不動産承継の懸念のひとつが「費用の問題」ではないでしょうか。
相続登記の最低費用は1万5千円~2万円程度(登記1件あたり)と比較的安価です。初年度の税金の計算方法・専門家報酬の相場も知ることで、個別のケースで発生するコスト全体を見渡すことが出来るでしょう。
本記事を一読することで、相続登記の最低費用から専門家報酬の目安・依頼のメリットまで、網羅的に知ることが出来ます。
【この記事で分かること】
・相続登記時にかかる費用内訳
・登録免許税の計算方法・免除制度
・専門家報酬(4職種)の相場
・専門家依頼のメリット&依頼必須となる事例
目次 |
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1.そもそも相続登記はなぜ必要なのか |
1.そもそも相続登記はなぜ必要なのか
相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)とは、不動産の所有名義を被相続人から相続人へと変えるための重要な手続きです。それでは、費用負担してまで行う相続登記の目的とは、そもそもなんでしょうか。
この結論は、売却・増改築・無断占有者に対する明け渡し交渉の前提となる「対抗要件(民法177条)」にあります。
【対抗要件とは?】
・第三者に向かって所有権主張するための要件
・不動産の場合は「登記」が対抗要件になる
対抗要件がなくとも、亡くなった人の不動産を使用するのは構いません。しかし、他の相続人や取引相手に対して「不動産は自分のものだ」と訴えることは不可能です。不動産を排他的・独占的に支配し、法律行為に用いることが出来るのは、あくまでも登記名義人だけだからです。
以上の点から、承継人が不動産を有効活用する上で、相続登記はある程度のコストを覚悟してでも欠かせない手続きだと言えます。
2.相続登記にかかる費用とは?
相続登記時に発生する費用とは、実際にどの程度の金額なのでしょうか。
個別事例の金額に目途を立てる上で理解しておきたいのは、登記申請時の費用内訳として下記①~⑤がかかる点です。
<相続登記にかかる5種類の費用>
①登記手数料
②登録免許税
③添付書類の発行手数料
④財産調査費用(名寄帳の交付)
⑤専門家報酬
①~③の合計はいわば最低費用(専門家依頼も調査もせず自力で登記した場合の費用)であり、1万5千円~2万円程度が一般的な相場です。
⑤のみ後述とし、まずはその他の費用内訳を順に詳説します。
①登記手数料
登記申請時、法務局に対し「登録手数料」「登録免許税」の各費用を納める必要があります。登記手数料は申請1件あたりの費用が固定されていますが、登録免許税は登記種類と不動産評価額により異なります。
●登記手数料= 400円 × 登記件数(2件目以降は100円/1件)
②登録免許税
登録免許税には「不動産評価額の0.4%」の税率が定められており、相場は数千円から1万円程度となります。所有者不明土地問題(主に相続登記未了を原因とするもの)を解決するために、2019年現在は特例免税措置も取られています。
※詳しい計算方法や特例免税措置については、別途解説を行います。
③添付書類の発行手数料
不動産の登記申請にあたっては、登記原因や対象不動産を示すための様々な資料を添付しなければなりません。各書類の添付理由とともに、その発行手数料をそれぞれ紹介します。
※以下で紹介する発行手数料は2019年12月時点の東京23区を基準としたものです。また、市区町村や登記時期により費用が異なる場合があります。
【戸籍謄本】
相続開始と当事者関係の両方を示すため、原則として当事者全員分(被相続人と相続人)の戸籍謄本を準備しなければなりません。添付書類のなかでも最も発行手数料が高く(1通あたり450円または750円)、最低費用がかさむ原因となりやすいものです。
亡くなった関係者については「出生から死亡までの全ての戸籍謄本(役場にある全てのもの)」が必要となり、1人につき1通とは限らない点にも注意しましょう。
●戸籍謄本の発行手数料
●交付請求先…市区町村役場
相続関係者 | 必要な戸籍謄本の種類 | 発行手数料 |
被相続人&被代襲者(全員分※) | ※以下、市区町村役場にあるもの全て 戸籍全部現在事項証明書(450円) 改正原戸籍(750円) 除籍謄本(750円) |
450円~1,950円×人数分 |
相続人&代襲相続人(全員分※) | 戸籍全部現在事項証明書(450円) | 450円×人数分 |
※遺言書で不動産の承継人が指定されており、その内容通りに相続手続きを行う場合は、承継人の現在の戸籍謄本だけで構いません。
