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ーコラムー
相続のトラブル
税理士監修記事

数次相続とは?分割方法や手続きについて解説!

公開日:2020.3.3 更新日:2020.03.03

相続手続き未了のまま家族が相次いで亡くなった」「所有する不動産が複数世代に亘り相続登記されていない」といった状況なら、相続人による数次相続の手続きが必要です。

数次相続の難点は、家族関係の把握・法定相続人および相続分の特定など、状況に応じてほとんど無限に複雑化する点です。数ある相続ケースのなかでも、特に専門家に依頼する必要性がある例だと言えるでしょう。

世代を隔てた遺産承継について、遺産分割の方法・相続登記・相続税など、相続人が最低限知っておきたい知識を具体例で解説します。

【この記事で分かること】

  • 数次相続の概要…「再転相続」「代襲相続」「同時死亡」との違い
  • 遺産分割協議の方法…相続人とその相続分の特定方法・遺産分割協議書の書き方
  • 数次相続の相続税…適用できる控除の種類
  • 相続放棄の疑問…相続放棄できるケース・相続放棄できないケース
目次

1.数次相続とは?
 1-1.数次相続の難点
2.代襲相続、同時死亡、再転相続との違いとは?
3.【具体例で紹介】数次相続の分割方法とは?
 3-1.パターン1:親の他界時に相続手続き未了だったケース
 3-2.パターン2:祖父母の他界時に相続手続き未了だったケース
 3-3.パターン3:おじorおばの他界時に相続手続き未了だったケース
4.数次相続の遺産分割協議書の書き方
5.相続登記の手続きについて
6.数次相続の相続税について
 6-1.相続税の申告期限
 6-2.基礎控除・相次相続控除
7.数次相続の相続放棄について
8.まとめ

1.数次相続とは?

相続手続きは元来複雑かつ時間のかかるものです。ある相続財産について、名義変更の手続きを終えないまま相続人が亡くなったり、そもそも相続手続きが一切手付かずのまま放置されてしまったりすることがあります。

このようにして第2・第3…と相続が開始された結果、今回の相続人が中間の相続も含めて遺産分割手続きを進めなければならない状況を「数次相続」と呼びます。

【数次相続の例】両親が父・母と短期間に相次いで亡くなり、その居住用不動産について子供たちが相続登記しようとしたところ、登記名義人が父方の祖父であることが分かった。

最初の相続:祖父から父へ(一次相続
中間の相続:父から母と子へ(二次相続
今回の相続:母から子へ(三次相続

今回の相続人(子)が自分名義で相続登記するために、一次相続と二次相続の両方について遺産分割の手続きをとる必要があります

1-1.数次相続の難点

数次相続のハードルとなるのは、一次相続の権利者全員を遺産分割協議に参加させる必要がある点です。

ここで相続権の性質(時効消滅せず親から子へと承継されていく性質)を考えると、数次相続で遺産分割に参加させるべき人数は鼠算式に増えているでしょう。全員を特定して協議への参加を呼び掛ける作業は、時として全く手に負えません。

以上のことから、数次相続が必要になったときは、以下で解説する最低限の知識から予測を立てた上で、出来るだけ専門家に依頼すべきだと言えます。

2.代襲相続、同時死亡、再転相続との違いとは?

世代を隔てて相続手続きを要する事例には「代襲相続」「同時死亡」「再転相続」と呼ばれるケースもあります。左記3種類については、中間の相続をある程度考慮しなければならないものの、数次相続に比べるとはるかに扱いが容易だと言えるでしょう。

相続の種類を見分ける際は、今回の相続における被相続人の死亡時期が目安となります。

【区別方法】数次相続・代襲相続・同時死亡・再転相続の違い

相続の種類 被相続人(二次相続)の死亡時期
数次相続 一次被相続人の死後3ヵ月以降
再転相続 一次相続人の死後3ヵ月以内
代襲相続 一次被相続人の生前
同時死亡 一次被相続人と同時

