生前贈与

【2026年最新】相続時精算課税制度とは?2024年改正の110万円基礎控除・デメリット・申告方法を税理士監修で解説

相続対策を考えようと思って調べていくと、「相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)」という言葉をしばしば見かけます。

相続時精算課税制度とは、「相続時」という名前はついていますが、贈与税の課税制度の1つで、適用を受けることで 累計2,500万円までの贈与について贈与税がかかりません。さらに 2024年(令和6年)改正により、年間110万円の基礎控除が新設され、使いやすさが大幅に向上しました。

一方で「一度選択すると暦年課税に戻せない」「小規模宅地等の特例が使えない」など、知っておくべきデメリットも存在します。

本記事では、税理士監修のもと、相続時精算課税制度の仕組みから2024年改正のポイント、メリット・デメリット、申告方法、令和7年(2025年)以降の届出書の書き方まで、具体例とともに分かりやすく解説します。

「子供2人に2,500万円ずつ贈与したい」「2024年改正で何が変わったのか正確に知りたい」「申告は自分でできるのか」といった疑問にもお答えします。

目次

1.相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは親から子への贈与をスムーズにして、子世代の消費を拡大し経済を活性化しようとする目的で、平成15年より創設された制度です。

一定の要件をみたす贈与について、2,500万円まで贈与税が非課税となる制度で、2,500万円を超えた部分については20%の贈与税率がかかります

この制度を利用した場合には、相続が発生した時点で、相続財産の価額と相続時精算課税制度を利用して贈与された財産の価額の合計額から相続税額を計算し、そこから支払った贈与税を差し引いた金額の税金を納付します。

イメージとしては、相続財産を相続の前に贈与でもらっておいて、税金の支払いは相続時まで保留しておく感じです。

2.相続時精算課税制度を受けるための条件

相続時精算課税制度の適用を受けるには、いくつかの適用条件があります。

どのような場合にこの制度の適用を受けることができるのか、下記の観点からくわしくみていきましょう。

  • 対象者
  • 対象となる財産
  • 手続きの流れと必要書類

まずは、相続時精算課税制度の対象者について解説します。

2-1. 対象者

相続時精算課税制度の適用を受けるには、贈与を受ける受贈者と、贈与をする贈与者がそれぞれ、次の条件にあてはまっている必要があります。

贈与を受ける受贈者>

贈与を受ける人は、18歳以上の推定相続人である子か、18歳以上の孫である必要があります。

平成26年までは20歳以上の推定相続人である子のみでしたが、平成27年1月1日より対象者が拡大され、20歳以上の孫についても制度の適用を受けることができるようになりました。

また成人年齢の引き下げに伴い、2022年4月1日以降の贈与に対しては、対象の年齢が20歳から18歳に引き下げられています。

贈与をする贈与者>

贈与をする人は贈与をした年の1月1日の年齢が60歳以上の父母か、祖父母である必要があります。

平成26年までは65歳以上の父母のみでしたが、平成27年1月1日より年齢が引き下げられ、父母のみでなく祖父母からの贈与も制度の適用を受けることができるようになりました。

推定相続人とは、今現在の状態で相続が発生した場合に相続人となる人のことです。

推定相続人には、配偶者相続人と血族相続人がなる可能性があります。

そして血族相続人とは、推定被相続人と血縁関係がある人を指します。

また、推定相続人と法定相続人は、被相続人が存命しているか死亡しているか、という点で違いがあります。

法定相続人は、相続発生時に被相続人の遺産を相続する権利を持つ人を指します。

民法886〜890条にて、相続順位が定められており、順位が高いものほど法定相続人になる可能性が高いです。

相続時精算課税制度で贈与を受ける場合には法定相続人ではなく、推定相続人であることかつ、年齢を満たしていることが求められます。

2-2. 対象となる財産

相続において財産は大きく下記の4種類に分けることができます。

<財産の種類>

  • プラスの財産:現金・マンション・株式・著作権など
  • マイナスの財産:借金・未払金・債権など
  • 非課税財産:仏壇・仏具など
  • みなし相続財産:死亡退職金・死亡保険金など

