ーコラムー
保険の生前対策

相続税対策に最適な生命保険の種類とは?

2016.11.13

生命保険は、病気やケガに見舞われてしまったときの保障機能を有すると同時に、長期間加入することで払い込んだ保険料以上の返戻金が戻ってくる貯蓄機能があることが知られています。もうひとつ、生命保険が活用できるのが「相続税における」機能です。

相続税において、生命保険はどのような機能を有しているのでしょうか。また、相続税対策に最適な生命保険の種類とは何でしょうか。

相続時における資産計上

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まず、相続税額はどのように決められるのかをお伝えします。

相続税とは、人の死亡において財産が次世代に引き継がれる際に、承継した人の財産に課税される税金です。死亡した人から見ると、配偶者や子ども、兄弟姉妹など様々な立場がありますが、その立場によって「相続できる資産配分」が法律によって決められています。

ただ、その配分は絶対的ではなく、死亡した人が遺した意思(遺言や信託)によって法律よりも優先して配分されることがあります。

いずれにしても、この配分時に残された人が資産承継時に納付する税金が相続税です。

相続税は承継した現預金に対して課税されることはもちろんですが、不動産や有価証券の相続資産も相続税の対象になります。これら現預金以外の資産をどのように金額計上するか、は資産によって定められており、それを「評価額」といいます。不動産や有価証券の評価額は現預金に比べ低く抑えられており、それを活用することで「相続税対策」なるものが行われています。

もちろん相続税対策は国の認められた方法で行われるもので、いわゆる「節税」の一環とされています。相続税を巡る節税には非課税枠の活用だけではなく、一定期間前に贈与をすることも有効です。これらは税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談しながら進めていくことが一般的です。

生命保険も、この相続税対策として活用することができます。

生命保険の評価方法

生命保険の評価方法を、具体的な家族の状況をもとにご説明します。

Aさんが死亡し、奥様のBさん、子どものCさんとDさんが相続するご家庭。生前Aさんは、5,000万円の生命保険に加入していました。生前Aさんが保険料を支払い、保険料の受取人は妻のBさんとしていました。

この生命保険金は、Aさんが死亡しないと発生しない資産のため、「相続資産には含まれない」と誤解している人も多くいます。実際は、「見なし相続財産」として相続資産に含まれるため、ほかの資産と合わせて計算することが大切です。

このケースの場合、Bさん、Cさん、Dさんは「法定相続人」となります。法定相続人とは、法律によって相続の権限を有すると定められた相続人のこと。相続において、様々なメリットがあります。そのなかのひとつとして生命保険では、この法定相続人の数によって「相続税の非課税枠」が定められています。

生命保険の非課税枠 = 法定相続人の数×500万円

参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm

この非課税枠は、相続する権利の放棄権である「相続の放棄」をする相続人も、法定相続人の数としてカウントします。また、法定相続人のなかに養子がいる場合、法定相続人として含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

これは過去、法定相続人を増やすことによって、非課税枠を拡大するという節税をする相続案件が増えたためです。

法定相続人の数による非課税枠は生命保険だけではなく、その相続案件にも適用される「基礎控除」にも法定相続の数による控除枠があります。その時に実際の孫や他人を「養子」とすることで控除枠を拡大が図られたため、このように定めるきっかけとなりました。

さて、ここまでで「生命保険を相続に活用する」方法がわかったかと思います。それでは、相続対策に最適な生命保険の種類を考えてみます。

前回と同じケースを使って考えていきましょう。

≪参考ケース≫

Aさんが死亡し、奥様のBさん、子どものCさんとDさんが相続するご家庭。生前Aさんは、5,000万円の生命保険に加入していました。生前Aさんが保険料を支払い、保険料の受取人は妻のBさんとしていました。

どのくらいの金額の生命保険から相続税がかかるのか

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上記のケースでは、法定相続人の数は奥様、お二人の子どもとあわせて3人です。

生命保険の非課税枠は1人あたり500万円のため、500万円×3人で1,500万円を超えた生命保険金が課税対象となります。実際は相続人ごとに受け取った生命保険金の按分額から非課税枠を按分し、残った金額がその相続人において課税対象の生命保険金額です。

その相続人が受け取った生命保険金の金額 - 非課税限度枠

= その相続人が受け取った生命保険金の金額 / すべての相続人が受け取った生命保険金の合計額

= その相続人の課税される生命保険金の金額

参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm

相続税対策に最適な生命保険の種類とは?

ここまで「生命保険」としてきましたが、相続資産として活用できる最適な生命保険は「終身保険」です。

保険加入者、保険料支払者が親世代で、保険金受取人が配偶者および子世代という「相続税の対象となるケース」のみ非課税枠を活用することができます。そのため、相続税対策における生命保険金は、「死亡退職金」と言い換えることもできます。

たとえば定期保険のように、保険加入者、保険料支払者がAさんとします。定期保険が満期を迎え、Aさんが満期保険金を受け取って仮にすぐ亡くなった場合は、これらの保険金は現金の相続と見なされ、非課税枠の活用はできません。相続税対策として生命保険を活用する場合は、「誰が保険金を受け取るのか」が大切です。

このあたりのスキームを間違えると、そもそも相続税対策としては意味を成さないものとなりますので、注意するようにしましょう。これは定期保険のほか、学資保険や養老保険も同様です。保険金受取人が誰なのかは念を押して確認するようにしましょう。

中小企業の事業承継にも活用できる生命保険

相続税対策の生命保険は、中小企業の事業承継としても活用することができます。これまでと同じように、実際の相続案件のケースをもとに見ていきましょう。

中小企業の自社株を100%有するAさんがいます。

将来的にAさんが亡くなったとき、法定相続人の按分に従うと、配偶者のBさん、子どもCさんとDさんに自社株が配分されることになります。

ただ、子どもに自社株を「配分」すると将来的に争いになる可能性があり、家族の意向としては長男であるCさんに全株を承継させたいところです。Dさんに株を渡さないためには相応の現金を準備する必要がありますが、現在の業績では難しいところ。

この時に、「法人保険」を活用することができます。

Aさんを保険加入者、保険料支払人とします。このときに保険金の受取人をDさんとすることで、Dさんの承継できる相続財産分を満たすことができ、自社株はCさんに承継させることができます(もちろん、Dさんを含めた親族全員の同意は必要です)。

この法人保険は、自社の役員を保険金受取人とし、死亡退職金を確保する方法としても使うことができます。

中小企業にとって役員の退職金を確保するのは難しいもの。当然保険に加入しているあいだは保障の範囲内となりますので、保障性を維持しながら退職金の原資を作ることができます。実際に、これらは相続税対策の非課税枠を使うことができるため、活用している中小企業は多いです。

まとめ

相続税の基本を抑えながら、相続税対策に最適な生命保険の種類を考えました。

個人の場合のみならず、法人保険としても活用できるこの特徴を理解し、相続時に活用して頂ければと思います。

また、これらは一見手軽そうで、細かい点にも注意しなければならない相続税対策です。周辺知識に精通していて、かつ対応実績の豊富な税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)に依頼することが大切です。