再転相続以降の各相続パターンについて、以下で詳説します。

2-1.再転相続

再転相続とは、相続の承認または放棄を決めるべき期限内(死後3ヵ月/民法第915条・第916条)に相続人が亡くなり、第二の相続が開始される状況を指します。

数次相続と同じく、第一・第二の相続をそれぞれで遺産分割を要するものの、相続人の主観的家族関係が把握でき、相続人調査の手間はそれほどかかりません。

再転相続に該当するのは「高齢の両親が立て続けに亡くなった」「交通事故に遭った同乗の家族が治療の甲斐なく前後して亡くなった」等のケースです。

2-2.代襲相続

代襲相続とは、中間の相続人が被相続人よりも先に亡くなったことで、被相続人から二世代以上離れた相続人へと遺産承継が直接起こる状況を指します。

代襲相続は民法で規定されており(第889条)、最初の被相続人から今回の相続人までの遺産の流れを一括して「一次相続」と考えます。したがって、中間の相続で遺産分割を行う必要はありません。

代襲相続に該当するのは「祖父母から孫への相続」「おじorおばから甥or姪への相続」といった事例です。

※代襲相続が発生する原因には死亡の他に「相続欠格」「相続廃除」があります。こちらのコラムで解説をしています。代襲相続と相続放棄 ~ 基本的なルール(子・兄弟姉妹・養子)について

2-3.同時死亡

同時死亡とは、ある1つの原因(事故や災害)で死亡した被相続人について、仮に「まったく同じ瞬間に亡くなったもの」として扱う相続手続きです。左記の考え方は、法律用語で“同時死亡の推定”と呼びます(民法第32条2項)。

同時死亡の推定が働いた被相続人の間では、遺贈や相続の効果は生じません。死亡者のあいだに家族関係が存在しなかったものとして遺産承継が開始されるため、中間の相続を考慮する必要がそもそもないのです。

【例】夫婦が地震による建物の倒壊に巻き込まれ、その後発見されたものの死亡の前後が分からない場合

⇒子どもがいない場合、夫婦の財産はそれぞれの実家(相続順位第二位の直系尊属または第三位の兄弟姉妹)が承継します。夫婦各々の固有財産の区別さえつけば良く、両家そろって遺産分割協議を行う必要はありません。

3.【具体例で紹介】数次相続の分割方法とは?

数次相続では、最初に述べたように「一次相続の権利者全員」を全員捜索した上で遺産分割を行う必要があります。さらに、それぞれが持つ法定相続分(法律で決められた取り分)も考慮しなければなりません。
今回の相続人が行うべき遺産分割の手順を最初にまとめると、以下の通りです。

  1. 被相続人(遺産の現名義人)の祖父母から下の世代の家系図を書きだす
  2. 家系図に死亡者とその死亡年月日を書き込む
  3. 一次・二次・三次…と順に相続人を特定する
  4. 一次相続人の相続分を計算する
  5. 二次相続人以降の相続分を順に計算し、現在相続分のある親族を全員特定する
  6. 現在相続分のある人で遺産分割協議を行う

<【予備知識】相続順位とは>

遺産分割にあたり、法定相続の知識は欠かせません。(以下表)。
存命の配偶者が最優先で相続し、残りは子どもへ・子どもがいない場合は直系尊属へ・直系尊属がいない場合は兄弟姉妹へといった、相続の優先順位(相続順位)を押さえておきましょう。

また、配偶者の相続分は「どの順位の人と一緒に相続するか」によって変わることにも要注意です。

配偶者 他の相続順位の人がいない場合:遺産全体を承継
第一順位と相続する場合:1/2
第二順位と相続する場合:2/3
第三順位と相続する場合:3/4
第一順位 直系卑属(実子・全配偶者との子・非嫡出子・養子含む)
第二順位 直系尊属(父母や祖父母など)
第三順位 兄弟姉妹

法定相続人・法定相続分についてはこちらのコラムで詳しく紹介をしています。(参考)法定相続人になる人とその順位、相続分の割合についての具体例

ここからは、先世代から相続手続き未了のままのケースを「①親の代から」「②祖父母の代から」「③おじ・おばの代から」の3つに分け、数次相続の実例を紹介します。

3-1.パターン1:親の他界時に相続手続き未了だったケース

「両親のうち先立った人について相続手続きが済んでいなかった」というケースでは、以下のように処理します。

【例】父⇒母の順で亡くなり、遺産の名義人が祖父のままだったことが判明した場合
被相続人:父(平成20年死亡)
一次相続人:母(令和2年死亡)
二次相続人:子A・子B