注意していただきたいのは、相続時精算課税制度は相続ではなく贈与だという点です。

そのため、相続時精算課税制度では上記の財産のうち、プラスの財産が対象となります。

プラスの財産であれば、贈与財産はどのような財産でもよく、金額や贈与の回数に制限もありません。

したがって、2,500万円の範囲内で、今年はマンションを次の年以降は現金を贈与するという方法を取ることもできます。

2-3. 手続きの流れと必要書類

相続時精算課税制度の適用を受ける場合には、2,500万円までの贈与で贈与税がかからなくても、制度の利用を申告する必要があるので注意が必要です。

贈与を受けて、相続時精算課税制度の適用を受けようと思ったら、まずは相続時精算課税制度の適用対象にあてはまっているかを確認します。

適用対象にあてはまっていたら、次にあげる必要な書類をそろえて申告手続きを行うことになります。

申告書類>

相続時精算課税制度の適用を受けるには、贈与税の申告書のほかに「相続時精算課税選択届出書」が必要です。

※「相続時精算課税選択届出書」は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。

<届出書の添付書類>

相続時精算課税選択届出書には、適用条件を満たしているかを確認するため、次の添付書類が必要です。

  • 贈与を受ける人の戸籍謄本(妙本)などの書類で、贈与を受ける人の氏名、生年月日、推定相続人である子か孫であることが証明できるもの
  • 贈与を受ける人の戸籍の附票の写しなど、贈与を受ける人が18歳に達した時以降の住所か居所を証明できるもの
  • 贈与をする人の住民票の写し、戸籍の附票の写しなど、贈与をする人の氏名、生年月日、贈与をする人が60歳に達した時以降の住所か居所を証明できるもの
  • 申告する人(贈与を受ける人)のマイナンバー

各種添付書類は、本籍のある市区町村の役場で入手できます。

ここまでは、「相続時精算課税制度」の概要と適用要件について解説しました。

続いては、相続税精算課税制度への理解をより深めるため、具体例を用いて、贈与税の計算方法を解説していきます。

3.相続時精算課税制度が2024年(令和6年)から改正|110万円基礎控除が新設

2024年(令和6年)1月1日以降、相続時精算課税制度に 「年間110万円の基礎控除」 が新設されました。これは制度創設以来の大きな改正で、従来の暦年贈与(年間110万円非課税)に近い使い勝手を「相続時精算課税」でも実現できるようになった画期的な変更です。

3-1.2024年改正の3つのポイント

2024年改正で押さえるべきポイントは次の3点です。

  1. 年間110万円の基礎控除が新設:相続時精算課税を選択しても、毎年110万円までは贈与税がかからず、相続財産にも加算されない
  2. 110万円以下の贈与は申告不要:従来は1円でも贈与すれば申告必須でしたが、改正後は年間110万円以下なら申告そのものが不要に
  3. 2,500万円の特別控除は据え置き:基礎控除110万円とは別枠で、累計2,500万円までの特別控除は引き続き利用可能

3-2.改正前後の比較表

項目 改正前(2023年まで) 改正後(2024年〜)
基礎控除 なし 年間110万円(新設)
特別控除 累計2,500万円 累計2,500万円(変更なし)
110万円以下の申告 必要 不要
相続財産への加算 贈与全額 基礎控除110万円分は加算対象外

3-3.具体例|年間200万円を10年間贈与した場合

父から子へ年間200万円を10年間(合計2,000万円)贈与したケースで考えてみます。

  • 毎年の贈与税:200万円 − 基礎控除110万円 = 90万円が特別控除(累計2,500万円枠)から消化 → 贈与税ゼロ
  • 10年後の相続財産加算額:特別控除を使った90万円×10年 = 900万円のみ(基礎控除分1,100万円は加算対象外)

改正前であれば2,000万円全額が相続財産に加算されていたため、相続税の節税効果が大きく向上したことが分かります。

3-4.暦年課税との使い分け|どちらが有利?

