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ーコラムー
相続税の申告手続き

相続人が持つ3つの選択肢~単純承認、限定承認、相続放棄

公開日:2017.11.26 更新日:2019.07.16

民法によれば「相続は、死亡によって開始する」とされています。「死亡」とは被相続人の死亡のことです。

相続はいつ起きるか分からない点と、いざ起きてしまった際には様々な法的手続きが必要になること、そしてそれら法的手続きには期限があるために、非常にあわただしく時間が過ぎてしまいます。

これに備えて、相続発生時の手続きについては予備知識を得ておくことが望まれます。

法的な手続きの中でも、相続人となる「あなた」に直接関係するのが遺産の承継について求められる手続きです。相続人となるあなたには遺産の承継方法として、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」という3つの選択肢が与えられることになります。 今回はこの3つの選択肢について詳細を確認していきます。

目次

1.単純承認(たんじゅんしょうにん)について
  1.1.マイナスの財産も承継してしまう
  1.2.期限が過ぎると単純承認とみなされる
  1.3.一定の行為で単純承認したとみなされる
2.限定承認(げんていしょうにん)について/メリット・デメリット
3.相続放棄(そうぞくほうき)について/メリット・デメリット

単純承認(たんじゅんしょうにん)について

単純承認とは、被相続人の遺産を無条件で承継することをいいます

単純承認というのは、被相続人の遺産を無条件で承継することをいいます。

世の中の相続事案の多くで選択されるものですが、単純承認を選択するにあたって注意が必要な点を以下に挙げてみます。

①マイナスの財産も承継してしまう

被相続人が残した「遺産」の中には現預金や不動産などプラスの財産もあれば、借金などマイナスの財産も含まれます

プラスもマイナスも合わせて無条件で承継するということは、もしマイナスの財産(負債)の方が多い場合、その債権者に対して遺産を承継した自分の財産を用いて弁済をしなければならないことになります。

②期限が過ぎると単純承認とみなされる

相続発生から3か月以内に、次項から述べる他の選択肢(限定承認、相続放棄)の手続きを行わないと、自動的に単純承認したとみなされることになります。

上述したようにマイナスの財産の方が大きければ借金に追われることになります。

③一定の行為で単純承認したとみなされる

相続財産の全部または一部を処分したり消費した場合、また存在を知っていながら財産目録に載せないなどの行為があると、単純承認したとみなされてしまいます。

故人の形見などで「これくらいは貰ってもいいだろう」と考えて自分の家に持って帰ったり、勝手に売ってしまったりすると「財産を処分した」として単純承認したとみなされることがあります。

債権者はこうした行為を捉えて、単純承認がされたとみなしてマイナスの財産(借金)の弁済を求めてくることがあります。


②、③のように、行ったことにより単純承認した、とみなされてしまうことを「法定単純承認」と言います。詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。

相続を「したことにされる」!?~法定単純承認について

こからは相続発生から3か月以内に手続きを行う必要がある制度、限定承認と相続放棄の解説を行います。相続人がとりうる選択肢として、単純承認と比較しながら理解を深めていきましょう。

限定承認(げんていしょうにん)について

限定承認はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産の債務を引き継ぐことができるものです

単純承認が被相続人(故人)の遺産をプラスもマイナスも含めて無条件に承継するのに対して、限定承認はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産の債務を引き継ぐことができるものです。

この選択をする場合は、相続発生から3か月以内に家庭裁判所を介して所定の手続きを経なければなりません。

以下でメリットとデメリットをまとめ、どういう時に利用すべきか考えてみましょう。

限定承認のメリット

(1)プラスの遺産の範囲で責任を負えば済む

もし遺産に占めるマイナスの財産の方が多くても、自分の財産から弁済資金の支弁をせずに済みます。

(2)特定の遺産を確保することができる

後述する相続放棄(そうぞくほうき)をしてしまうと全ての財産を手放さなければなりませんが、限定承認を行えば「先買権」という権利を使って、正当な対価を支払ったうえで自宅など特定の大切な財産を確保することができます。

(3)自分の子など後順位の相続人となる者に手間をかけさせずに済む

相続放棄をすると自分より後順位の者が相続に巻き込まれることになり、手続きなどで手間をかけさせてしまいます。

限定承認を行うことで、自分より後順位者に手続きの負担をかけずに自分の代で相続手続きを終わらせることができます。

限定承認のデメリット

(1)期限があり、手続きが煩雑

相続発生から3か月以内に所定の手続きを経なければならず、この手続きの準備が煩雑で非常に手間がかかります。

(2)相続人全員の合意が必要

限定承認は相続人全員の合意をもって行わなければならず、一人でも反対すると不可能になります。 ただし相続放棄をした者は相続人には含まれないので、この者の同意は不要です。