①一次相続人の法定相続分
母:1/2
子A:1/4
子B:1/4

②二次相続人の法定相続分
子A:1/4+(1/2×1/2)=1/2
子B:1/4+(1/2×1/2)=1/2
…母(一次相続人)の相続分は子Aと子Bに受け継がれます。

③最終的な遺産分割の割合
子A:1/2
子B:1/2

⇒それぞれの取り分について異論がないときは③法定相続分に従って分割します。

3-2.パターン2:祖父母の他界時に相続手続き未了だったケース

より複雑な例であり、本記事の最初に挙げた「祖父母の他界時に相続手続きを行っていなかった」といったケースでは、次のように遺産分割を行います。

【例】祖父⇒父⇒母の順で亡くなり、遺産の名義人が祖父のままだったことが判明した場合
被相続人:祖父(平成20年死亡)
一次相続人:父(平成27年死亡)・叔父
二次相続人:母(令和2年死亡)・子A・子B
三次相続人:子A・子B

※本例では、祖父より先に祖母が亡くなっていたとします。


①一次相続人の法定相続分
父:1/2
叔父:1/2

②二次相続人の法定相続分
母:1/2×1/2=1/4
子A:1/2×1/4=1/8
子B:1/2×1/4=1/8
…父(一次相続人)の相続分を、母・子A・子B(二次相続人)がそれぞれ相続します。

③三次相続人の相続分
子A:1/8+(1/4÷2)=1/4
子B:1/8+(1/4÷2)=1/4
…母(二次相続人)が父(一次相続人)から受け継いだ相続分について、子(三次相続人)が分割して②で生じた自分達の相続分に加算します。

④最終的な遺産分割の割合
叔父:1/2
子A:1/4
子B:1/4

⇒叔父・子A・子Bが数次相続による遺産分割を行い、それぞれの取り分について異論がないときは④法定相続分に従って分割します。

3-3.パターン3:おじorおばの他界時に相続手続き未了だったケース

最後に、おじ・おばから遺産を承継する例で遺産分割方法を検討してみましょう。

【例】未婚で子どものいない伯父⇒父⇒母の順で亡くなり、遺産の名義人が伯父のままだったことが判明した場合
被相続人:伯父(平成20年死亡)
一次相続人:父(平成29年死亡)・伯母(平成30年死亡)
二次相続人:母(令和2年死亡)・子A・子B
三次相続人:子A・子B

本例では、伯父より先に祖父母が亡くなっていたとします。


①一次相続人の法定相続分
父:1/2
伯母:1/2
※以降は伯母の数次相続の流れを割愛します。

②二次相続人の法定相続分
母:1/2×1/2=1/4
子A:1/2×1/4=1/8
子B:1/2×1/4=1/8
…父(一次相続人)の相続分を、母・子A・子B(二次相続人)がそれぞれ相続します。

③三次相続人の相続分
子A:1/8+(1/4÷2)=1/4
子B:1/8+(1/4÷2)=1/4
…母(二次相続人)が父(一次相続人)から受け継いだ相続分について、子(三次相続人)が分割して②で生じた自分達の相続分に加算します。

④最終的な遺産分割の割合
伯母の相続人:1/2
子A:1/4
子B:1/4

⇒伯母以降の数次相続における相続人・子A・子Bが数次相続による遺産分割を行い、それぞれの取り分について異論がないときは④法定相続分に従って分割します。

数次相続とは

4.数次相続の遺産分割協議書の書き方

中間の相続において遺産分割しなければならない場合でも、遺産分割協議書は1通で問題ありません。内容も通常の協議書と同様です(以下参考)。

ただし「①当事者の表示と署名欄」と「②数次相続があったこと」の特記は必要です。遺産分割協議書は法的効力を有する契約書のひとつであり、当事者の関係ははっきりとさせておく必要があるからです。


<【参考】遺産分割協議書に記載する内容>

  • 被相続人と相続人全員分の表示
  • 相続財産の一覧
  • 遺産分割の合意内容
  • 合意が成立した年月日
  • その他特記事項(葬儀費用の負担など)
  • 相続人の署名押印

