ーコラムー
年金の相続

「年金」は相続税の対象になるのか?

2017.12.11

相続発生後は故人(被相続人)が残した遺産を、相続財産として権利者が承継することになります。

故人が残した財産というと現預金や不動産など分かりやすいものをイメージすると思いますが、中には素人の方には分かりにくい財産もあります。扱い方がわかりにくい、と最近お問合わせが増えているのが「年金」です。

今回は各種の「年金」と相続税の関係について、代表例と要点を押さえていきます。

年金受給権(ねんきんじゅきゅうけん)について

例えば、被相続人が自分を被保険者にして民間の保険会社と個人年金保険契約を結び、その保険金の支払を受けている途中で亡くなった場合、その遺族が代わりに残りの年金を受給することができ、その権利のことを年金受給権と言います。

年金受給権は相続財産に含まれる?

上記の年金受給権は相続財産に含まれますので、その評価を行い他の相続財産に加味して相続税を計算します。

評価の方法については複数あり、下記の3つうち最も高い額となります。

  1. 年金受給権を取得した時点での解約返戻金相当額
  2. 一括で給付を受けることが可能な場合には、一括で受け取る金額
  3. 年金の残余期間に応じた、一年当たりの平均額に予定利率による複利年金原価率をかけた額

どれが適用になるかは個別ケースで異なるので、適宜税理士等に確認してください。

遺族が受け取る場合、所得税の取り扱いはどうなる?

上記の年金受給権を遺族が取得した場合、二年目以降には雑所得として所得税が課税されます。

しかし、相続時に年金受給権を取得した時にはすでに相続税がかかっていますから、このままでは相続税と所得税の二重課税になってしまいます。

これを避けるため、相続税の課税対象にならなかった部分のみが所得税の課税対象として扱われます。

もし過去に相続税と所得税が二重に課税されてしまっていた場合は手続きをすることで還付を受けることができます。

退職年金(たいしょくねんきん)について

退職年金というのは、退職金の受け取り方の別で呼称されるものです。

会社の規約などで退職金の一部を年金の形式で受け取ることができることがあり、これを退職年金といいます。

退職年金は相続財産に含まれる?

退職年金の受給者が受給途中で亡くなった場合、残りの退職年金は遺族が受け取ることができます。

この場合、その退職年金は相続税の課税対象になります。従って、他の相続財産と合わせて相続税の計算をする必要があります。

退職年金の評価の方法は、年金受給権と同じく複数あるので適宜税理士等に確認が必要です。

遺族が受け取る場合、退職年金の取り扱いはどうなる?

退職年金は年金受給権と違って、遺族が残りの退職年金を受け取る場合でも所得税の課税対象にはなりません


ここまでの記事では、年金受給権と退職年金の相続税との関係について解説をしました。 引き続き遺族年金、未支給年金と相続税について、要点を解説していきたいと思います。

遺族年金(いぞくねんきん)について

国民年金や厚生年金などの公的年金の被保険者が死亡した場合、一定の要件を満たすとその遺族が遺族年金を受給できることがあります。

公的年金の被保険者によって生活を支えられていた、ごく身近な近親者が被保険者の死亡によって生活に困らないための救済策として機能しています。

遺族年金は相続財産に含まれる?

上記の遺族年金は対象者の生活保障の性格が強いものですので、課税対象としては扱われません。従って相続財産とはならず、相続税の対象にはなりません。 また、所得税の課税対象にもなりません

課税対象にならない遺族年金には国民年金や厚生年金の他に、下記の法律で規定される遺族年金があります。

  • 恩給法
  • 国家公務員共済組合法
  • 地方公務員等共済組合法
  • 私立学校教職員共済法
  • 旧船員保険法

など

未支給年金(みしきゅうねんきん)について

未支給年金とは被相続人の死亡と年金の支払いタイミングのずれによって生じた、まだ支給されていない年金のことです。

国民年金や厚生年金などの公的年金は支給日が決められていて、二か月に一度のペースで支払いがなされます。

その途中に被相続人が亡くなると、まだ支給がされていない分の年金が生じることになり、これが未支給年金となります。

未支給年金は相続財産に含まれる?

未支給年金の取扱いは過去に争いがあり、裁判が行われました。

その結果、判例として相続財産とはならないことが決定したので相続税の対象とならず、その課税対象から外れることになりました。

未支給年金は受給に際しどのように取り扱われるのか?

未支給年金を受給することができるのは各年金を規定する法律が認めた請求権者(配偶者や子、父母など)だけで、これらの権利者は一定の手続きを経ることで未支給年金を受け取ることができます。

その場合、受け取る未支給年金は一時所得として扱われることになります。

一時所得は総合課税として他の一定の所得と合算して所得税の計算をするので、必要に応じて所得税の申告・納付を要することになります。

まとめ

今回は少し分かりにくい、各種年金の相続時の扱いについて見てきました。

年金といっても公的年金もあれば、民間の保険会社との契約もあります。 また会社との契約で生じる年金もありますし、公的年金の支給タイミングのずれで生じる未支給年金などもありました。

今回は要点を絞って相続税との関係を見てきましたが、個別ケースでは取り扱いに齟齬が出ないように税理士等の専門家に相談するようにしましょう。