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ーコラムー
相続のトラブル

遺贈・贈与が複数ある時の遺留分減殺請求の順序は?

公開日:2018.6.20 更新日:2019.07.12

相続においては、時に相続人が期待したよりも少ない遺産しか手にすることができず相続トラブルの種になることがありますが、一定の相続人には遺言によっても犯すことのできない最低取り分である「遺留分」が保障されています。

今回は遺留分の対象になる遺贈や贈与が複数ある時はどうなるのか解説します。

目次
1.遺留分は「遺留分減殺請求」で取り戻す
2.遺留分減殺請求の対象になる法律行為は何か?
3.遺留分減殺請求を行う順序
4.受贈者や受遺者が無資力の場合はどうなる?
5.具体例
6.まとめ

遺留分は「遺留分減殺請求」で取り戻す

遺留分は「遺留分減殺請求」で取り戻す

遺留分を取り戻すには、遺留分の対象になる財産を貰い受けた者に対して請求をしなければならず、これを「遺留分減殺請求」といいます。

被相続人からの財産の移転は法律行為によって行われますが、法律行為にはいくつかの類型があります。

その類型によって請求する順番が違ってくるので、これを次の項から見ていきます。

遺留分減殺請求の対象になる法律行為は何か?

遺留分減殺請求は、この請求の対象になる以下のような法律行為によって被相続人から財産を貰い受けた者に対して行うことになります。

相続

遺言によって相続人に財産を承継させる行為

遺贈

遺言によって友人など相続人以外の者に財産を譲る行為

死因贈与

生前に、自らが死亡したことを条件に他者に財産を譲る行為

生前贈与

生前に他者に財産を譲る行為


上記のような行為が複数あった場合、遺留分減殺請求の対象になる順序についてもルールに従う必要があります。

遺留分減殺請求を行う順序

遺留分減殺請求は、まず最初に遺贈によって貰い受けた財産が対象になります。

遺贈が複数あった場合には、遺言者が遺言によって別段の意思を示している場合を除き、原則としてその遺贈の価額の割合に応じてそれぞれ減殺します。

この時、相続によって特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言があった場合は遺贈と同順位で減殺することになります。

相続や遺贈による財産によっても遺留分が満たされない場合、次に死因贈与の対象になった財産が遺留分減殺請求の対象になります。

それでも満たされない場合に生前贈与により移転された財産が対象に入ってきます。生前贈与は取引の性質が濃いことから、取引の安全性というものを考えて遺留分の効力が及びにくいようになっているのです。

ちなみに生前贈与が複数ある場合には、やはり取引の安全性の観点から相続開始に近い時期になされたものから順に遺留分減殺請求の対象になっていきます。

もし仮に、遺言によって上記の順番を違えるように(例えば最初に遺贈でなく生前贈与から減殺するように、など)指示したとしてもそれは無効になります。

  ここまでは遺贈・贈与が複数あるときの「遺留分減殺請求」の順序を確認しました。

さらに具体例をもとに理解を深めていきたいと思いますが、その前に受贈者(贈与を受ける人)や受遺者(遺贈を受ける人)が無資力(財産より債務が超過していること)の場合はどうなってしまうのかを確認しておきましょう。

受贈者や受遺者が無資力の場合はどうなる?

受贈者や受遺者が無資力の場合はどうなる?

もし、ここまでで紹介した順番で遺留分減殺請求をかけていく段階で、対象者が無資力の為に遺留分を取り戻すことができなかった場合はどうなるのでしょうか。

この場合、残念ながら後順位の財産に遺留分減殺請求を行うことはできません

後順位の財産を貰い受けた者が、先順位者の無資力という自分には責任の無い偶然の事情によって損害を受けることは適当ではないとされているためです。

従って、請求相手の無資力がもたらすリスクは遺留分権利者が負担することになります。

具体例

ではここで簡単な例を挙げますが、話しを分かりやすくするために単純化した事例とします。


被相続人となるAは生前の平成30年3月1日に友人Bに1000万円を生前贈与しました。

また同年4月1日には前妻であるCに2000万円を譲る死因贈与契約を結びました。

そして平成30年の6月15日に2000万円(Cに対する2000万円とは別枠)の遺産を残して亡くなり、相続人は子Eの一人となりました。

遺言には遺産の2000万円について、愛人のDに遺贈するとありました。

被相続人Aは生前に仲の悪かった子Eには何も財産を残したくなかったようです。


このケースの場合、相続人Eの遺留分の目的となる基礎財産はBの1000万円※、Cの2000万円、Dの2000万円を合わせた計5000万円です。

相続開始前1年以内になされた生前贈与については遺留分の対象となる基礎財産に加えることになります。もし1年より前の贈与でも、遺留分権利者の権利を害することを贈与契約の双方が知っていた場合は基礎財産に加えられることになります。

そしてこのケースではEの遺留分は基礎財産の二分の一にあたる2500万円となります。 この場合、Eはまず遺贈を受けた愛人Dに対して遺留分減殺請求を行うことになります。

しかしDからは2000万円しか回収できませんから、次に前妻Cに対して同請求をかけ、残りの500万円を回収するということになります。 これでEは自身の遺留分2500万円を回収することができ、満足を得ることができます。

結果、生前贈与を受けた友人Bは無傷で済むことになりました。

まとめ

今回は遺贈や贈与が複数ある場合の遺留分減殺請求について見てきました。

被相続人によってなされる財産の移転方法は相続や遺贈、死因贈与、生前贈与がありますが、遺留分減殺請求を行うには順番があり、ルールに従って手続きを進める必要があります。

遺留分はそれ自体が非常に難しい概念であることもあり、処理が難しいものです。加えて現実の場面では各権利者間で利害の衝突が起きる分野でもありますから、実務的にも難度が高いものになります。

もしあなたが遺留分の権利者になったり、逆に遺留分を請求される立場になった時には、不利益を生まないように相手方との折衝は専門家に任せた方が安心です。

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