(3)みなし譲渡所得税の対象になる

限定承認をすると遺産は相続人に時価で譲渡されたと“みなされる”ため、譲渡所得税の課税対象にされてしまいます。不動産や有価証券などで含み益があると、その利益も課税対象になるので注意が必要です。 この税金は被相続人の債務となるので、相続人が代わって準確定申告をすることによって処理されます。またその債務は、相続税の計算の際に債務控除をすることができます。


以上を考えますと、限定承認を利用するべきケースとして以下のようなケースが考えられます。

限定承認を利用するべきケースとは?

■遺産におけるマイナスの財産がどれくらいあるのか不明な場合
■マイナスの遺産の方が多いけれど、相続放棄をせずに自宅など特定の遺産はなんとしても確保したい場合
■相続放棄をすると自分よりも後順位の相続人に手間をかけさせてしまうので、自分の代で手続きを終わらせたい場合


いずれのケースであっても、相続が発生したタイミングで、相続人と相続財産を全て把握し、適切な対処方法を検討していくことが必要です。

相続発生から3か月という限られた時間内で、全てに対応するのは非常に骨が折れますので、適宜、相続の専門家のサポートを受けながら対応を進めていくことをおすすめします。

ここまでで説明した単純承認(たんじゅんしょうにん)、限定承認(げんていしょうにん)に引き続いて、相続人が持つ3つの選択肢のうちの3つめ、相続放棄(そうぞくほうき)について解説します。前2つの選択肢と比較しながら、要点をおさえていきましょう。

相続放棄(そうぞくほうき)について

相続放棄とは、自分は相続人とはならないことを選択するもので、遺産についても一切承継することができなくなります

相続放棄とは、自分は相続人とはならないことを選択するものです。従って遺産についても一切承継することができなくなります。

相続放棄をするには相続発生から3か月以内に所定の手続きを経なければならず、これをしないと単純承認をしたとみなされてしまうので注意してください。

以下に相続放棄のメリットやデメリット、利用すべきケースを見ていきます。

相続放棄のメリット

(1)負債の弁済義務から解放される

マイナスの財産も一切引き継がないので、借金の弁済に追われずに済みます

(2)特定の相続人に遺産を集中させることができる

自分が相続する権利を放棄することで、その分の遺産を他の相続人に集中させることができます。

(3)「争続」問題に巻き込まれずに済む

相続放棄を行い最初から相続人とならないことで、権利者同士の利権争いから脱することができます。

相続放棄のデメリット

(1)原則として撤回できない

脅迫されて相続放棄を強制されたなど例外的な場合でない限り、相続放棄は撤回できません

(2)相続放棄が認められないことがある

財産を一部消費したり処分してしまうと、意に反して相続放棄が認められず、単純承認したとみなされ、心ならずも故人の多額の借金の返済に追われる羽目になる危険があります。

(3)プラスの財産も承継できない

限定承認と違って「先買権」が認められないので、自宅など特別に確保したいプラスの財産があってもこれを手放さなければなりません。

どうしても特定の財産を確保したいならば、競売にかけられる自宅を手順に従って競り落とす必要があるなど手間がかかります。

以上を考えますと、相続放棄を選択するべきケースとしては以下のような場合が挙げられます。

相続放棄を選択するべきケースとは?

■遺産に占めるマイナスの財産の方が多いことがはっきり分かっている場合
■個人が営んでいた事業用財産や株式などを、長男など特定の相続人に引き継がせて事業承継を円滑に進めたいような場合
■相続人となる権利者同士の争いが激しくなることが予想され、絶対にその争いに巻き込まれたくない場合

まとめ

今回は相続人となるあなたが遺産の承継方法について得られる3つの選択肢、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」について詳細を見てきました。それぞれメリットやデメリットがあるので、各人を取り巻く状況に応じて最も有利な選択をしたいものです。

ただ、その判断をするには遺産の内容を詳しく調査しなければならなかったり、準備に多くの手間がかかるなど、実務の面では非常に煩雑になることもあります。

自分に最も有利な選択肢が何なのかを知るには専門的な調査が必要なケースも多いので、実務に精通した税理士などに相談することをお勧めします。  

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