(参考)代襲相続とは
「祖父母→孫」「おじ・おば→甥・姪」のように、世代を超えて発生する相続のことです。本来相続人となるべき人の死亡または廃除(被相続人の意思で相続人から外されること)により、相続権そのものが子へと承継されることで起こります。
表中の「被代襲者」とは本来の相続人を指し、その相続権を受け継いだ人が「代襲相続人」にあたります。
【住民票】
課税管轄の役場を決定するために、住民票(除票)の写しも当事者全員分を用意しなければなりません。戸籍謄本とは異なり、住民票は1人につき1通発行するだけで法務局の求める証明を果たせます。
●住民票の発行手数料 = 300円 × (被相続人+相続人+代襲相続人+代襲被相続人)※
●交付請求先…市区町村役場
【印鑑登録証明書(遺産分割協議を行った場合)】
家族で話し合って相続分を取り決めた場合、不動産の承継について合意に至ったことを証明するため、遺産分割協議書に使用した印鑑の登録証明書が必要です。
発行手数料の計算時は、不動産を承継する人の分だけでなく相続人全員分が必要になる点に要注意です。
●印鑑登録証明書の発行手数料 = 300円 × 遺産分割協議に参加した相続人全員分
●交付請求先…市区町村役場
【登記事項証明書】
登記事項証明書は添付書類に含まれません。しかし、相続登記する不動産を特定して申請書へ転記するために必要となります。
●登記事項証明書の発行手数料 = 600円 × 登記件数※
●交付請求先…法務局
※「土地一筆」または「家屋一棟」を1件と数えます。
【固定資産評価証明書】
後述する登録免許税の算定のため、税額計算の基準となる不動産評価額(市区町村が決定したもの)を証明する「固定資産評価証明書」を発行・添付する必要があります。
●固定資産評価証明書の発行手数料 = 400円 × 登記件数※
●交付請求先…市区町村役場
※「土地一筆」または「家屋一棟」を1件と数えます。
④財産調査費用(名寄帳の交付)
市区町村役場で交付される「土地・家屋名寄帳」には、個人別に所有している不動産一覧が記載されています。
「被相続人の不動産所有情報がまったく分からない」「把握している土地建物以外にも所有の可能性がある」といった状況なら、財産調査の手段として名寄帳が役に立ちます。
●土地・家屋名寄帳の発行手数料 = 300円 × 被相続人の数
●交付請求先…市区町村役場
2-1.【例】相続登記にかかる最低費用
ここでいったん、一例を挙げて相続登記の最低費用を計算してみましょう。
財産調査・専門家依頼の両方が不要で、相続人自身の手で手続きを行うケースを紹介します。
【相続登記の費用例】父の遺した100万円の土地一筆・80万円の家屋一棟を、妻と子の2名で遺産分割協議により相続する場合
登記申請時の費用 | 登記手数料 | 400円 |
登録免許税 | 7,200円 | |
添付書類の発行手数料 | 戸籍謄本 | 被相続人:1,200円(役場にある2通すべて発行) 相続人:450円×2名分 |
住民票 | 300円×2名分 | |
印鑑登録証明書 | 300円×2名分 | |
登記事項証明書 | 600円 | |
固定資産評価証明書 | 固定資産評価証明書 | |
合計 | 11,600円 |
※新宿区役所・東京主税局の窓口交付手数料を元に作成。
3.登録免許税の算出方法
相続登記の最低費用内訳に含まれる「登録免許税」は、以下の計算式で算出します。
【登録免許税の算出方法】≒ 課税標準額 × 1000分の4(0.4%)
※課税標準額…固定資産税評価証明書(相続登記の添付書類のひとつ)に記載されている評価額
※算出結果は1,000円未満の端数切捨て
【例】土地一筆(課税標準額100万円)・家屋一棟(課税標準額80万円)を相続する場合
登録免許税 = (100万円+80万円) × 0.4% = 7,200円
3-1.登録免許税の特例免税措置(2021年まで)
相続登記時の登録免許税には、課税標準額ごとに適用できる2種類の特例免税措置が行われています。
【登録免許税の特例免税措置】
※下記いずれも2021年3月31日までに申請された相続登記のみ適用
- ①租税法に基づく免税措置:課税評価額10万円以下の土地建物が対象。
- ②数次登記時の免税措置:課税評価額10万円超の土地建物が対象。
本特例は、総面積が九州本土を上回るとも言われる所有者不明土地の問題に端を発するものです。
「登記のメリットが見いだせない」「そもそも手続きが面倒」との理由であえて相続登記しない人は少なくありません。こうした各々の都合を背景に、現在まで多くの不動産が帰属先のないまま荒れ果てており、行政負担と公益性毀損が深刻化しています。
