「相続税ってたくさんの必要書類があるって本当?」「どこで入手できるの?」
相続税の申告を予定している方で、必要書類が何かを知りたい方は多いでしょう。
必要書類は相続の内容によっても変化し、入手方法もさまざまです。
この記事では相続税申告に必要な書類の一覧を紹介し、個別に解説していきます。
必要書類を効率的にそろえるために重要なポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1. すべての相続税申告において必要な書類
相続税申告で必要な書類は人によって異なりますが、代表的な書類は下記のとおりです。
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相続税を申告するうえで、これらの書類は最低限必要となります。
まず申告書とは、財産の評価額や相続人の人数、相続税の総額や控除の金額などを記載する書類です。
申告書を完成させると、相続税の納税額が決定します。
2つ目の相続人についての書類とは、被相続人との家族関係を証明する書類で、身分証明書などが該当します。
住民票の写しや印鑑証明書などの提出が必要で、マイナンバーの記載を求められる書類も一部あります。
3つ目の財産に関する書類とは、不動産の評価額や預貯金の残高などを証明する書類です。
市区町村役場や法務局といった公的機関、銀行や証券会社といった金融機関など、幅広いところから集める必要があります。
2. 相続税申告における必要書類を一覧で解説!
相続税を申告するためには、さまざまな必要書類を集める必要があります。
相続税の計算の根拠となる証拠を集めて税務署に提出することで、申告内容が正しいことを証明するためです。
相続税の申告で一般的に必要な書類を、下記の表にまとめました。
<相続税申告に必要な書類の一覧>
項目 | 必要書類 | 取得できる場所 |
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相続人や身分証明 |
・被相続人の戸籍謄本・改正原戸籍 ・被相続人の住民票の除票 ・相続人全員の戸籍謄本(相続開始後10日以上経過したもの) |
本籍地の市区町村役場 |
相続人や身分証明 |
・相続人全員の住民票(マイナンバーが記載されたもの) ・相続人全員の印鑑証明書 |
居住地の市区町村役場 |
相続人や身分証明 | 法定相続情報一覧登録図 | 法務局 |
遺産分割 | 遺言書の写し | 被相続人の自宅または法務局 |
遺産分割 | 遺産分割協議書の写し | 相続人が作成 |
遺産分割 | 印鑑登録証明書 | 居住地の市区町村役場 |
遺産分割 |
相続放棄受理証明書 (相続放棄した相続人がいる場合) |
家庭裁判所 (被相続人が最後に居住していた地域の管轄) |
遺産分割 |
特別代理人選別の審判証明書 (未成年の相続人が要る場合) |
家庭裁判所 (未成年の相続人が居住している地域の管轄) |
不動産 |
・固定資産税評価証明書 ・名寄帳 |
都税事務所または市区町村役場 |
不動産 |
・登記事項証明書 ・公図・地積測量図 |
法務局 |
不動産 | 住宅地図 | 図書館または民間の地図プリントサービス |
不動産 |
賃貸借契約書 (被相続人が賃貸物件に住んでいた場合) |
被相続人の自宅または大家・仲介業者 |
不動産 |
農業委員会の耕作証明書 (他人の農地を小作している場合) |
農業委員会の事務局 |
預貯金 |
・残高証明書 ・預金通帳 ・入出金の履歴明細 ・既経過利息計算書 |
口座のある金融機関 |
有価証券 |
・残高証明書 ・配当金支払通知書 ・被相続人の最近三年間の取引明細書 ・非上場株式の関連書類 |
証券会社など |
事業用財産 |
・所得税の青色申告決算書 ・収支内訳書 ・帳簿 |
自宅や事務所 |
生命保険金 |
・生命保険支払通知書 ・保険証書 ・解約返戻金がわかる書類 |
保険会社または自宅 |
生命保険金 | 退職手当支払計算書 | 勤務先 |
贈与(過去3年以内) |
・贈与契約書 ・贈与税申告書 (過去3年分の申告書の控え) |
自宅 |
贈与(相続時精算課税制度の適用を受けた場合) |
・贈与契約書 ・贈与税申告書(選択時以降の申告書の控え) ・相続時精算課税制度選択届出書 |
自宅 |
贈与(相続時精算課税制度の適用を受けた場合) | 被相続人の戸籍の附票の写し | 市町村役場 |
債務 |
・借入残高証明書 ・金銭消費貸借契約書 |
債権者 |
債務 |
・未納租税公課の納税通知書 ・未払いの領収書(公共料金や医療費など) |
自宅 |
葬儀費用 |
・葬儀の際に支払った費用の領収書 ・お布施、心づけなどの記録 |
自宅 |
小規模宅地等の特例 | 被相続人の戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本(もしくは法定相続情報) | 本籍地の市区町村役場 |
