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ーコラムー
不動産の相続

平成29年度税制改正~「『広大地』の評価に関する改正」

2017.6.26

広大地(こうだいち)」という言葉をご存じでしょうか。税法上、広大地と判定されると評価額が低くなり、その結果として相続税も安くなります。要件を満たしているかどうかが、広大地の減額を使うことができるかどうかのポイントとなります。

今回は、この広大地についてまとめてみました。広い土地をお持ちの方は、相続税の節税をすることができるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。

広大地とは?

平成29年度税制改正~「『広大地』の評価に関する改正」

 

(1)広大地はなぜ評価額減額の対象になるのか?

「広大地」とは、その名の通り広くて大きい土地です。あまりにも広い土地は、住宅用地として使用しようとしても使用しづらく、処分しようとしてもなかなか買い手がつかないことがあります。

よくあるのが、面積が広い土地を業者が買い取り、区画割をして一般住宅用地として販売を行うという方法です。広くて大きい土地でも区画割をして住宅用地として使うことができるのに、どうして評価額の減額がされるのでしょうか。

大きくて広い土地を区画割しようとするときに、すべてを住宅用地とすることは難しく、土地の中に道路などを設置しなければなりません

その道路部分は分譲地として使うことができませんので、大きくて広い土地すべてを住宅用地として販売できることを前提に買取りが行われることはなく、道路などを設置することを前提として、面積で計算したよりも低い金額で取引きされることが通常なのです。

これを税法上の評価額にも反映して、広大地の評価額は減額の対象となったのです。

(2)広大地の要件

広大地は、その地域における標準的な宅地の面積より著しく面積が広い宅地で、都市計画法にもとづいて開発を行おうとしたときに、道路や公園などの公共施設に使われる土地、教育施設、医療施設などの公益的な施設に使われる土地としての支出が必要なもののことをいいます。

ただし、大規模工場用地に該当するものや、中高層の集合住宅などの敷地用地に適しているものは除かれます。

広くて大きい土地でも、道路や公園などを作る必要がなく、すべてを住宅用地とすることができるのであれば税法上の減額をする必要はないし、大規模な工場を作ったりマンションを建てるような使い方ができるときも評価額を減額する必要がないということで、このような場合には減額の制度が適用されないことになります。

広大地の要件にあてはまった場合には、土地の評価額が最大65%減額されます。

どのくらい広いと広大地になる可能性があるかどうかは、土地のある地域によって異なります。一般的には三大都市圏の市街化区域は500㎡、それ以外の市街化区域は 1,000㎡、市街化区域と市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域は 3,000㎡です。


広大地の要件についてここまで確認してきました。 ここまでの内容を踏まえて、平成29年度の税制改正に関する改正の背景や要件について確認をしていきましょう。

広大地制度の改正について

広大地制度の改正について

 

(1)改正の背景

広大地制度は、平成29年度の税制改正で、その評価について見直されました。見直された理由には、大きく3つの理由があります。

理由1;

今までの広大地評価制度は、面積に応じて比例的に減額する評価方法でした。

しかし実際の取引は、面積の広さだけではなく土地の形状が重要となります。土地の形状が複雑であったり奥行きがあった場合には、道路部分も大きくなり住宅地として使うことのできる部分が少なくなるので、面積に対して道路の割合が大きくなって取引価格が低くなる場合があるのです。

この場合、相続税評価額と実際の取引価格に大きく差が出てしまうことになります。

理由2;

広大地の減額制度を使うと大きく節税できることから、過度な節税対策として広大地の減額制度が使われることがあり、広大地でない土地を所有している人と比べて不公平となってしまうことがあることから、広大地評価制度の見直しについての要望がでていました。

理由3;

広大地評価の適用要件が明確でないことから専門家の立場からも広大地かどうかの判断が難しく、納税者と税務当局との間で見解の相違により、広大地評価として認められたり否認されたりすることがあるために、税務当局と争いになるケースが多く発生していました。

(2)改正の内容

広大地の評価の改正では、適用要件が明確化され、広大地相続税評価額は面積だけでなく、土地の形状や奥行きを考慮した補正率が使用されることになりました。

適用については、平成30年1月1日以後の相続などにより取得した財産の評価について適用されます。

(3)改正の影響

広大地についての減額が、土地の形状や奥行きを考慮した補正率が使われることになると、複雑な形状をした広大地や奥行きのある広大地については従来どおりの評価をされる可能性も高いのですが、形状のよい広大地については評価額が高くなってしまう可能性があります。

相続対策で広大地だから評価額が安いはずと思って安心していた方は、期待していたよりも相続税が高くなってしまう可能性があるということです。

従って、実際の取引価格と相続税評価額が大きく離れていることを利用することによる節税対策は、することができなくなってしまいます。

相続が発生してしまってからでは、相続対策として対策できることが少なくなってしまうので、相続が発生する前に生前贈与などを利用することを検討していくとよいでしょう。

生前贈与を利用するときにも、広大地のような場合には相続時精算課税制度を利用するかどうかを検討していくことが考えられます。

まとめ

広大地かどうかについての判断は今までは難しく、税務当局との争いのもとになることが多かったのですが、今回の改正により、適用要件が明確化されることで広大地に該当するかどうかの判断での税務当局との争いが少なくなることが期待されます。

ただし、複雑な形状をしていたり奥行きのある広大地については従来どおり評価される可能性もありますが、形状のよい広大地は今までより評価額が高くなる可能性があります。広大地だから評価額や安いはずと思っていた方は注意が必要です。

広大地は面積が広いために、評価額が相続税に与える影響が大きくなります。自分の持っている土地や相続する予定のある土地が、近隣の土地より大きくて広い場合には、相続が発生する前に専門家である税理士や不動産鑑定士に相談して、相続対策を考えることをおすすめします。

また、このように今まで税務当局との争いの多かったケースについては、税制が見直されていく可能性があります。

改正に気づかないで相続対策を考えていると、自分の思っていた相続税額と大きく違ってしまうこともありますので、相続評価額に少しでも不安がある場合には専門家である税理士や不動産鑑定士に早めに相談をして、税制改正の動向についての情報もキャッチしておくほうが安心といえます。