①遺産分割協議の参加者の表示・署名押印

遺産分割の当事者の表示・署名は、それぞれの肩書きを数次相続に対応したものにする必要があります。
被相続人(遺産の現名義人)は「被相続人」・協議書によって遺産を承継しようとする人は「相続人」で構いません。ただし、中間の相続人は「○○(氏名)の相続人兼被相続人」と明記する必要があります。


【例】祖父母から数次相続するケース
被相続人 :祖父A(平成20年死亡)
一次相続人:父B(平成27年死亡)・叔父C
二次相続人:母D(令和2年死亡)・子E・子F
三次相続人:子E・子F

⇒遺産分割協議書の冒頭と最後に、以下の肩書きをつけて当事者表示と署名を行う。

祖父A・・・・「被相続人」
父B・叔父C ・「祖父Aの相続人兼被相続人
母D・・・・・「父Bの相続人兼被相続人
子E・子F ・・「相続人」

②数次相続があった旨の特記事項

表示・署名を工夫するだけでは、数次相続の関係を完全に説明できるとは言えません。法的関係を明確にするため、遺産分割協議書の本文条項に事実を列記しておく必要があります。

【例文】
一、被相続人祖父Aが平成20年〇月〇日に死亡したことにつき、父Bおよび叔父Cが相続人となった。
二、その後、平成27年〇月〇日に父Bが死亡し、父Bを被相続人とする相続について、母Dと子Eおよび子Fが相続人となった。
三、その後、令和2年〇月〇日に母Dが死亡し、母Dを被相続人とする相続について、子Eおよび子Fが相続人となった。
四、第一条および第二条と第三条の事実から、被相続人祖父Aの相続財産について、子Eおよび子Fおよび叔父Cが、次条以下の通り遺産分割を行うものとする。
⇒(各自の取り分を指定する条項へ続く)

5.相続登記の手続きについて

遺産分割のあとは名義変更が必要となり、不動産においては相続登記が欠かせません。 ここで問題となるのが、①中間の相続を省略して登記してもいいのか(中間省略登記)、それとも②中間の相続の回数分登記しなければならないのかといった点です。

さらに、不動産登記は毎回「登録免許税」がかかるため、②のように登記回数が増えるとコストがかさみます。左記の問題についても、活用できる税制を理解しておく必要があるでしょう。

5-1.【〇】中間省略登記できるケース

中間省略登記が出来るのは、一次相続から中間の相続にかけて全て単独相続(取り分が分散せず一人に承継されている)ケースです。中間省略できる典型例として、以下の例が挙げられます。

【例】両親ともに亡くなり、先立った方の所有不動産を相続登記しようとするケース
被相続人 :父(平成20年死亡)
一次相続人:母(令和2年死亡)
二次相続人:子A・子B

⇒一次相続で単独相続となっているため、中間省略登記は不要です。

5-2.【×】中間省略登記ができないケース

反対に、中間で共同相続が行われているケースは登記の省略が出来ません。個別のケースによって異なるものの、原則として共同相続の回数に合わせて登記する必要があります。

【例】祖父他界時から登記されておらず、親に兄弟姉妹がいるケース
被相続人 :祖父(平成20年死亡)
一次相続人:父(平成27年死亡)・叔父
二次相続人:母(平成29年死亡)・子A・子B
三次相続人:子A(令和2年死亡)・子B
四次相続人:子B

⇒一次~三次にかけて全て共同相続であるため、中間省略登記は原則として出来ません。

【例】祖父他界時から登記されておらず、親に兄弟姉妹がいないケース
被相続人:祖父(平成20年死亡)
一次相続人:父(平成27年死亡)
二次相続人:母(令和2年死亡)・子A・子B
三次相続人:子A・子B

⇒一次が単独相続であり、三次相続で結果として子A・子Bに母の相続権が全て渡ったものの、中間省略登記できない可能性があります。

5-3.数次登記時の免税措置について

数次相続時における不動産の登録免許税は、2021年3月31日までの登記に限り「相続による土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置」を適用できます。適用を受けることで、登記回数に関わらず登録免許税は一切かかりません。

<数次登記時の免税措置の概要>
(正式名称:相続による土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置)

対象不動産 ・相続登記未了のまま登記義務者が亡くなっている土地建物
・課税評価額が10万円超であること
対象者 死亡した登記義務者から上記不動産を承継し、相続登記しようとする人
免税対象額 登録免許税の100%