小規模宅地等の特例 | 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議を行った場合) | 居住地の市区町村役場 |
小規模宅地等の特例 |
・遺言書または遺産分割協議書(写し) ・申告期限3年以内の分割見込み書(申告期限以内に遺産分割ができない場合) |
相続人が作成 |
小規模宅地等の特例 | ・介護保険被保険者証 (被相続人が老人ホームに入居していたケースで特例を適用する場合) | 自宅または市区町村役場 |
小規模宅地等の特例 | ・老人ホームの入居契約書 (被相続人が老人ホームに入居していたケースで特例を適用する場合) | 自宅または老人ホーム |
配偶者の税額軽減 |
・被相続人の戸籍謄本 ・相続人の戸籍謄本 |
本籍地の市区町村役場 |
配偶者の税額軽減 | 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議を行った場合) | 居住地の市区町村役場 |
配偶者の税額軽減 |
・遺言書または遺産分割協議書(写し) ・申告期限3年以内の分割見込み書(申告期限以内に遺産分割ができない場合) |
相続人が作成 |
その他 |
・ゴルフやリゾート会員権 ・貴金属や骨とう品などの鑑定書 ・自動検査証のコピー ・金銭消費貸借契約書 (貸付金がある場合) |
自宅 |
相続税の申告で使う書類は、上記のように多岐に渡りますが、申告内容によって必要な書類は異なります。
よって上記の書類を手当たり次第に集めるのではなく、申告内容に合ったものを準備しましょう。
現在は必要書類のほとんどについてコピーで提出できるようになりました。
万が一の事態に備えて、原本は別途保管しておきましょう。
ここからは身分証明や遺産分割など、それぞれの種類ごとの必要書類について、くわしく解説していきます。
2-1. 相続人や身分証明に関する必要書類
以下は、相続人であることの証明や身分証明に必要な書類です。
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被相続人と相続人との家族関係を証明するため、戸籍謄本や住民票などが必要となります。
被相続人が生まれてから死亡した時までの情報が必要なため、結婚や本籍地の変更などがあった場合、戸籍謄本だけでなく除籍謄本も準備する必要があります。
主に市区町村役場で入手することになり、取得費用は1通あたり300~450円程度です。
戸籍謄本や住民票は、窓口ならおおむね即日で発行してもらえるケースが多く見られます。
また法定相続情報一覧登録図は、法務局で入手でき発行費用は無料です。
ただし、発行まで1週間程度かかることに注意しましょう。
2-2. 遺産分割における必要書類
遺産分割に関する必要書類は以下のとおりです。
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遺産分割協議書とは、相続人が遺産をどのように分割するかを説明する書類です。
遺言書があれば遺言書の写し、遺産分割協議を行った場合は協議書の写しを提出します。
法定相続人が複数いる、家族関係が良好でないなどの場合は、遺産分割協議に時間がかかることがあるため、相続税申告の期限に間に合うよう、早め早めに動くことが重要です。
一点、相続放棄をした相続人や未成年の相続人などがいる場合、追加の証明書が必要となることに注意しましょう。
2-3. 不動産(土地・建物)に関する必要書類
土地や建物の評価額などを証明する場合には、下記のような必要書類を準備しましょう。
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相続財産に不動産がある場合には、土地や戸建て・マンションといった不動産の評価額を証明する書類を提出します。
土地は路線価に面積を掛けて算出し、建物は固定資産税評価額を使うのが原則ですが、例外もあるので注意が必要です。
たとえば間口が狭い、奥行きが長いなど、土地の形がいびつな場合は評価額が減額されます。
不動産の評価は知識のない方には難易度が高いため、税理士などの専門家に依頼する方が多く見られます。
不動産関連の必要書類の入手場所は、市区町村役場、法務局、図書館など多岐に渡ります。
すべて用意するには手間もかかりますので注意しましょう。
2-4. 現金・預貯金に関する必要書類
銀行など金融機関に預けている預貯金、現金に関する必要書類は下記のとおりです。
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預貯金なら残高がわかる書類を提出すればよいだろうと考える方もいるかもしれませんが、それだけでは足りません。
相続財産には「既経過利息」というものもあり、これは相続開始日に口座を解約した場合に支払われる利息のことです。
