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ーコラムー
遺言書を作成する

遺言執行者(遺言執行人)とは?

公開日:2019.7.1 更新日:2019.07.12

遺言執行者とは、被相続人(亡くなった人)の遺言書の内容を実現するための手続きを任された人のことです。

遺言書によって財産を取得させることを「遺贈」といいますが、遺言執行者は、被相続人の意思(遺言書の内容)に従って遺贈を実行したり、関係機関に届け出を行ったりする権限をもちます。

遺言執行者が選任される場合とは?

遺言執行者は、被相続人が選任したり、被相続人が亡くなってから遺族らが一定の手続きを経て選任したりしますが、遺言書があったとしても、遺言執行者を必ず選任しなければならないわけではありません。

遺族で遺言書の内容を実現できれば、遺言執行者がいなくてもよいのです。 しかし、中には法律上、遺言執行者がいなければ行えない手続きがあります。 また、必要ではないけれど遺言執行者がいることによってスムーズに進められる手続きもあります。

そこで、
■遺言執行者が必要とされるケース
■遺言執行者を選任した方がよいケース

に分けて、遺言執行者を選任する事例について解説していきます。

目次

1.遺言書で子どもの認知を行う場合(遺言執行者者が必要とされるケース)
2.遺言書で相続人の廃除を行う場合(遺言執行者者が必要とされるケース)
3.遺言書で相続人廃除の取消しを行う場合(遺言執行者者が必要とされるケース)
4.遺贈による不動産の取得がある場合(遺言執行者を選任しておいた方がよいケース)
5.遺言書の存在を秘密にしておきたい場合(遺言執行者を選任しておいた方がよいケース)
6.遺言書の内容を相続人に妨害されないか心配な場合(遺言執行者を選任しておいた方がよいケース)
7.遺言執行者の役割
8.遺言執行者の選任方法
9.遺言執行者に選任すべき人とは?
10.遺言執行者の解任について

まずは、「遺言執行者が必要とされるケース」ですが、次のようなものがあります。

・遺言書で子どもの認知を行う場合
・遺言書で相続人の廃除を行う場合
・遺言書で相続人廃除の取消を行う場合

それぞれについて見ていきます。

遺言書で子どもの認知を行う場合(遺言執行者者が必要とされるケース)

遺言執行者が必要となるケースに、遺言書に子どもを認知する旨が記載されている場合があります。

認知とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)について、親子関係を認める手続きのことです。

遺言書で認知を行うケースには、たとえば、子どもがいることを知りながら生前に認知できない事情がある場合や、亡くなる直前に子どもができたことを知った場合などは、遺言書によって認知を行うことが考えられます。 女性の場合は出産とともに親子関係が認められますので、一般的には、父親が行うものとなります。

認知は、通常、父親から役所への認知届の提出によって行われますが、遺言により認知が行われた場合は、遺言認知といって、戸籍法により、遺言執行者が届け出でなければならないことが決められています。

遺言認知の届け出先は、父親の本籍地か住所地、または認知される子の本籍を管轄する役所です。

父親から認知されていない子は、父親の法定相続人にはなりませが、認知されることによって、父親の実子とみなされます。

子は第1順位の法定相続人ですので、存在すれば必ず相続人となり、他の実子と同じ割合の相続分が認められます。

つまり子どもの認知を行うことは、他の相続人の相続関係を変化させる非常に重要な内容となるのです。

遺言書で相続人の廃除を行う場合(遺言執行者者が必要とされるケース)

相続人の廃除とは、被相続人の意思で、相続人になってもらいたくない人を相続人から除外するよう家庭裁判所に請求する手続きのことです。

被相続人から生前に家庭裁判所に請求することもできますし、遺言書によって相続人の廃除の意思表示を行うことも認められています。

遺言執行者が必要とされるのは、後者の遺言書によって相続人の廃除を行う場合です。 被相続人が遺言書に相続人の廃除の意思表示を行っている場合、遺言執行者は、家庭裁判所にその請求を行う義務を負います。

