍結させるという行動がとられるわけです。

なお、勝手に引き出した預金を自分の都合で使いこんでしまうと、「単純承認」とみなされて相続放棄ができなくなる恐れがあります。故人に借金がある場合はその債務に追われることになる危険もあるので、自分の都合で凍結されないうちに引き出して使い込んでしまうことのないようにしてください。

いつ銀行口座は凍結されるのか?

銀行の口座が凍結されるのは、「銀行が故人の死亡を知った時」です。問題はいつ死亡の事実を知るかですが、これはケースバイケースで異なります。

死亡届を役所に届けた時に自動的に銀行に通知されるなど公的な仕組みは一切ありません。 従って、銀行が死亡の事実を知るのは例えば以下のような場面となります。

  • 遺族が故人の死亡の事実を伝えた
  • 遺族が故人の預金の扱いのことで相談に訪れ、銀行が認知した
  • 故人の口座を解約しようとしたり、名義変更しようとして事情を聞かれた
  • 新聞の訃報欄を見て自行の預金者であると判断した

通常は遺族が申告したり、相談に行った時に事情を聞かれて凍結に至ることが多いと思われます。

口座を凍結されるのは、ともするとできるだけ避けたいという思いを持たれるかもしれませんが、わざわざ遺族が銀行に申告するのは、自分以外の他者が勝手に預金を引き出すことを防止することで、自分の利益を守ることにつながるからです。

いつ、どのような状況のときに口座が凍結されるかわかったと思いますが、何より皆さん気になるのが「どうすれば銀行口座の凍結は解除できるのか」ということでしょう。ここから詳しく見ていきましょう。

銀行口座の凍結を解除する方法

銀行口座の凍結を解除する方法

銀行口座の凍結は、遺言書がない場合とある場合で方法が変わってきます

①遺言書がない場合

遺言書がない場合、誰がどの遺産をどれだけ承継するのかを相続人同士で話し合って決める必要があります。 そしてその取り決めた内容を銀行に示してやらなければなりません。 そこで、概ね次のような書類を用意して口座の凍結解除手続きをとることになります。

  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本(出生から死亡まで
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

現実の相続では相続人の数が多い、遠方に住んでいるなどの事情があって遺産分割協議が整うまでかなり時間がかかることもあります。

完全に協議が整うまで遺産分割協議書を用意することができませんが、目下必要になる現金を引き出すために、銀行所定の同意書を活用する手もあります。

これは相続人全員が預金の引き出しに合意していることを証明するもので、これを利用すると近々に必要な現金を引き出すことができるようになります。銀行に相談する際にはついでにこの同意書も貰っておくようにしましょう。

②遺言書がある場合

遺言書がある場合は概ね次のような書類を用意すると凍結を解除することができます。

  • 遺言書
  • 公正証書遺言以外の場合は検認調書または検認済み証書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 預金を相続する人(遺言執行者がいる場合は当該者)の印鑑証明書

なお、実際には各金融機関によって、またケースによっても取り扱いが若干異なることがあり、必要書類も変わることがあるので事前に確認するようにしてください。


書類をきちんと集め、所定の手続きを踏めば銀行口座の凍結解除を行うことがわかりました。 しかし、全ての相続人の書類を集めたり、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を集めたりするのには、思った以上に手間と時間がかかってしまうものです。

相続はいつ発生するかわからないものです。相続発生時にお金のことで慌てないための具体的な対処方法・事前の対策に対策を、紹介していきます。

相続発生時に慌てないためには?

相続発生時に慌てないためには?

①事前に現金を用意しておく

まずは相続が起きる前から事前にある程度の預金を引き出しておき、諸々の支払いなどに備えておくと良いでしょう。

人の死亡は予期しづらいこともありますが、例えば被相続人となる方が病気などで入院している場合はある程度心の準備をする期間があります。

この間に必要になりそうな資金を用意しておくことができますが、引き出したお金の管理は本人以外の家族が行うことも多いですから、使い込みなどが起きないように管理の面で注意は必要です。

なお生前に引き出した預金はあくまで故人の相続財産の一部ですから、被相続人の死後残った現金は相続税の計算において相続財産に組み込むことを忘れないようにしましょう。

②生命保険の活用

現金の確保には生命保険もよく活用されます。

相続人自身の生活費や相続税の支払いのための原資など自由に使うことができるので、当面の必要資金を確保して安心して生活することができます。

生命保険金は受取人が直接手にすることができますから、被相続人の口座凍結の影響を受けることがないのでこの点も安心です。 また一定の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があるので、その範囲で相続税の負担を回避することができます。

まとめ

今回は相続の際に被相続人の口座から預金を引き出せなくなる「預金口座の凍結」について解説してきました。

凍結のタイミングは個別のケースで異なりますが、基本的には>相続人同士のトラブルや無権利者の使い込みなどを防ぐ機能を果たしますから、必ずしも不都合なことではありません。

ただ凍結を解除するために一定の手続きをとる必要があり、手間の面と当面の必要資金の確保の面で悩みの種になることがあります。

相続発生を予期したタイミングである程度の預金を引き出しておくことや、生命保険金を活用するなどして生活費の確保や諸々の支払いに備えるようにしましょう。

口座が凍結されてしまったとしても、銀行の担当者と面談して必要書類を聞き取り、これを準備できれば問題ありませんから落ち着いて対処するようにしてください。

【お役立ちコンテンツ】

税務署で相続税に関する相談が可能、税理士との違いは?

相続相談はどこにするべき?専門家(税理士、司法書士、弁護士)の強み

 

【クレアスの相続税サービス】

相続税 生前対策コース

相続税申告・相続手続コース

税務調査対応コース

【相続税申告・相続手続コース】のご説明はこちら

日本クレアス税理士法人 相続サポート

このコラムは「日本クレアス税理士法人」が公開しております。

東京本社
〒100-6033東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビルディング33階
電話:03-3593-3243(個別相談予約窓口)
FAX:03-3593-3246

※コラムの情報は公開時のものです。最新の情報は個別相談でお問合せください