相続税の申告においては、既経過利息の計算書も必要になり、金融機関で発行することができます。
さらに、被相続人名義の預貯金に加えて、家族名義の口座であっても実質的に被相続人の財産と判断されるものも相続財産に含まれます。
この場合は、家族名義の口座に関する書類を提出する必要があります。
2-5. 有価証券がある場合の必要書類
有価証券とは上場株式、国債、社債などのことです。
相続財産に有価証券が含まれている場合、下記のような書類が必要となります。
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有価証券も預貯金と同じく、相続開始時点の残高証明書が必要になります。
残高証明書は、証券会社から取り寄せることができます。
また配当があった場合、配当金支払い通知書も届いているはずなので、こちらも提出することになります。
一方、やや手間がかかるのが非上場株式です。
上場株式と違って市場で取引されていないため、取引価格をすぐに決めることができません。
企業価値を判断する資料が必要なため、該当する株式会社の過去3年分の決算書、税務申告書などを準備することになります。
2-6. 事業用財産を取得した場合の必要書類
被相続人が個人事業主であった場合、事業用財産の相続も発生します。
事業用財産の相続税申告では、以下の書類が必要です。
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事業用財産は、一般動産と棚卸し商品の2種類があります。
一般動産とは不動産以外のものをいいます。
具体的には事業で使用していたパソコンや自動車、家具などが該当します。
物体として形のあるものが動産であるため、著作権や特許権などは動産には含まれません。
棚卸し商品とは、販売する目的で仕入れた物品のうち、まだ販売していないもののことを指します。
「在庫」に該当するものでもあり、製造業では加工する前の原材料も棚卸し商品に含まれます。
棚卸し商品も相続の対象になるため、有価証券などと同様に、資産を評価して申告する必要があります。
一般動産や棚卸し商品などの資産を把握するには、決算書や帳簿などが必要になるため、被相続人の自宅や事務所などで入手しましょう。
2-7. 生命保険・死亡保険・死亡退職金がある場合の必要書類
被相続人が保険に加入していて、死亡による保険金や解約による払戻金がある場合は、下記の書類を準備する必要があります。
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生命保険支払通知書と解約払戻金がわかる書類は、契約している保険会社から取り寄せることができます。
保険証書は被相続人の自宅に保管されているケースが多いと思われますが、ない場合は保険会社に問い合わせてみましょう。
また死亡したことによる退職手当金が支払われることもあり、この場合は被相続人の勤務先から、退職手当支払い計算書を取り寄せる必要があります。
2-8. 贈与に関連する必要書類
過去3年以内に生前贈与を受けた場合は、下記の書類が必要です。
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相続時精算課税制度の適用を受けた場合は、以下の書類が必要となります。
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贈与契約書や贈与税申告書は、相続人または被相続人が自宅で管理しているものをコピーして提出します。
戸籍の附票とは戸籍に付随している資料で、役所で保管されています。
戸籍謄本と同じく、本籍地の市町村役場で発行してもらえます。
2-9. 債務を相続した場合の必要書類
借入金などの債務を相続した場合、下記の書類の提出が必要です。
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借金やローンはマイナスの財産として避けられる傾向がありますが、相続税から控除してもらえるというメリットもあります。
借入残高証明書や金銭消費貸借契約書は、金融機関など借入先から入手することが可能です。
また、被相続者が支払うべきであった公共料金や税金なども債務に含まれ、控除の対象になります。
未納租税公課の納税通知書や未払いの領収書を用意しておきましょう。
2-10. 葬儀費用関連の必要書類
債務と同様に、葬儀に関する費用も相続税から控除できます。
以下の書類を用意しておきましょう。
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葬儀の形式にもよりますが、お通夜や告別式、納骨量や戒名料などが発生します。
よって葬儀会社、火葬場などから受け取った領収書を手元に保管しておきましょう。