以上のような現状を解決するため、相続人のコスト負担を減らして登記義務の実行を促そうとするのが、本特例の目的です。
①租税法に基づく免税措置
市街化区域外に所在する評価額の低い土地建物は、当然リターン(=売却や活用によって得られる収益)が少なく、登記コストの負担がためらわれるでしょう。
このデメリットを解消するのが、少額不動産の登録免許税を全額免じる本措置です。
<租税法に基づく免税措置>
正式名称;租税特別措置法第84条の2の3第2項による免税措置)
対象不動産 | ・法務大臣に指定する区域内にある土地建物 ・課税評価額が10万円以下であること |
対象者 | 相続登記しようとする人 |
免税対象額 | 登録免許税の100% |
②数次登記時の免税措置
相続登記しようとしたところ、先代所有者の未登記が判明することがあります。
こうした不動産については、先々代以上前の所有者から現世代へと直接的に所有権移転させるための「数次登記」が必要です。
特例対象期間内に数次登記が必要になったときは、課税評価額にかかわらず、登録免許税の全額が免除されます。
<数次登記時の免税措置の概要>
正式名称:相続による土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置
対象不動産 | ・相続登記未了のまま登記義務者が亡くなっている土地建物 ・課税評価額が10万円超であること |
対象者 | 死亡した登記義務者から上記不動産を承継し、相続登記しようとする人 |
免税対象額 | 登録免許税の100% |
4.相続登記を専門家に頼んだ時の相場費用は?
相続登記を司法書士または弁護士に任せる場合、これまで解説した費用とあわせて「専門家報酬」が必要になります。節税や測量が必要になるケースでは、別途土地家屋調査士・税理士にも依頼しなければなりません。
職種ごとに報酬目安がどのくらいになるのか、公式的なアンケート調査結果や筆者の独自調査を通じて解説します。
①司法書士
司法書士は不動産登記のエキスパートであり、相続登記の依頼先として望ましい専門職です。司法書士報酬の目安は6万円~11万円と幅広く、複雑なケース(相続人の数が多い・数次登記する必要がある)に及ぶと、さらに報酬が高額化します。
日本司法書士会連合会が加盟会員に対して行った報酬アンケート調査では「地域平均」「安く済んだ人の平均」「高額に及んだ人の平均」の3種類の結果が出ています(下記表)。
地区名 | 全体の平均 | 低額者10%の平均 | 高額者10%の平均 |
北海道地区 | 60,983円 | 28,320円 | 97,843円 |
東北地区 | 60,667円 | 35,457円 | 99,733円 |
関東地区 | 65,800円 | 39,212円 | 103,350円 |
中部地区 | 63,470円 | 37,949円 | 116,580円 |
近畿地区 | 78,326円 | 45,842円 | 118,734円 |
中国地区 | 65,670円 | 37,037円 | 111,096円 |
四国地区 | 65,578円 | 40,683円 | 99,947円 |
九州地区 | 62,281円 | 38,021円 | 96,892円 |
引用:司法書士報酬アンケート結果/2018年実施分 https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/
②弁護士
弁護士も不動産登記に対応していますが、他の相続人との代理交渉・遺産分割調停のサポートを含め、相続の悩み全体を解決できるのが特徴です。司法書士に比べて業務範囲が広範となることから、弁護士報酬の目安は20万円~30万円となります。
<弁護士報酬の目安(依頼費用の内訳)>
- 着手金+報酬金:20万円~30万円
- 相談料:5千円~1万円/1時間
- 日当:1~2万円/1日(訴訟代理を任せる場合に発生)
※実際に弁護士報酬がどのくらいかかっているのか、直近の公式的な統計調査結果はありません。報酬目安とその内訳は、東京都内の法律事務所を筆者が独自調査して作成したものです(2019年12月時点)。
③土地家屋調査士
相続登記にあたって現地調査または測量が必要になったときは、土地家屋調査士に依頼しなければなりません。具体的な依頼内容として「相続登記前後の土地分筆or合筆」「地目変更(農地の宅地転用など)」などが該当します。
土地家屋調査士の報酬目安は、地目変更または合筆登記なら4~5万円程度・分筆登記なら24万円~73万円程度と、依頼内容により大きく差が出ます。