<相続人の廃除の請求が行われる場合とは>
相続人の廃除の請求を行うことができるのは、被相続人がその相続人から虐待や重大な侮辱を受けた場合のほか、相続人にその他の著しい非行があった場合です。

対象となる相続人は、遺留分をもつ推定相続人ですので、被相続人の親や子などが対象になります。

遺言書で相続人廃除の取消しを行う場合(遺言執行者者が必要とされるケース)

遺言書では相続人の廃除の取消しを行うこともできます。この時もまた、遺言執行者による手続きが必要です。

たとえば、生前に被相続人が長男について、相続人の廃除の手続きを行うも、時間の経過とともに思い直し、遺言書に長男の相続人廃除の取消しを記載するケースが考えられます。

相続人の廃除の取消しは、被相続人が生前に行うこともできますが、これが遺言書による意思表示である場合は、遺言執行者が家庭裁判所に請求しなければなりません。


続いて、必要ではないけれど、遺言執行者を選任しておいた方がよいケースを3つご紹介します。

・遺贈による不動産の取得がある場合
・遺言書の存在を秘密にしておきたい場合
・遺言書の内容を相続人に妨害されないか心配な場合

遺言執行者(遺言執行人)とは?

遺贈による不動産の取得がある場合(遺言執行者を選任しておいた方がよいケース)

相続した不動産の所有権移転登記を行う場合、その申請は、相続人全員(代表者でも可)で行うこととなります。

ところが遺贈の場合、法定相続人でない人が不動産を取得する可能性があります。
もし法定相続人でない人が不動産を遺贈によって取得した場合、遺贈を受けた人は、単独で登記の申請を行うことができません。法定相続人と共同で申請するか、遺言執行者と共同で申請する必要があります。

法定相続人が反対している状況があるなど、遺贈を受けた人と法定相続人が共同して申請を行うことが難しいと予想される場合は、遺言執行者を選任しておくとよいでしょう。

遺言執行者がいれば、遺言の内容を相続人らに妨害されることなく、スムーズに登記を行うことができます。

遺言執行者は、相続が発生した後に選任することも可能です。選任方法については、後述します。

遺言書の存在を秘密にしておきたい場合(遺言執行者を選任しておいた方がよいケース)

生前のうちは、遺言書の存在を秘密にしておきたい場合もあります。
しかし遺言書の存在を秘密にした場合に問題となるのは、その遺言書自体が発見されなかったり、見つけた人が隠してしまったりするケースです。

もちろん、遺言書を破棄したり隠ぺいしたりすることは許されないことですが、第一発見者にないものとされてしまった場合、亡くなった人にはどうすることもできません。


遺言書は自己保管や、第三者に預けるといった方法がありますが、いずれにせよ相続人が遺言書の保管先にたどりつかなければ、相続手続きを混乱させてしまいます。そうならないよう、遺言書を遺族に秘密で遺したいときは、信頼できる人物を遺言執行者としてあらかじめ選任し、遺言書の保管先を伝えておきましょう。

そうすることにより、確実に遺言書の存在を遺族に知らせることができます。もちろん、遺言執行者自身に遺言書を預けることも可能です。

なお、自筆証書遺言は、2020年7月10日から、法務局に保管を申請することができるようになります。

遺言書の内容を相続人に妨害されないか心配な場合(遺言執行者を選任しておいた方がよいケース)

遺言書を作成したからといって、その内容どおりに遺産が相続されるわけではありません。 遺言書によって遺贈を受けた人には、確かに、その財産を受け取る権利がありますが、遺言書には最終的な拘束力はなく、最後は全員が合意すれば、遺言書どおりに遺産を分けなくとも構わないのです。

このことから懸念されるのは、「遺贈を受けた人が他の相続人に自身の権利をきちんと主張できないのではないか」、「他の相続人から圧力を受けるのではないか」ということになります。

こうした懸念があると、かえって争いに巻き込むのではないかと心配になり、遺言書を作成することに迷いが生じることでしょう。このような事態が懸念される場合もまた、信頼できる遺言執行者を選任しておくことが望ましいといえます。


