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ーコラムー
税制改正
税理士監修記事

2017年税制改正で注目されている「相続税法の5年ルール」とは?

公開日:2016.12.7 更新日:2022.06.28

さて、突然ですが「相続税法の5年ルール」というものをご存知でしょうか?

相続税法の5年ルールとは、日本国内において相続税や贈与税に影響を及ぼす可能性がある特別なルールを指し、2017年の税制改正において注目を集めています。

2015年の税制改正によって相続税の基礎控除が下げられたことはご周知の通りかと存じます。

今まで相続税が課されていなかった世帯にとっても、以前に比べて、より多くの世帯に相続税の影響が出始めています。現在利用されている制度を正しく理解した上で現状把握することは、これからの税制改正に対応していくために必要不可欠と言えるでしょう。

そこで今回は相続税法の5年ルールの概要と経緯、今後の動向について見ていきましょう。

目次

1.「相続税法の5年ルール」概要と活用例
2.5年ルールに関する2000年と2013年の税制改正の概要
  2000年の税制改正
  2013年の税制改正
3.2012年の国外財産調書制度の概要
4.2015年の出国税導入の概要
5.富裕層を取り巻く環境は?
6.「相続税法の5年ルール」の改正による影響とは?
7.まとめ

1.「相続税法の5年ルール」概要と活用例

2017年税制改正で注目されている「相続税法の5年ルール」とは?

相続税法の5年ルールとは、資産を子や孫に承継する場合、日本国内において相続税や贈与税が課されないために、海外に住む場合の最低居住期間が5年超必要というルールをいいます。

要は、日本国籍を有する被相続人又は贈与者と、相続人又は受贈者の何れもが、相続が開始された日又は贈与が行われた日前5年間以上海外に居住していた場合には、日本国内に存在する資産のみが相続税又は贈与税の課税対象となり、海外に存在する資産は相続税又は贈与税の課税対象外となるというルールです。

このルールを知っている人(特に富裕層)は、このルールを利用することで日本における非常に高い相続税や贈与税の納税を回避することができてしまいます。

なぜなら、海外においては、日本と比べて個人に対する税金が非常に低い国や非課税の国があることから、国外に資産を移転してしまえば、本来日本国内において払うはずであった相続税や贈与税の納税をすることなく、子や孫の世代に資産を承継することが可能になるのです。

2.5年ルールに関する2000年と2013年の税制改正の概要

2000年の税制改正

2000年以前には、そもそも最低居住期間が5年必要というルール自体が存在していませんでした。そのため、国外に資産を移転さえしてしまえば、5年を待たずして低い税率又は無税で自らの資産を子や孫に承継させることができたため、資産を海外に移転する富裕層が増え続けていたのです。

そこで2000年の税制改正において、相続人の海外居住期間に「5年ルール」の縛りが設けられたのです。

これにより相続人と被相続人がそれぞれ5年以上海外に居住している場合のみ、海外に存在する資産について日本国内における相続税は非課税とされました。

しかし、2000年の税制改正においても、外国籍の国外居住者に対しては依然として非課税扱いとされていて、これが一種の抜け道として利用されていました。

2013年の税制改正

そこで2013年の税制改正において、たとえ外国籍であったとしても、贈与を受ける時点から遡って、5年以内に日本国内に居住していた場合には、日本国内において課税対象となるように税制が変更されたのです。

そして、2000年の税制改正を皮切りに、富裕層を対象とする資産の取り締まりは強化されていきます。その中でも、2012年と2015年に行われた税制改正は、富裕層にとっては避けて通れないものとなっています。

それでは2012年と2015年の税制改正では何が行われたのでしょうか?

「相続税法の5年ルール」は2000年の税制改正で導入された制度ですが、これを皮切りに、富裕層を対象とする資産の取り締まりは強化されています。ここからはその中でも、富裕層にとっては避けて通れない2012年の国外財産調書制度の導入2015年の出国税導入について説明します。

3.2012年の国外財産調書制度の概要

2012年の国外財産調書制度の概要

「国外財産調書制度」とは、居住者(非永住者を除く)で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には、その国外財産の種類・数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、その年の翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければいけないという制度です。