<土地家屋調査士報酬の目安(依頼内容別)>
- 地目変更:44,244円
- 合筆登記:47,259円
- 分筆登記(地積測量図がある場合):240,232円
- 分筆登記(地積測量図がない場合):480,988円
- 分筆登記(地積更生登記が必要になる場合):727,427円
引用:日本土地家屋調査士連合会のアンケート調査結果に基づく報酬ガイド/2016年版https://www.chosashi.or.jp/association/disclosure/reward/
④税理士
節税を意識して相続登記を行いたいときは、税理士に依頼するとアドバイスを提供してもらうことができます。税理士報酬の目安は相続財産評価額の0.5%~1%程度で、依頼状況によりその他費用が発生します。
<税理士報酬の相場(依頼費用の内訳)>
基本報酬:0.5%~1%
追加料金:
土地追加…5~6万円/利用区画
相続人追加…基本報酬×10%~20%/1人
申告期限直前の依頼…基本報酬×10%~20%
※日本税理士会連合会により報酬アンケート調査が行われていますが、その結果の公開範囲は限定されています。本記事掲載の報酬目安とその内訳は、東京都内の税理士法人を筆者が独自調査して作成したものです(2019年12月時点)。
5.専門家に依頼したほうがいい場合とは?自分でもできる?
専門家の手を借りず、相続人だけで最低費用で登記を終わらせることは、決して不可能ではありません。法務局や市区町村役場で用意されている登記支援窓口を利用すれば、迷いながらでも登記完了までこぎつけることが出来るでしょう。
5-1.自力の登記申請はトラブル&懸念事項が多い
留意したいのは、費用よりむしろ手続きに割く余力・時間が重い負担となりやすい点です。相続人や相続財産の内訳が相当数に及んだり、登記義務者である相続人自身が高齢だったりすると、以下のような失敗発生のリスクが高まります。
【自力で相続登記する際によく起こるトラブル】
- 添付書類に不足があり、役場を何度も往復する羽目になった
- 添付書類の種類に誤りがあり、余分に発行手数料がかかってしまった
- 一部の相続人と連絡が取れず、書類収集に何か月もかかってしまった
- 対象不動産の権利関係が複雑になっていることが分かり、申請準備をはじめからやり直すことになった
登記申請の流れで一度つまずいてしまえば、交通費等の細々とした費用が積み重なって本末転倒です。特に高齢の相続人(申請者含む)については、心身の負荷も懸念事項のひとつとなるでしょう。
5-2.専門家に相続登記を依頼する3つのメリット
相続登記を行う専門家は、単に依頼人に代わって手続きを行うというばかりではなく「迅速さ・確実さ」を持ち合わせています。実務家特有の知見と権限を活用してもらうことで、プラスαのメリットも享受することが出来ます。
【メリット1】ミスのない登記申請を実現できる
相続登記を専門家に任せる最大のメリットは、行政機関が積極的に案内してくれない必須プロセスを経て「個別のケースに合うミスのない手続き」を行ってくれる点です。
依頼を受けた専門家は、ただ事務的に相続登記を行うわけではありません。
ヒアリングだけでは把握できない点について、調査等から情報補完するのも、専門家としての業務のひとつです。その結果、イレギュラー対応の必要性から添付書類全体の把握まで、登記申請全体をつまずくことなく判断・実行していくことが出来るのです。
【メリット2】二次相続&土地活用を意識した提案がもらえる
相続登記の先には「遺された高齢の家族が亡くなったときにどうするか」「土地活用を進めるかどうか」といった先々の展望があるでしょう。
専門知識に優れた実務家は、こうした土地建物と家族の将来を見通した手続きを進めています。ふたたび相続登記が必要になった際の家庭構成員の負担を減らしながら、受け継いだ不動産の出口作戦(売却や増改築)のための権利関係の整理を任せられるのです。
【メリット3】相続について幅広いアドバイスがもらえる
専門家の業務範囲には、遺産承継全般の相談対応も含まれています。 登記申請にあたって発生することのある不測の事態や、登記申請に使うもの以外の書類(遺産分割協議書等)についても、全体の問題を解決できるアドバイスがもらえます。
5-3.特に専門家支援を必要とする4つのケース
以下のような複雑なケースでは、各種専門職による支援が必須です。
該当する状況が判明した時は、たとえ自力で登記申請を行うつもりでも、なるべく早く相談を始めましょう。
①被相続人以前の世代から相続登記が行われていない