遺言執行者を選任している場合、他の相続人は、遺言の執行を妨げる行為をすることは禁じられています。また改正法では、遺言執行者を選任している場合、遺贈の履行は遺言執行者のみの権限であることや、相続人が行った遺言の執行を妨げる行為については無効となることが明確化されました。

このことから、他の相続人は、遺言執行者が選任されている場合、遺言の内容については遺言執行者に従わざるを得ません。

したがって、遺言執行者を選任することにより、遺贈を受けた人になるべく負担をかけず、遺言の内容をより実現しやすくなることが期待できます。

遺言執行者の役割

遺言執行者の役割

遺言執行者の権利義務については、遺言の内容を実現するため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為であることと定められています。

「遺言の内容を実現するため」という部分は、2019年7月施行の改正民法により加えられた文言です。これにより、遺言執行者の役割は、被相続人の意思の実現であることが再確認されたと言えます。

改正民法では、このほかにも、遺言執行者の権限や役割に関する内容が多く改正されています。

それでは、遺言執行者には具体的にどのような役割があるのか、改正部分に触れながら見ていきましょう。

相続人への通知

改正民法によって、遺言執行者は、任務を開始したとき、遺言書の内容を相続人に遅滞なく通知することが義務付けられました。

遺言書によって財産を受け取る人に対してだけでなく、すべての相続人に通知しなければならないことがポイントです。

これによって、たとえば遺言書の内容に反対しそうな相続人にだけ通知せずに遺言の執行を行ってしまい、後に遺留分の算定や相続税の計算などで、トラブルとなるようなケースが防止されます。

遺言書の内容を相続人に遅滞なく通知するために、遺言執行者は、まず相続人が誰であるかをきちんと把握し、相続人全員に対して、自身が遺言執行者に就任したことを知らせる必要があります。

ところで、遺言執行者に選任された人が、遺言執行者の職に就くかどうかはっきりしない状況が続くと、相続手続きに支障が生じます。

そこで相続人らは、遺言執行者がその職に就くことを承諾してくれるかどうかについて、相当の期間を定めて、その期間内に確答することを催告することが認められています。

もしこの催告が行われたにも関わらず、期限内に相続人らに対して確答が行われないときは、遺言執行者の職に就くことを承諾したものとみなされるので注意が必要です。

相続財産目録の作成と交付

遺言執行者は、遅滞なく、相続財産目録を作成して相続人に交付しなければなりません。作成には、遺言の対象となる1つ1つの財産を正確に記載する必要があります。

たとえば預貯金であれば、預貯金の種別、金融機関名、支店名、口座番号、金額などです。不動産であれば所在地、地目や種別、面積、持ち分などを記載することとなります。

ただし、相続人から請求があれば、相続人立会いのもとで作成するか、あるいは公証人に作成してもらうこととなります。

特定財産承継遺言に対抗要件を備えるための行為

改正民法によって、遺言執行者の職務の内容に、「特定財産承継遺言」に対抗要件を備えるための手続きを行うことが追加されました。

「特定財産承継遺言」とは、特定の財産を相続人に相続させる旨の遺言(いわゆる「遺言による相続」)のことで、改正民法によって、他の遺言との区別のために生まれた用語になります。たとえば「土地甲を長男Bに相続させる」というような遺言のことです。

なぜこのような区別が行われたかというと、これまでの「遺言による相続」に関する解釈と実務が関係しています。


通常、不動産は登記をしなければ第三者に対抗することはできませんが、特定財産承継遺言の場合、これまでは、登記がなくても第三者対抗要件が備わっているという解釈のもと、実務が行われてきました。

そして遺言執行者については、この特定財産承継遺言により不動産を相続させる場合の登記申請について、介入する余地がないものとされてきたのです。

理由は、過去の判例によって、登記申請そのものは遺言執行者の権限の範囲内であるものの、特定財産承継遺言の場合、相続人が単独で登記申請を行えるものに分類されるため、遺言執行者の職務権限は及ばないとされてきたためです。