この制度が導入されたことにより、国税当局は富裕層の国外財産を把握しやすい環境となりました。

ちなみに、国外財産調書を提出期限内に提出しておけば、国外財産調書に記載がある国外財産に関して相続税等の申告漏れが生じた場合であっても、その国外財産に係る過少申告加算税等が5%軽減されます。

反対に、提出期限内に提出が無い場合又は国外財産調書に記載すべき国外財産の記載がない場合には、過少申告加算税等が5%加重されてしまいます。

また、国外財産調書に虚偽の記載等をした場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金といった重い罰を科せられる可能性があります。

4.2015年の出国税導入の概要

「出国税」とは、正式名称を「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例(国外転出時課税制度)」といいます。

「国外転出時課税制度」とは、原則として、国外転出をする日前10年以内において、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年を超えている者が、国外転出の時に所有等をしている有価証券等の価額等の合計額が1億円以上であった場合には、その有価証券等の譲渡等があったものとみなして、その有価証券等の含み益に対して所得税が課税されるという制度です。

今までの税制では、日本の非居住者となった後に株式等を売却した場合には、日本の所得税等の課税を受けることはありませんでした。

これを利用すれば、多額の含み益を計上している有価証券等を所有していたとしても、日本から出国し非居住者となった後で、キャピタルゲインが非課税の国で有価証券等を譲渡してしまえば、比較的容易に税負担を回避することができていたのです。

この行為に歯止めをかけた制度がいわゆる出国税です。

出国税の制度が導入されたことにより、一定の者は、出国をする際に株式等を譲渡等したものとみなされるため、その時点で日本国内において課税されてしまうため、これまでの様な方法で租税回避を行うことができなくなってしまいました。

5.富裕層を取り巻く環境は?

以上を受け、昨今の富裕層を取り巻く税制は年々厳しくなってきています。

納める税金を少しでも低く抑えたい納税者と、税収を少しでも多く納めてもらいたい当局のやり取りはいたちごっこにも思えますが、1つ1つ抜け道を塞ぐ動きが際立っています。近年では、超富裕層プロジェクトチーム(PT)の発足に伴って、国税当局の富裕層への包囲網は如実に出来上がりつつあるといえるでしょう。

このような流れからも、2017年税制改正による「相続税法の5年ルール」の見直しは注目されています。5年ルールの改正により、どのような影響が考えられるかを見ていきたいと思います。「相続税法の5年ルール」は2000年の税制改正で設けられた制度であり、これを皮切りに富裕層を対象とする資産の取り締まりは強化され、2012年には国外財産調書制度、2015年には出国税が導入されました。

また2013年には外国籍の国外居住者に対しても、贈与を受ける時点から遡って、5年以内に日本国内に居住していた場合には、日本国内において課税対象となる、と税制が変更されました。 2017年の改正ではどのような影響が生じるのでしょうか?見ていきましょう。

6.「相続税法の5年ルール」の改正による影響とは?

「相続税法の5年ルール」の改正による影響とは?

現在、話に挙がっている税制改正は、相続税法の5年ルールを廃止し5年ではなく10年ルールにしようというものです。これにより、今よりも税金逃れのハードルは上がるように思われます。

しかし、実際のところはそう上手くいくのでしょうか?答えはNOである可能性も高いのではないかと思われます。

相続税の税率が上がり、基礎控除が下がったことで表面的な税収は増加しました。

しかし、これは一般的な家庭からの納税が増えたに過ぎません。どの時代でも富裕層、特に超富裕層は税金対策を怠りません。専門的な知識が必要な分野に対して専門家を雇い入れる潤沢な資金が手元にあるからです。

一時期話題になったタワマン(タワーマンション)節税に関しても、一般家庭の耳には入っていないでしょう。もし、一般的なサラリーマンがタワマン節税の知識を得たとしても、実際に行動に移せる世帯はごく限られています。

相続税法の5年ルールが10年ルールに延長されたとしても、富裕層は必ずやまた別のアプローチを発見してくるように思えてなりません。

7.まとめ

税金の制度が出来てから今日に至るまで、様々な税制改正が行われてきました。

そして、富裕層は、税制改正の重箱の隅をつつくように、時代に合わせた合法的な抜け道を何通りも見つけ出してきました。日々移り変わる税制に関して、常日頃からアンテナを立てて今後の動向にも注目していくことが時代の今を生きる最良な手段と言えそうです。  

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