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ーコラムー
事業承継
税理士監修記事

債権放棄とは?回収できる見込みがない場合、債権放棄したほうが良いのか?

公開日:2015.11.2 更新日:2024.05.15

取引相手の倒産による売掛金の回収ができない、または融資した債権が戻らないとお悩みではありませんか。

事業承継を検討しているのであれば、回収できる見込みのない債権は放棄することがおすすめです。

債権放棄をして損金として処理すれば、後継者への引継ぎもスムーズに進むでしょう。

本記事では、債権放棄についてわかりやすく解説します。

回収の見込みがない債権を持つことでのリスクや、手続きの必要性を紹介するので、債権にお悩みの方は参考にしてください。

1. そもそも債権放棄(債務免除)とは?

債権放棄とは、債務者の意思にかかわらず債権者の意思のみで債務を消滅させる、債権者の単独行為です。

民法519条で「債権者が債務者に対し債務を免除する意思を表示したときは、その債権は消滅する」と規定されている通り、債権者の独断で債務をなくすことができます。

民法では「免除」と表記されていますが、一般的には「債権放棄」と呼ばれることが多くなっています。

債権放棄と似た言葉に「債務免除」があります。

債権放棄と債務免除の違いは、債権者が単独で行う放棄手続きか、債務者が債権者の判断によって債務を免除されるかという点です。

債権者が債権放棄手続きを行うことで、債務者の債務免除が実現するため、債務者側からは免除手続きを行えないと考えておきましょう。

2. 回収できそうにない債権を持っていると・・・

回収の見込みがない債権でも企業の資産として計上されるので、課税対象になる・株価を高くするなどのリスクを伴います。

債権が資産として計上されれば課税対象に含まれるため、法人税の納付額が高くなります。

また、株価が上がることで事業承継時の相続税納付額も多くなるので、後継者の負担が増すでしょう。

そのため回収の見込みがない債権は、早めに手放すことがおすすめです。

また債権を放棄するときは、対外的な証拠を残すために内容証明郵便を使うことが大切。

税務申告の際の証拠となるので、法人税の申告や、事業承継時の相続税の申告時に役立つでしょう。

例えば、取引をしていた相手方の会社が倒産し、売掛金が回収できなくなったとします。

回収できない売掛金をそのままにしておくと、帳簿上その売掛金債権は資産として計上されます。

法人税、または相続税の納付額を抑えるには、資産としての計上を避けなければなりません。

そのためには、売掛金債権を放棄し、損金として処理する必要があります。

損金として処理した場合、後に税務署から「債権放棄の証拠を見せてください」と言われる事があります。

証拠がないと放棄したことになりませんので、証拠を残すために内容証明郵便が使われる、というわけです。

3. 債権は回収できる範囲できちんと回収しましょう

回収の見込みがないからといってすぐに諦めず、回収できそうな金額のみでも回収するようにしましょう。

他社に200万円を貸していた場合、全額の返済は厳しくても、半分の100万円なら回収できるかもしれません。

半分を取り戻して、残りを損金として処理すれば、企業損失を抑えられます。

まずは債務者と話し合い、回収可能かどうかを確認しましょう。

回収が難しい場合は、どれくらいの金額なら回収できそうかを聞き、可能な分だけ返済してもらうことが大切です。

4. みなし贈与の可能性に注意

債権放棄は、場合によってはみなし贈与とみなされる可能性があるので注意が必要です。

債権者が債務者に対して債権放棄をすれば、債務者は債務額を利益にできます。

利益の向上によって債務者の純資産価額が上がると、株の価値も高くなるため、債務者の株主が得をするのです。

債権者が債権放棄を利用して、債務者の株主に免除益分の価値を贈与したとみなされれば、贈与税の対象になります。

ただし、すべてのケースで贈与税と判断されるわけではないので、心配な方は専門家に相談することがおすすめです。

5. 債務者が倒産したらどうなるのか

万が一、債務者側の企業が倒産してしまうと、売掛金は回収できません。

回収できなくなった債務は貸倒損失として処理できますが、一定の要件を満たさなければ計上できないため、場合によっては債権者側が大きな損失を負います。

自社の損失を避けるには、売掛金債権を放棄し、全額を損金扱いするしかありません。

民法でも、債権者が一方的に債権放棄をすることができると規定されていますので、このような場合には、放棄してしまった方が時間をかけずに処理することができます。

また、相手方が破産宣告を受けている時に、債権放棄通知書(債務免除通知書)を送る場合は破産管財人に送ります。

6. 回収できない債権は早めに債権放棄手続きを行うことが大切

回収の見込みがない債権を抱えている方は、早急に債権放棄について検討することがおすすめです。

時間をかけて協議をしていると、債務者側の企業が倒産し、債権放棄の手続きができなくなる可能性があります。

貸倒損失の計上は一定の要件を満たさなければならないので、計上できない可能性を考慮して、債権放棄の手続きを実行したほうがいいでしょう。

自社の大きな損失を避けるためにも、迅速に手続きを進めることが大切です。

相続の相談コラム監修

日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬

2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ

・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数

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このコラムは「日本クレアス税理士法人」が公開しております。

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