名義預金とは、形式的には家族の名前で預金しているが、実質的にはそれ以外の真の所有者がいる、つまり、それら親族に名義を借りているのに過ぎない預金をいいます。
名義は被相続人のものでなくても、実質的に被相続人の預貯金と認められるものは、被相続人の相続財産に該当します。このような名義預金のほか、株式についても同様に名義株式とされるものがあります。
目次 |
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1.名義預金判定のポイントは? |
名義預金判定のポイントは?
1.預金通帳・証書の保管
預貯金の保管を誰が行っているのかは重要なポイントです。 保管者が被相続人で、相続人がその預貯金の名義人であったとしても、その存在を相続開始まで知らなかった場合、その預貯金の真の所有者は被相続人と推定されてしまいます。
2.印鑑
預金取引の開始の際、本人確認のために印影の届出を行うのが一般的です。 贈与を行った者と同じ印鑑であれば、贈与者の名義預金として認定される可能性があります。 税務調査では厳しくチェックされるポイントです。
3.贈与税の申告の有無
贈与税の申告を行っていない場合、名義借りとして認定されてしまう可能性があります。 名義だけが相続人のものであり、実質は父親の相続財産として認定されてしまうわけです。
4.管理運営者
預貯金だけでなく、当然のことですが、所有者本人が管理運用します。 預金の引き出しや、定期預金の満期に伴う書き換えは、相続人が行うべきものなので、これらの手続きや運用を被相続人が行っていたとしたならば、名義預金として否認されるリスクがあります。
5.原資のチェック
一体どこからそのお金が振り込まれてきたのか?名義人の所得状況や資金源等、税務調査では諸条件を色々な角度からチェックされることになります。
名義預金と税務調査の関係
相続税の税務調査で申告漏れが最も多いのは預貯金です。 被相続人名義の預金等を申告から漏らすことはあまり現実的でないので、おそらく調査で指摘された預貯金等の大半は、名義預金ではないでしょうか。
申告漏れが指摘された財産のうち、現金預金は約34%を占め、有価証券と合わせると約大半を占めることになります。 これらのデータより、税務調査で狙われるターゲットは名義預金や名義株であることが分かります。
相続対策を行うのであれば、実際の所有者が相続人になっているかどうか確認する必要があります。
税務署はどうやって名義預金を調べるか?
結論から申し上げますと、税務署はあなたの預金を把握してから調査に来ています。基本的に、すべての金融機関に対して照会を行い、預金や株式の照会は済ませた上で調査に入っていると考えて下さい。
亡くなった方名義の預金はもちろんのこと、その親族名義の預金も閲覧しています。具体的には、亡くなった方がお持ちであった預金がある支店に、親族名義のものまたは住所が同じものがあるかどうか調べます。
また、その閲覧した預金のうち内容の分からない大きなお金の出金があるとその振込先の預金も調べることもあります。郵便貯金においては、支店は関係なく一括で照会ができますので、郵便局に税務署は照会しないというのは、間違いです。
よくある質問例
Q: 父親の相続税の税務調査で、息子である私名義の預金口座が名義預金であると指摘されました。追加で納税をしなければならないのでしょうか?
A: 相続人名義の預金口座であっても、被相続人の管理下にある預金は相続財産とみなされてしまいます。
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