2024年改正により、相続時精算課税と暦年贈与の比較がより複雑になりました。簡易判断の目安は以下のとおりです。

  • 相続時精算課税が有利:相続開始まで7年以内に贈与する可能性が高い/値上がり資産を早期に渡したい/2,500万円超のまとまった贈与を予定
  • 暦年贈与が有利:相続開始まで10年以上の余裕がある/小規模宅地等の特例の適用予定がある/受贈者が孫など相続人以外

3-5.生前贈与7年加算ルールとの関係

2024年改正では、暦年贈与の相続前加算期間が 「3年→7年」に段階的に延長 されました(2031年に7年加算が完成)。一方、相続時精算課税の 基礎控除110万円分は加算対象外 のため、長寿リスクを考えると相続時精算課税の優位性が高まったといえます。

4.相続時精算課税制度の贈与税の計算方法

相続時精算課税制度の贈与税の計算方法

父と母から生前贈与を受けるAさんを例にして、贈与税の計算を具体的にみてみましょう。

Aさんは、相続時精算課税制度は、父からの贈与について選択することにしました。

4-1. 1年目の贈与税

Aさんは、1年目は父から1,000万円、母からは400万円の贈与を受けました。

父からの贈与については、相続時精算課税制度の適用を受けるので、2,500万円までは贈与税がかからないので、贈与税は0円です。

母からの贈与については、通常の贈与税の計算になりますので、400万円から基礎控除額の110万円をひいた290万円を、贈与税の速算表にあてはめると、290万円×15%-10万円となり、贈与税は33万5,000円かかります。

<贈与税の早見表>

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

※出典:国税庁ウェブサイト タックスアンサー「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

4-2. 2年目の贈与税

Aさんは、2年目も父から1,000万円の贈与税を受けました。2,500万円の相続時精算課税制度の非課税枠は、1年目の贈与を差し引くと1,500万円残っていますので、2年目の贈与税も0円です。

4-3. 3年目の贈与税

Aさんは、3年目も父から1,000万円の贈与を受けました。

2,500万円の相続時精算課税制度の非課税枠は、1年目と2年目の贈与を差し引くと、500万円しか残っていませんので、3年目は500万円分は贈与税がかかりません。

しかし、残りの500万円については20%の贈与税がかかり、100万円の贈与税が発生します。

※2,500万円を超えた部分については一律で20%の税率

4-4. 4年目以降の贈与税

4年目以降も父から贈与を受ける場合には、もう相続時精算課税制度の非課税枠は使いきっていますので、一律で20%の贈与税がかかることになります。

相続時精算課税制度の2,500万円という非課税枠のインパクトは、小さくないことが分かったかと思います。

ここからは相続税精算課税制度のメリットとデメリットについて説明をしていきます。

相続対策を考えるに際にお役立てください。

5.相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度のメリット

相続税精算課税制度は必ずしも得といえるわけではなく、メリットとデメリットがありますので、メリットとデメリットを考慮して適用を受けるかどうかを検討することになります。

<相続時精算課税制度のメリット>

  • 財産が値上がりしたときに有利になる
  • 2,500万円以内の贈与であれば無税
  • 相続まで待たずに生前贈与ができる

まずはメリットからみていきましょう。

5-1. 財産が値上がりしたときに有利になる

相続税精算課税制度は、贈与時点の評価額を基準にして計算されます。

相続が発生して贈与税を精算するときにも、この評価額は変わりません。

相続時に評価額の値上がりが予想される財産については、評価額が値上がりしてから相続時の評価額で相続税を計算するよりも、相続税精算課税制度を利用した贈与のほうが有利になります。

たとえば、贈与時には2,500万円分の価値であった株式が、相続時には5,000万円の価値を持つようになったとします。

通常の相続であれば5,000万円が相続財産となりますが、相続時精算課税制度を利用していれば、2,500万円の相続財産として計算可能です。

贈与時から相続時までの間に資産価値が上がると、相続税の観点からみても有利になります。

5-2. 2,500万円以内の贈与であれば無税

暦年課税制度を選択した場合には、年間110万円までが非課税となりますが、相続時精算課税制度では2,500万円まで無税で贈与できます。

暦年課税では2,500万円分の枠を埋めようとすると20年以上の時間がかかってしまいます。

その分贈与税も相続税もかからないというメリットはありますが。

しかし、この20年という時間はとても長く、その財産から得られる利益は大きいでしょう。

5-3. 相続まで待たずに生前贈与ができる

特定の財産を譲渡したい場合には、相続時のトラブルを心配することなく、相続と同じ感覚で財産を譲渡することができます。

たとえば、不動産収入の発生するマンションがある場合には、相続でマンションを引き継ぐと、不動産収入も相続税の課税対象となります。

具体的には、相続時までの不動産収入を使わずに預金で貯蓄している場合などです。

不動産収入である預金も相続財産となり相続税がその分高くなりますが、生前贈与でマンションを引き継いでいれば、不動産収入は贈与された人の所得となり相続財産評価額に影響しません。