しかし改正法により、

が明確化され、さらに遺言執行者については
が定められました。


遺言執行者の役割という視点でまとめるとこうなります。

これまで遺言執行者が登記手続き等に関われなかった、「遺言による相続」についても、法定相続分を超える相続であれば、相続人に代わって手続きしてもよい

預金払戻し・預金解約手続き

被相続人の預金の払い戻しや預金解約手続きについても、改正法によって遺言執行者の権限の及ぶところとして明確化されました。

対象となる預貯金は、前記の「特定財産承継遺言」により取得されたものです。

遺言執行者の選任方法

遺言執行者を選任する方法には、

■被相続人が遺言書で指定する方法
■相続人などが家庭裁判所で選任する方法

があります。

また遺言書で指定する方法には、遺言執行者を指名する方法と、遺言執行者の指定を委託する方法があります。

遺言執行者を遺言書で選任する方法

被相続人は遺言書によって、遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者を指名して選任することも可能ですし、遺言執行者の指定を第三者に委託することも可能です。

遺言執行者の指定の委託があった場合、委託を受けた人は、遺言執行者を指定するか、遺言執行者を指定する役割を辞退するかを選択しなければなりません。

そして、遺言執行者を指定するときも辞退するときも、その旨を遅滞なく相続人に通知することが義務付けられています。

遺言執行者を家庭裁判所で選任する方法

遺言執行者を指定していない場合や、遺言執行者がいなくなった場合は、家庭裁判所に「遺言執行者の選任の申立」を行うことによって、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者としたい人をあらかじめ決めて、利害関係人から申し立てることになります。 利害関係人には、相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた人などが該当します。

遺言執行者の人数

遺言執行者の人数は、1人でも複数人でも構いません。
複数人の場合、任務を行うときの意思決定は、原則として、遺言執行者の過半数の決議を必要とします。

ただし、遺言書に意思決定の方法などについて別の方法が決められている場合は、遺言書の方法に従います。

遺言執行者の復任権とは

改正民法では、遺言執行者として指定を受けた人は、遺言執行者の責任において、その任務を第三者に行わせることができるようになりました。

たとえば遺言執行者と指定を受けたものの、多忙でどうしても業務を負担できない場合、専門家のサポートが必要と感じたときなどに、士業などに委任するケースが考えられます。 ただし遺言書に復任権に関する別の内容が指定されていた場合は、遺言書に従わなければなりません。

遺言執行者に選任すべき人とは?

遺言執行者となる人に、特に資格などは必要ありません。相続人を選んでも構いませんし、友人でも遺言執行者になることができます。

ただし遺言執行者には、相続に関するさまざまな専門知識が必要になります。

法定相続人に関すること、財産に関すること、遺言と相続の違い、登記等の手続きなど、馴染みがない人にとって、遺言執行者の役割は大きな負担になることでしょう。相続人にとっても相続の知識をもつ人は多くないため、さまざまな質問が飛んでくるものと予想されます。

遺言執行者になれない人

遺言執行者として選任する相手に特別な条件は必要ありませんが、次の人は、遺言執行者に選任することはできません。

・未成年者
・破産者

遺言執行者の解任について

いくら被相続人が適任だと判断して指定した遺言執行者だったとしても、やむをえない事情から、遺言執行者としての職を全うできなくなる場合があります。
このようなときは、遺言執行者を解任することができます。

遺言執行者が解任されるケース

遺言執行者に次の理由があるとき、利害関係人(相続人、債権者、遺贈を受けた人など)は、遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求することができます。

・任務を怠ったとき
・正当な事由があるとき

任務を怠ったときとは、遺言書の内容を履行しない場合はもちろん、相続財産目録の作成や預貯金解約手続きなど、遺言執行者としての職務を行ってくれない場合が考えられます。

正当な事由があるときとは、たとえば遺言執行者が病気やケガで入院してしまい、遺言書の内容を実現できなくなった場合などが考えられます。

なお、遺言執行者自身からも、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。

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