6.数次相続の相続税について

数次相続においては、一次相続から中間相続までの手つかずとなっている相続税申告も課題です。また、ほとんどのケースで本来の申告期限(死亡の翌日から10ヵ月以内/相続税法第27条2項)をとうに過ぎており、無申告扱いにならないかと不安に思うでしょう。

これら相続税の申告期限・課税の扱いはどうなるのでしょうか。

6-1.相続税の申告期限

数次相続しようとする相続人は、中間の相続人の分についても税申告が必要です。ただし、申告期限は「今回の相続における被相続人の死亡の翌日から10ヵ月以内」で構いません。

【例】両親が亡くなって数次相続が必要となったケース
被相続人:父(平成20年2月1日死亡)
一次相続人:母(令和2年2月10日死亡)
二次相続人:子A・子B

⇒子A・子Bには、故母が行うはずだった父の分の相続税申告についても義務が生じます。ただし、父母それぞれについて両方とも令和2年12月11日までに申告すれば、無申告課税などのペナルティは発生しません。

6-2.基礎控除・相次相続控除

今回の相続人にとって次に気がかりなのは、相続税に適用できる各種控除です。

■基礎控除
基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は、一次相続人の数で計算します。つまり、手続きがなされないまま相続が何回生じようとも、基礎控除の金額は変わりません。

■相次相続控除
一次相続から二次相続までのあいだが10年以内なら、その年数に応じて「相次相続控除」を適用できます。控除額は一次相続発生から二次相続発生までの間隔(年数)に応じて変化し、以下の式で計算することが出来ます。

【相次税額控除額の計算方法】
A × { C ÷(B-A) } ×( D ÷ C )×{ (10-E) ÷ 10 }

A:一次相続で相続人が支払った相続税額
B:一次相続で相続人が取得した財産(債務控除後)
C:今回の相続の遺産総額(債務控除後)
D:今回の相続で申告者が取得した財産(債務控除後)
E:一次相続~二次相続の年数(1年未満の端数は切り捨て)

注意したいのは、相次相続控除の対象が法定相続に限られる点です。
遺贈(遺言によって法定相続分以外に指定された取り分)については適用できません。

7.数次相続の相続放棄について

数次相続の事例では、当事者のなかに債務を抱えている人物がいるケースも稀ではありません。負の遺産を承継したくない場合、今回の相続が起きてから3ヵ月以内であれば、数次相続のどの段階についても相続放棄することが出来ます(民法915条1項)。

ここで問題となるのが「一次相続を放棄して中間の相続を承認する」あるいは「中間の相続を放棄して一時相続を承認する」のどちらも出来るのかどうかです。

7-1.【〇】一次相続を放棄して中間の相続を承認する

一次相続を放棄しても、中間の相続は承認できます。
中間の被相続人から生じる固有の相続権は、最初の被相続人とは別に、今回の相続人に属しているからです。

7-2.【×】中間の相続を放棄して一次相続を承認する

反対に中間の相続を放棄してしまった場合は、一次相続を承認することは出来ません。
相続放棄の対象となった被相続人の時点で、それまで承継されてきた権利のすべてが消滅してしまうからです。

8.まとめ

「親の遺産が実は相続手続き未了だった」と判明したときは、遺産の現名義人である被相続人から現相続人へと名義変更する“数次相続”の手続きが必要です。

本記事中の具体例で確認したように、数次相続のハードルは極めて高いと言わざるを得ません。

【数次相続の問題点】

●一次相続の権利者全員を捜索する必要がある
⇒相続手続き未了の期間が1世代でも開けば、遺産分割協議に参加させるべき人数は何人でも増大する可能性がある。

●遺産分割協議書の書き方が複雑
⇒家族関係を明確にしておく必要があり、協議の参加人数が増えるほど文書で表現することが困難になる

●相続税・登録免許税・相続放棄の問題
⇒高額納税や“負の遺産”を回避するには、ケース毎に知識と柔軟な対応スキルが求められる

以上のことから、たとえ相続に関する知識を有していても、家族だけで手続きを処理するのは困難と言わざるを得ません。数次相続が発生すると分かった段階ですぐに専門家(弁護士・税理士)へ相談することをおすすめします。

この記事を監修した税理士

日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬

2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ

・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数

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