また事前に贈与してしまっていれば、相続時に誰が相続するのかと相続人間で揉めることも無くなるでしょう。

6. 相続税精算課税制度のデメリット

続いて相続税精算課税制度のデメリットをみていきましょう。

<デメリット>

  • 相続時精算課税制度の適用を受けると暦年課税制度に戻せない
  • 財産が値下がりしたときに不利になる
  • 小規模宅地等の特例が適用できない
  • 不動産を贈与するときには登録免許税・不動産取得税が発生する

それぞれのデメリットを理解したうえで、相続時精算課税制度の利用を検討しましょう。

6-1. 相続時精算課税制度の適用を受けると暦年課税制度に戻せない

相続時精算課税制度を選択した場合には、贈与者が亡くなり相続が発生するまでは、暦年課税制度に戻すことはできません。

暦年課税制度では、毎年110万円の非課税枠があるので、毎年100万円程度の贈与を続けて、この積み重ねが2,500万円を超えるような場合は暦年課税制度のほうが有利となります。

相続対策として生前贈与を考える場合には、どちらを選択するほうが得なのかを考える必要があるでしょう。

6-2. 財産が値下がりしたときに不利になる

値上がりした際はメリットとなりますが、反対に財産が値下がりしたときにはデメリットになってしまいます。

たとえば、贈与時に2,500万円の価値があった株式が相続時には1,000万円になってしまった場合を考えてみましょう。

通常の相続であれば1,000万円として相続財産に含めますが、相続時精算課税制度を利用していた場合には2,500万円として相続財産に含めなければなりません。

このように、財産が値下がりした場合には、相続時の評価額で相続税を計算した方が有利になりますので、相続税精算課税制度を選択して値下がりしてしまった場合には不利になります。

6-3. 小規模宅地等の特例が適用できない

相続時精算課税制度を利用すると小規模宅地等の特例が適用できません。

小規模宅地等の特例とは、相続する土地の相続税評価額を最大で80%減額できる特例です。

小規模宅地等の特例が適用できる土地を相続時精算課税制度で贈与した場合には、特例が適用できないため土地の評価額が高くなり不利となります。

6-4. 不動産を贈与するときには登録免許税・不動産取得税が発生する

不動産を贈与するときには登録免許税・不動産取得税が発生するため、その分の費用が必要になります。

相続の場合はこれらのコストがかからないので、相続時精算課税制度を選択するときには、これらの税金も考慮して利用を検討しましょう。

7.相続時精算課税制度の申告方法|自分で申告する手順

相続時精算課税制度を利用するには 「相続時精算課税選択届出書」と「贈与税の申告書」 を、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までに税務署へ提出する必要があります。2024年改正後は年間110万円以下の贈与であれば申告不要ですが、初回適用時の届出書提出は必須です。

7-1.自分で申告する場合の必要書類(令和7年・2025年版)

  • 相続時精算課税選択届出書(国税庁の最新様式・令和7年版)
  • 贈与税の申告書(第一表・第二表)
  • 受贈者の戸籍謄本(贈与者との関係が確認できるもの)
  • 受贈者の戸籍の附票の写し(または住民票)
  • 贈与者の住民票の写し(推定相続人であることを確認するため)

令和7年(2025年)以降の届出書は様式が一部更新されているため、必ず 国税庁ホームページ から最新版をダウンロードしてください。

7-2.申告書の書き方・提出先

申告書は 受贈者(贈与を受けた人)の住所地を管轄する税務署 へ提出します。e-Taxを使えばオンラインでも提出可能です。記載項目は次のとおりです。

  • 贈与者・受贈者の氏名・住所・マイナンバー
  • 贈与財産の種類・所在地・評価額
  • 特別控除額(最大2,500万円)の使用額
  • 基礎控除110万円の控除額(2024年改正分)

7-3.自分で申告する際の注意点

不動産や非上場株式の贈与など評価が複雑なケースでは、評価額の誤りによる追徴課税リスクが高くなります。金銭の贈与で評価が明確な場合を除き、初回の届出時は税理士への相談を推奨します。

