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ーコラムー
相続税の控除と特例
税理士監修記事

災害による被害を受けた場合の相続税の特例とは

公開日:2016.6.19 更新日:2023.03.09

2016年に入り、日本が地震大国であることを、あらためて思い出させるような災害が発生しています。特に4月に発生した熊本地震では、甚大な被害が九州地方を襲いました。被害に遭われた方に、お見舞い申し上げます。

さて、国の制度は、このような災害に対し、さまざまな「特例」を備えています

これら税金の減免は、災害からの生活再建において、税金の負担を少しでも軽くすることで、負担軽減に繋げていこうとする考え方です。 災害からの復興は多くの場合、生活再建を進めるうえでの「お金」の問題です。

通常は納付しなければいけない税金が、軽減若しくは免除となれば、日常生活を取り戻すのにおいてとても効果的。軽減される法律のなかに、相続資産に対して課税される「相続税」があります。 今回は、災害と相続税について解説していきます。

目次

1.相続税の軽減・免除の条件について
2.法定申告期限の前か後かがポイント
  2.(1) 法定申告期限前に災害があった場合
  2.(2) 法定申告期限後に災害があった場合
3.手続きは最寄りの税務署に相談を

1.相続税の軽減・免除の条件について

災害による被害を受けた場合の相続税の特例

 まず、災害時における相続税の軽減および免除における、国税庁の特例内容を確認してみましょう。

相続または遺贈により取得した財産が、災害によって被害を受けた場合において、次の①または②のいずれかに該当するときには、相続税が軽減されます。

①相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(債務控除後の価格)のうちに被害を受けた部分の価額(保険、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます)の占める割合が10分の1以上であること

②相続税の課税価格の計算の基礎となった動産等の価格のうちに動産等について被害を受けた価額(保険、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます)の占める割合が10分の1以上であること

※動産等とは、動産(金銭及び有価証券を除きます)、不動産(土地及び土地の上に存ずる権利を除きます)及び立木をいいます。

出典:国税庁 災害を受けたときの相続税の軽減(外部サイトが開きます)

相続税は本来、被相続人(親世代)から相続人(配偶者や子世代、孫世代)に譲渡する財産に課税される税金です。

相続における大きな特徴ですが、相続するのは現預金などの「分割しやすいもの」とは限りません。不動産や株式などを分割する場合は、遺言の内容や法律に決められている円滑な分割のために現金を準備したり、不動産の売却をしたりする必要のある「厄介な法律」の側面も持ちます。

そのうえで、災害時は生活再建の面でさまざまな出費がある一方、相続のために時間を避けない緊急事態でもあります。相続分割が災害から復興する「足枷」にならないよう、相続税の軽減・免除が定められているのですね。

それでは具体的にどのような場合に、この特例が適用されるのでしょうか?判断のポイントは「 法定申告期限の前なのか、後なのか」という点です。

国税庁HPに掲載されている「災害を受けたときの相続税の軽減」の概要をご紹介しました。

この特例は「法定申告期限の前なのか、後なのか」によって、適用される内容が変わってきます。詳しく確認してみましょう。

2.法定申告期限の前か後かがポイント

法定申告期限の前か後かがポイント

相続税の「法定申告」とは、相続があったことを知った日から10カ月以内です。この期限には延納などの特別措置はありますが、基本はこの期限までに相続資産をどうするのか、誰が引き継ぐのかを決めていかなくてはなりません。

災害と相続税の関係においても、この法定相続期限の前なのか、過ぎているのかによって扱いは変わってきます。

2-(1) 法定申告期限前に災害があった場合

法定申告期限前に災害があった場合は、相続等により取得した財産の価額から、被害を受けた部分で、保険金・損害賠償金等で補てんされなかった部分の価額を控除して、課税価格を計算することとなります。

なお、この特例を適用される方は、相続税の申告書に、被害の状況や被害額等を記載し、原則として申告期限内に提出する必要があります。

2-(2) 法定申告期限後に災害があった場合

法定申告期限後に災害があった場合は、災害のあった日以後に納付すべき相続税額で、課税価格の計算の基礎となった財産の価額のうち、被害を受けた部分で、保険金・損害賠償金で補てんされなかった部分の価額に対応する金額が免除されることになります。

ただし、災害があった日以後に納付すべき相続税額には、延滞税などの附帯税や、災害があった日現在において滞納中の税額は含まれません。

なお、免除を受けようとされる方は、被害の状況や被害額などを記載した申請書を、災害のやんだ日から2カ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出することになります。


前項で紹介しました国税庁「災害を受けたときの相続税の軽減」の難しい条文を解説しましょう。前述の通り、相続税において「相続を知った時から10カ月」である法定申告期限は、災害と相続税の関係においてもとても大切です。

(1)の法定申告期限前に災害があった場合は、基本的にその被害額を「控除」して相続財産として申告します。一方、(2)法定申告期限後に被災した場合は、期限後に収める相続税額が減額および免除の対象となります。

なお、「災害がやんだ日から2カ月以内」という期限が気にかかりますね。熊本にも相次ぐ余震のニュースを見ていると、「ここで災害が終わり」と定めるのは難しいと思います。このあたりは、実務において柔軟に対応されているようです。

万が一、「既に相続税として支払ってしまっている場合」も、税金は所定の手続きを経ると、納めたお金が戻ってくる可能性が高いです。これを還付といいます。

3.手続きは最寄りの税務署に相談を

基本的なルールはわかっていても、実際に相続対応で大変なタイミングで、被災が重なったとすると、心労も著しく、「どうしていいのかわからない」となってしまいます。被災をして落ち着いたら、相続も被災も含めて、「最寄りの税務署に相談する」ようにしましょう。

今回の制度だけではなく、ほかに設定されたさまざまな支援について説明が受けられるかもしれません。

「相続税と災害の関係を理解してから」と考える必要はありません。

「被災のタイミングで相続税があって」と伝えると、税務署の窓口に、丁寧に説明して貰えることでしょう。手続き以上の負担感を感じることなく、「手離れ」を意識することが大切ですね。

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