会計・税務・人事労務・事業承継・相続など、企業の成長を支えるサービスを提供する、日本クレアス税理士法人(本社:東京都千代田区、代表社員:中村 亨)は、全国の30歳~69歳の男女を対象に実施した「デジタル遺産の管理方法に関する調査」を発表いたしました。
2018年までに日本のインターネット利用率は79.8%に達し、スマートフォンの個人保有率も64.7%と普及が進んでいます(総務省「情報通信白書」令和元年版※)。こうした状況に伴い、認知されつつあるのが「デジタル資産」の存在です。
ここでの「デジタル資産」とは、個人のスマートフォンやパソコンで管理処分が完結する財産を指します。
【一例】デジタル資産の種類
- オンラインバンキングで管理する預金
- オンライン取引中の株式や投資信託
- キャッシュレス決済のチャージ残高
- 交通系電子マネーのチャージ残高
問題が起きやすいのは、上記のような資産が相続によって「デジタル遺産」に変化する時です。
金融業界全体で紙媒体の廃止が進んでいる今、所有者本人からの聞き取りなしでデジタル遺産を発見するのは困難です。発見できたとしても、管理処分に必要なパスワードなどのセキュリティ情報までは入手できず、遺産分割の手続きが難航する恐れがあります。
こうしたデジタル遺産の問題はまだ提起されたばかりで、どれくらいの家庭が、どの程度まで「万一の際にスムーズに家族へ引継ぐための準備」を行っているのか未知数です。そこで日本クレアス税理士法人では、デジタル資産の保有状況に加え、相続対策に関する意識や現状を調査しました。
調査結果のサマリー
- 85%がデジタル資産を所有、うち「電子マネー」がトップ。保有状況に年代差なし。
- デジタル資産を残すことに70%が心配を感じている
- デジタル資産を残すための相続対策方法は「紙に書く」
- 相続対策を実際に行っているのは15%
- 残す側・残される側も「情報の共有」が重要
「デジタル遺産」の管理方法とは?調査結果
85%がデジタル資産を所有、うち「電子マネー」がトップ
デジタル資産の所有状況を確認する問いでは、85%が所有していると回答しました。また保有しているデジタル資産の内容は、「電子マネー」がトップに。次いで「ネットバンク口座」「バーコード決済アプリ」と続き、資産をデジタルで保有するキャッシュレスの浸透が見て取れます。
※電子マネー …チャージして利用できる電子マネー(Suica・Waonなど)
※ネットバンク口座 …ネットバンクなど、紙の通帳が発行されていない預金口座
※バーコード決済アプリ …PayPay・LINEPayなど
※オンライン証券口座 …オンライン取引しかできない証券口座(株式や投資信託の売買ができるもの)
※海外口座 …オンラインで取引中の海外口座(預金口座やFX口座など)
なお、「デジタル遺産は所有していない」の回答は、年代別に大きな特徴は見られませんでした。電子マネー利用、預金のオンライン取引、さらにネットを使った株取引などの資産運用まで、スマホやパソコンによる財産管理のIT化、キャッシュレスの浸透は世代を問わず進んでいると考えられます。
デジタル資産を残すことに70%が心配を感じている
自分が被相続人(家族に財産を託す)になった場合のデジタル資産の相続については、約70%が「心配している」と回答。
心配している内容として最も多かったのが「家族に見つけてもらえるかどうか」で、これはデジタル資産特有の悩みと言えるでしょう。
実体のある資産であれば、故人の周囲に「紙の通帳」や「固定資産税の納税通知書」などが遺されます。これにより、財産目録や遺言書を作成しないまま死亡した場合でも、家族や生活拠点を調べてもらうことで容易に遺産を発見できます。
一方で、端末やネット上で管理される資産の多くはほぼ完全にペーパーレス化されているため、存在を家族に把握してもらうには生前からの対策が必要となってきます。
デジタル資産を残すための相続対策方法は「紙に書く」
自分が被相続人(家族に財産を託す)になることを想定したデジタル資産の相続対策として、どのようなことを行っているかの問いには、「紙に書く」が最も多く回答されました。
※紙に書いて残している …資産管理のためのセキュリティ情報を紙に書いて残している
※家族に話している …デジタル資産の所有状況について、セキュリティ情報を含めて家族に話している
※弁護士などの第三者に預けている …デジタル遺産の所有状況について、セキュリティ情報を含めて弁護士などの第三者に預けている
実体のある資産であれば、故人の周囲に「紙の通帳」や「固定資産税の納税通知書」などが遺されます。これにより、財産目録や遺言書を作成しないまま死亡した場合でも、家族や生活拠点を調べてもらうことで比較的容易に遺産を発見できます。
紙に書いて残すことは、資産を発見してもらう上では有効な手段の一つですが、遺産分割のトラブルを避け円満な相続をするという目的は果たせません。財産に関する自分の意思を確実に伝えることができる手段は遺言書の作成であり、財産目録でデジタル資産の存在を明記することで「見つけてもらえない」という心配はぬぐえるのですが、「遺言書を作成する」の回答は低く出ています。
なお、「遺言書を作成する」の回答を年代別に見てみると、30代が最も多く回答がありました。
相続対策を実際に行っているのは15%
自分が相続人になった(親や配偶者が他界することによって財産を譲り受ける)場合を想定し、デジタル資産の相続に対して心配があるかどうか問いには、80%に近い方が「心配している」と回答しましたが、その中で「対応を行っている」という回答はわずか15%でした。
デジタル資産の相続にはどんな心配があるのか、どんなルールや対策があるのか広く認知がされていないことが回答に表れていると思われます。
残す側・残される側も「情報の共有」が重要
親や配偶者が他界することによって自分が相続人になった場合、デジタル資産の相続でどのようなことが心配になると考えられるかの問いには、「所有状況を知らないこと」がトップの回答になりました。
デジタル資産の相続の問題は、「発見してもらえない」「見つけられない」だけではなく、本人が管理できない間に不正アクセスをされてしまうといったトラブルも招きかねません。また、投資目的で保有していた高額なデジタル資産が相続の手続きから漏れてしまった場合、課税面で相続人に負担をかけてしまう可能性もあります。
家族と話し合い、スマートフォンやパソコンで利用するサービス等の情報を管理することが、デジタル資産の相続対策の第一歩として重要なのではないでしょうか。
調査について
調査概要
調査方法 :インターネットリサーチ
調査対象 :20歳~69歳の男女
調査期間 :2020年12月9日~2020年12月12日
有効回答数 :340サンプル
会社概要
会社名 :日本クレアス税理士法人
所在地 :東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビルディング33階
設立 :2002年9月
代表 :中村 亨(公認会計士・税理士)
事業内容 :会計・税務、相続・事業承継、M&A(仲介・コンサルティング)、FAS(株価算定/財務調査/企業再編)、人事労務/給与計算)、IFRS(国際財務報告基準)・決算開示(ディスクローズ)支援、内部統制(J-SOX)・内部監査、海外現地法人サポート
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