8.ケース別シミュレーション

8-1.子供2人にそれぞれ2,500万円ずつ贈与するケース

父(贈与者)が長男・次男にそれぞれ2,500万円を贈与する場合、相続時精算課税制度は 「贈与者ごと・受贈者ごと」 に適用されるため、両方の子に対して別々に特別控除2,500万円が使えます。

  • 長男分:2,500万円 → 贈与税ゼロ(特別控除内)
  • 次男分:2,500万円 → 贈与税ゼロ(特別控除内)
  • 合計5,000万円を無税で贈与可能

ただし、相続時には合計5,000万円が相続財産に加算されるため、相続税課税対象になる点には注意が必要です。

8-2.孫への贈与で利用するケース

2015年改正で受贈者の範囲に「20歳以上の孫」(現在は18歳以上)が追加されました。孫への贈与で相続時精算課税を選択すると、相続時に孫は相続人ではないため、原則「相続税2割加算」の対象 になる点に注意が必要です。

8-3.甥・姪への贈与で利用できる?

相続時精算課税の対象となる受贈者は 「18歳以上の推定相続人である子・孫」 に限られます。甥・姪は原則対象外ですが、養子縁組により推定相続人となれば適用可能です。

よくある質問(FAQ)

Q1.相続時精算課税制度を選択すると、本当に暦年課税には戻せませんか?

はい、戻せません。一度選択すると、その贈与者からの贈与については生涯にわたって相続時精算課税が適用されます。ただし「父からは相続時精算課税/母からは暦年課税」のように、贈与者ごとに別々の制度を選ぶことは可能です。

Q2.2024年改正の110万円基礎控除は申告が必要ですか?

不要です。2024年1月以降、年間110万円以下の贈与であれば贈与税の申告は不要となりました。ただし、初回に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。

Q3.相続時精算課税の対象になる人は誰ですか?

贈与者は60歳以上の父母・祖父母、受贈者は18歳以上の推定相続人である子・孫が対象です(年齢は贈与年の1月1日時点)。

Q4.相続時精算課税と小規模宅地等の特例は併用できますか?

併用できません。相続時精算課税で贈与した宅地は、相続税申告時に小規模宅地等の特例(最大80%減額)の対象外となります。自宅の宅地を生前贈与する際は特に注意が必要です。

Q5.不動産を相続時精算課税で贈与した場合、どんな税金がかかりますか?

登録免許税(固定資産税評価額の2%)と不動産取得税(評価額の3〜4%)が発生します。相続で取得する場合の登録免許税0.4%・不動産取得税ゼロと比べると割高になるため、不動産の生前贈与は慎重に判断が必要です。

Q6.生前贈与の7年加算ルールは相続時精算課税にも適用されますか?

適用されません。7年加算ルールは暦年贈与のみが対象です。相続時精算課税で贈与した財産は、贈与時期に関わらず全額(基礎控除110万円分を除く)が相続財産に加算されます。

Q7.相続時精算課税の届出書はいつまでに提出すれば良いですか?

最初に贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までに、受贈者の住所地を管轄する税務署へ提出します。期限を過ぎると相続時精算課税の適用は受けられず、暦年課税となります。

Q8.相続時精算課税で贈与税が課税される場合の税率は?

累計2,500万円の特別控除を超えた部分について、一律 20% の贈与税が課税されます。暦年贈与の最高税率55%と比べると低率です。

9.まとめ

相続税精算課税制度は、相続対策として生前贈与を考えたときに利用できる制度です。

利用には条件がありますが、条件を満たし必要書類を揃えれば誰でも利用できます。

ただし、一度選択してしまうと、通常の暦年課税制度のほうがよかったと思っても、元に戻すことはできません。

相続税精算課税制度を利用するときには、まずは相続時の相続財産とその評価額をシミュレーションすることが大切です。

生前贈与の方法として、暦年課税制度より相続税精算課税制度のほうがメリットがあり有利だという場合には利用しましょう。

しかし、相続のシミュレーションは専門的な知識と判断が必要です。

どちらの制度を利用してよいのか迷ったときには、相続に強く信頼できる税理士に、専門家としてのアドバイスを聞くといいでしょう。