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ーコラムー
相続のトラブル
税理士監修記事

遺言書の内容に不満があるときの対応方法

公開日:2016.10.30 更新日:2022.10.25

遺言書は被相続人の意思が表現されたものです。相続人は、できることならその内容を実現させてあげたいと思うところでしょう。しかし、現実的には、遺言書の内容に偏りがあるため、一部の相続人に不満が生じてしまうケースも少なくありません。

そこで今回は、遺言書の内容に不満等がある場合に請求できる権利や対応の流れ等について見てきましょう。

目次

1.権利を請求できるケースとは?
  1-1.遺留分とは
  1-2.遺留分侵害額(減殺)請求とは
2.対応の流れ
  2-1.まずは、相続人間で話し合いを
  2-2.遺留分侵害額(減殺)請求に関する調停
  2-3.訴訟のメリット
3.まとめ

1.権利を請求できるケースとは?

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原則として、被相続人は遺言により、自分の財産に関して自由な意思決定権を持っています。しかし、その全てを被相続人の自由に任せてしまうと、例えば以下の様な問題が生じてきます。

「遺言書の内容に不満が発生する」

「一部の相続人に著しい不利益が生じる」

「相応しくないと思う人が財産の譲受人に指定されている」

この様な場合に、特に注意すべき事項は「遺留分」です。

1-1.遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人に対して法律上定められている相続財産に関する最低限の保障をいいます。この制度は、一部の相続人だけに不利益が生じ、その後の生活が困難に陥ってしまうといった事態を避けること等を目的としています。

従って、この遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額(減殺)請求」を行使することができます。

1-2.遺留分侵害額(減殺)請求とは

遺留分侵害額(減殺)請求とは、遺留分を侵害された者が行使することができる権利で、遺留分を侵害された範囲内で、遺留分を侵害している受遺者・受贈者、又は、他の相続人に対してその侵害額を請求することをいいます。

ちなみに、遺留分侵害額(減殺)請求が行使されても、その侵害額の請求ができるだけに過ぎず、ただちに遺言の内容全てが無効になるわけではありません。

また、遺留分侵害額(減殺)請求は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間、若しくは、相続開始の時から10年間の期間内でしか行使できません。

それでは実際に遺言書の内容に不満がある場合の対応の流れは、どのようになっているのでしょうか?具体的な対応方法を紹介していきます。

2.対応の流れ

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遺言書の内容に不満等がある場合は、まず相続人の間で話し合うところから始めるようにしましょう。

2-1.まずは、相続人間で話し合いを

遺留分侵害額(減殺)請求に関しては、法律上、特に決められたやり方は存在しないため、裁判外で行っても問題ありません。そして、わざわざ裁判沙汰にせずとも解決できるケースが少なくありません。裁判を起こすことで、相続人間の関係がぎくしゃくしたり、時間や費用が余計にかかってしまったりするというデメリットがあります。また、世間から偏見の目で見られるという可能性もゼロではありません。

従って、まずは遺言書の内容を再度念入りに確認して、問題解決の糸口を見つける努力が重要になってきます。

2-2.遺留分侵害額(減殺)請求に関する調停

それでも折り合いがつかない場合は、裁判手続きを利用することができます。遺留分に関する紛争は、家庭裁判所にて一般の民事事件として取り扱われていて、調停前置制度となっています。従って、すぐに相手方に訴訟を提起するわけではなく、まずは家庭裁判所で調停をしなければならないというルールがあります。

調停手続きでは、家庭裁判所の裁判官又は家庭裁判所が選任した調停委員が、当事者双方から事情聴取を行ったり、資料等の提出を受けて現状把握を行い、解決案を提示したり、必要な助言を行うことで、円滑な話し合いを進めていきます。

調停を利用することで、当事者同士では解決できなかった話し合いがまとまりやすいというメリットがあります。その反面、あくまでも話し合いである調停は、話し合いが解決しない限り決着がつかないため、長期間に及ぶ可能性があります。

遺留分侵害額(減殺)は審判事項ではないため、家庭裁判所に対して審判を求めることはできません。訴訟を起こす場合には、家庭裁判所に対してではなく、地方裁判所(金額によっては簡易裁判所)に対して訴訟を提起することになります。

2-3.訴訟のメリット

訴訟を起こした場合の最大のメリットは、必ず何かしらの決着がつくということです。裁判所は、当事者間の主張等をもとに判決を下すことを目的としているため、当事者が納得のいく判決かどうかは関係ありません。

基本的には、調停手続よりも時間がかかる訴訟手続ですが、手続きを進めていく上で当事者間が納得をし、話し合いに折り合いがつけば判決を待たずとも和解調書によって訴訟を終わらせることもできます。

当然、判決に納得がいかない当事者も出てくるでしょう。その場合には、裁判所に対して不服申し立てをすることができます。第一審が簡易裁判所であった場合は地方裁判所が控訴審となり、第一審が地方裁判所であった場合は高等裁判所が控訴審となります。それでも納得がいかない場合は、上告をすることができます。控訴審が地方裁判所であった場合は高等裁判所が上告審となり,控訴審が高等裁判所であった場合は最高裁判所が上告審となります。

3.まとめ

相続に関するトラブルは非常にナイーブな問題です。遺産分割協議にわだかまりがあると、その後の相続人同士の関係性はもろく崩れ去ることが多々あります。そうなってしまっては、相続人のために財産を残した被相続人の気持ちは報われません。遺族間の紛争を避ける意味でも、自分自身の意向を伝える意味でも、あらかじめ生前からしっかりとした対策を行うように心掛けましょう。

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