不動産以外の全ての財産のことを「動産」と言います。
相続財産に動産が含まれる場合、どのように対応していけばよいのでしょうか。今回の記事で具体例を踏まえながら解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次 |
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1.一般動産と動産の区分 |
1.動産とは?
財産には、家や土地を表す動かすことができない財産「不動産」と、お金や家具、車といった動かせる財産「動産」があります。これは民法第86条で「不動産以外の物は、すべて動産とする」定められています。
「財産評価基本通達」によると、
身近な物でいうと、テレビや自動車、株券やゴルフ会員権等が動産です。また、電気やガス、ガソリン等も動産扱いになっています。
2.動産の評価方法
動産の価額は、原則として、売買実例価額又は精通者意見価格等を参考にして評価します。要は、実際にいくらで売買が成立するのか(時価)を基準にするということです。
しかしながら、現実には売買実例価額又は精通者意見価格等が明らかではない場合が存在します。
そのような場合には、その動産と同種及び同規格(新品)の動産の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)における償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価します。
つまり、
動産の評価額=小売価額-(償却費の額の合計額又は減価の額)
と表すことができます。
つまり、ほぼ同じとみなせる物の販売価額から減少した資産の価値分を引いた金額を、動産の評価額とする見積もり的な計算方法です。
2-1.償却費の額の計算方法
上記に示した償却費の額を計算する場合における耐用年数は、耐用年数省令に規定する耐用年数によります。
耐用年数とは、例えば、同じパソコンでも人によっては3年で取り換える人もいれば、10年間使い続ける人もいます。これでは、パソコンの耐用年数が3年なのか10年なのかが個人毎に異なってしまいます。これを全員同じ基準で定めたものが法定耐用年数で、償却の額の計算の基礎に使われています。
ちなみに、パソコンの法定耐用年数は4年(サーバー用のものを除く。)です。
また、償却方法は定率法のみが認められていて、定額法による計算は認められていません。定率法とは、未償却残高(価値が残っている部分)に一定の償却率を乗じて計算する方法をいいます。
3.評価方法の具体例
3-1.自動車・オートバイ等
自動車やオートバイ等は相続財産となり、相続税の課税対象となるため価値を評価しなければいけません。
そして、自動車やオートバイ等は動産として取り扱われるため、原則として、売買実例価額又は精通者意見価格等を参考にして評価額とすることになります。
ただし、売買実例価額又は精通者意見価格等が明らかではない場合については、その動産と同種及び同規格(新品)の動産の課税時期における小売価額から償却費等の額を控除した金額を評価額とします。
その動産と同種及び同規格(新品)の動産の課税時期における小売価額については、他の同種・同等の中古車相場を参考価格とすることができます。また、中古車買取業者に査定してもらうことで算定された見積価格を評価額とすることもできます。
3-2.金地金(きんじがね)
金地金は相続財産となり、相続税の課税対象となるため価値を評価しなければいけません。
金地金の評価額は、被相続人が死亡した日における小売価格となります。金地金は1gあたりの業者買取価格が公表されているため、相続を受けた金地金の重さ(g)に公表価格を乗じた金額が評価額となります。
金地金には必ず貴金属業者の刻印が入っているので、その貴金属業者に直接問い合わせをするか、又は、その業者のホームページで被相続人が死亡した日における買取価格を確認すると良いでしょう。
3-3.ゴルフ会員権
ゴルフ会員権は相続財産となり、相続税の課税対象となるため価値を評価しなければいけません。
評価方法は取り扱いの違いにより大きく分けて2通りあります。なお、一定の要件を満たし、返還を受けることができる預託金等(以下「預託金等」といいます。)がなく、単にゴルフ場施設を利用してプレーするだけのものについては評価対象外となります。
1 取引相場のある会員権
課税時期(被相続人が死亡した日)の取引価格の70%相当額が評価額となります。
ただし、取引価格に含まれない預託金等があるときは、次に掲げる(1)又は(2)の金額との合計額が評価額となります。
(1) 課税時期に直ちに返還を受けることができる預託金等の場合
返還される預託金等
(2) 課税時期から一定の期間が経過しないと受けることができる預託金等
一定の期間中にその預託金等を運用したとした場合における現在価値(複利計算)
2 取引相場のない会員権
(1) 株主でなければ会員となれない会員権の場合
課税時期における株式の価額に相当する金額によって評価します。
(2) 株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権の場合
その会員権について、株式の部分と預託金等の部分に分けた上で、それぞれ次に掲げる金額の合計額によって評価します。
イ 株式の価額
上記2の(1)に掲げる方法を適用して計算した金額
ロ 預託金等
上記1の(1)又は(2)に掲げる方法を適用して計算した金額
(3) 預託金等を預託しなければ会員となれない会員権の場合
上記1の(1)又は(2)に掲げる方法を適用して計算した金額によって評価します。
今回取り扱った具体例は3つだけでしたが、動産は種類が多く、評価に悩まれることも多いかと思います。そのような場合は相続に詳しい税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
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