また、参列者の飲食費用も葬儀関連に含まれますので、飲食店の領収書も受け取っておいてください。
お布施や心付けは一般的に領収書を受け取りませんが、メモや記録を残しておくことで控除の対象にできます。
2-11. 【小規模宅地等の特例】利用時の必要書類
小規模宅地等の特例を適用すると、一定の条件に該当する土地を相続した場合に、一定面積までは相続税の計算をする際の評価額を50%または80%減額できます。
土地の評価額が少なくなるため、相続税の節税につながる制度です。
この特例を適用するには、下記の書類が必要となります。
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最初の4つはすでに解説しているため、申告期限後3年以内の分割見込書について解説します。
相続税の申告期限までに遺産分割ができない場合に提出する書類で、協議がまとまったあとに小規模宅地等の特例を適用させることができます。
書類に記入する内容は、分割されていない理由、分割の見込みの詳細、適用を受ける予定の特例の3点です。
2-12. 【配偶者の税額軽減】利用時の必要書類
小規模宅地等の特例と並び、相続税の節税につながるのが、配偶者の税額軽減です。
配偶者の税額軽減の適用を受けるには、以下の書類の提出が必要です。
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必要な書類は小規模宅地等の特例と変わりませんが、相続内容によって提出する書類は異なります。
2-13. その他ケース別の必要書類
相続内容によっては、下記のような書類が必要になるケースもあります。
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相続財産にゴルフ会員権やリゾート会員権がある場合、会員であることを証明する資料を提出します。
宝石などの貴金属やアンティークなどの骨董品に関しては、そのままでは金銭価値が明らかでないため、鑑定書が必要となります。
また、貸付金や立替金がある場合には、金銭消費貸借契約書を用意しましょう。
3. 相続税申告に必要な書類を収集する際のポイント
ここまで解説してきたように、相続税の申告では多種多様な書類が必要になります。
入手する場所も市区町村役場や被相続人の自宅から、証券会社や保険会社までさまざまです。
やみくもに取り揃えようとすると時間や手間がかかり、日中は仕事などで多忙な方は難しいかもしれません。
そこで、必要書類を効率的に集めるためのポイントを3つ紹介します。
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以降、1つずつくわしく解説していきます。
3-1. 身分証明に関する書類は最初に集める
必要書類のうち身分証明に関する書類である、戸籍謄本や住民票、法定相続情報一覧登録図などは最初に収集しましょう。
とくに戸籍謄本は生まれたときから死亡した時点までのものが必要なので、本籍地が何回か変更されている場合、すべて集めるのに時間がかかります。
3-2. 発行に時間がかかるものは早めに申請する
すべての書類が即日で発行できるわけではなく、申請してから発行まで時間がかかる書類もあります。
とくに銀行・証券会社・保険会社といった金融機関の書類は、申請してから1週間~2週間程度かかるケースも多いです。
金融機関の資料をスムーズに取り寄せるには、契約している会社や口座番号などの情報がどこにあるか、事前に把握しておくとよいでしょう。
被相続人が亡くなってからだと通帳や契約書などの書類が見つからず、金融機関すら分からない事態に陥るかもしれません。
生前の段階から、被相続人に確認しておきましょう。
3-3. 必要な書類・足りない書類を早い段階で確定する
相続する財産の内容によって、必要な書類は変わってきます。
どの書類が必要かを早い段階でリストアップし、手元にあるかないかも整理しておきましょう。
たとえば相続財産に株が含まれるなら証券会社関連の情報が必要ですが、土地や建物などがないなら、不動産関連の書類は必要ありません。
財産が何かが事前に分かっていれば、必要書類も明らかになるため、相続が開始した後も効率的に必要書類を手配できます。
4. まとめ
相続税の申告における必要書類について、種類や入手場所、注意点などを解説してきました。
どのような申告でも、申告書・相続人についての書類・財産に関する書類は必ず提出する必要があります。
相続する財産によって必要書類は変わりますので、書類を効率的に収集するには、どのような財産があるかを事前に把握しておくことが重要です。
被相続人が亡くなった後では資料が見つからないこともあるため、存命のうちに確認しておくのがよいでしょう。
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