相続登記されずに放置された不動産を承継する(数次登記)にあたり、家系図上すでに膨大な数に及んでいると考えられる相続人全員分の調査・書類収集が必要です。
登記方法についても、相続ではなく時効取得を原因とする所有権移転登記とするか、中間省略登記(先代の登記義務人への移転を省いた登記方法)が行えるのか、慎重に検討しなければなりません。
⇒受任に向く専門家:司法書士・弁護士
②土地の分割方法(分筆or共有名義)について悩んでいる
土地を売却せずに複数の相続人で分ける方法として、分筆・共有名義のどちらかが選択できます。「将来にわたって権利関係が複雑化するリスク」と「手続きの手間&コスト」を天秤にかけながら、相続人にとって最も望ましい方法を検討する必要があるでしょう。 こうした判断は、高度な専門性が求められます。
⇒受任に向く専門家:税理士・土地家屋調査士・司法書士・弁護士
③区分所有登記がある
二世帯住宅のなかには、土地は両親・建物は子夫婦とのように名義を分ける「区分所有登記」がなされているものがあります。
区分所有登記で懸念されるのは、先世代の所有区分を現世代が相続する際に、小規模宅地特例の適用対象から外れて相続税が高額化する可能性がある点です。
継続して小規模宅地特例の適用が受けられるかどうかについては、税理士をはじめとする職種を横断した知識が必要です。
⇒受任に向く専門家:税理士・土地家屋調査士・司法書士・弁護士
④不動産の換価処分を巡って相続人同士が対立している
相続登記以前の段階において、土地建物を必要とする家族とそうでない家族との間で意見が割れてしまうことがあります。売却しないという方針で話し合いがまとまっても、今度は登記名義(単独名義か共有名義か)を巡って係争が起きるでしょう。
こうしたトラブルに対しては、家族全員が納得できる方法を多角的に検討しつつ、弁護士の訴訟代理権を用いた交渉への関与が必要となります。
⇒受任に向く専門家:弁護士・税理士・土地建物家屋士
6.まとめ
不動産を承継したときの相続登記は、売却・増改築を含む「排他的かつ支配的な所有継続」を実現するための必須手続きです。あらためて費用内訳と目安・計算方法を整理すると、次の通りです。
弁護士:20~30万円
土地家屋調査士:4万円~73万円
税理士:相続財産評価額の0.5%~1.0%
【まとめ】相続登記の費用相場・目安 | ||
①登記申請時の費用 | 登記手数料 | 400円×1件 |
登録免許税 | 課税標準額の0.4%(免税制度あり:~2019年3月31日まで) | |
②添付書類の発行手数料 | 戸籍謄本 | 被相続人:450円または750円×1~3部 相続人:450円×人数 |
住民票 | 300円×相続当事者の人数 | |
印鑑登録証明書※ | 300円×相続人の人数 | |
登記事項証明書 | 600円×1件 | |
固定資産評価証明書 | 400円×1件 | |
③財産調査費用 | 名寄帳 | 300円×被相続人の数 |
※印鑑登録証明書は、遺産分割協議により相続登記する場合のみ必要。
費用重視なら自力での登記申請が望ましい方法ですが、トラブル発生のリスクは回避できません。
相続登記を任せられる各種専門職は、迅速確実な相続登記だけではなく「依頼人にとって一番いい結果」を実現するプロフェッショナルでもあります。ある程度登記申請の準備が整っている状態からでも、一度相談してから今後の流れを決めるとよいでしょう。
日本クレアス税理士法人
執行役員 税理士 中川義敬
2007年 税理士登録(近畿税理士会)、2009年に日本クレアス税理士法人入社。東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等に従事。事業承継・相続対策などのご相談に関しては、個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスを行う税理士として定評がある。(プロフィールページ)
・執筆実績:「預貯金債券の仮払い制度」「贈与税の配偶者控除の改正」等
・セミナー実績:「クリニックの為の医院経営セミナー~クリニックの相続税・事業承継対策・承継で発生する税務のポイント」「事業承継対策セミナー~事業承継に必要な自己株式対策とは~」等多数
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相続相談はどこにするべき?専門家(税理士、司法書士、弁護士)の強み
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