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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

養子縁組(普通養子・特別養子の2種類)の相続における注意点

公開日:2018.3.21 更新日:2022.10.11

今回のテーマとなる養子縁組は、実の親子関係がない者の間に法律的に親子関係を設定するものです。養子制度は子どもが欲しくても望めない夫婦や家業の跡継ぎの確保など様々な目的で利用されています。

一般的に”養子”と言う場合は、主に「普通養子」のことを指します。普通養子は制度の縛りが比較的緩く、原則として役所へ届けるだけで制度を利用することができます(養子が自分か配偶者の直系卑属ではなく未成年の場合は、家庭裁判所の許可が必要です)。

もう一つは「特別養子」という制度です。特別養子は、養子となる子の利益の保護性が強い制度で、普通養子よりも厳しい制度になっています。

相続分野ではこの養子縁組をすることで一定のメリットを得ることができるため、相続対策で利用されることがあります。養子縁組の制度は、相続時にどのような影響が発生するのか、養子縁組のメリットや注意点について解説していきます。

目次
1.養子縁組の種類
  1-1.普通養子
  1-2.特別養子
  1-3.相続権に差が出る「普通養子」と「特別養子」
2.養子縁組を行うことによるメリット
  2-1.相続税の基礎控除額の増大
  2-2.生命保険金の非課税枠の増枠
  2-3.死亡退職金の非課税枠
3.養子縁組を行った場合の注意点
  3-1.法定相続人に含めることができる人数が決まっている
  3-2.「孫養子」は2割加算の対象になる
  3-3.相続分や遺留分に関連するトラブル発生の可能性
  3-4.利益相反の問題
  3-5.税務署に否認される可能性もある
4.まとめ

1.養子縁組の種類

養子縁組の種類

養子には二種類あるのでこの項で説明します。

1-1.普通養子

制度的な縛りが緩く利用しやすいのが普通養子で、ただ単に「養子」といえば通常こちらの普通養子のことを指します。

  • 養親となる者は20歳以上であれば良く独身でも可能ですが、養子となる者は養親より年下でなければなりません。
  • 養子となる者が15歳以上であれば本人の意思で養子となることができますが、15歳未満の場合は親権者の承諾が必要です。

原則として役所への届出だけで縁組が可能ですが、養子が未成年の場合は家庭裁判所の許可が必要です(ただし養子が自分または配偶者の直系卑属である場合は不要です)。

離縁は養親と養子の間で合意がなされればいつでも可能です。

1-2.特別養子

特別養子は普通養子と違って、養子となる子の利益の保護の必要性が強い場合のみに認められます。

  • 独身者は養親となれず夫婦共同で養親となる必要があり、原則として25歳以上(夫婦の片方が25歳以上であれば他方は20歳以上で可)である必要があります。
  • 特別養子となる者は原則として6歳未満でなければならず、実親の同意も必要です。ただし、実親による虐待があった等の事情があれば実親の同意は不要になります。

特別養子縁組をすることが必要と家庭裁判所が認めた場合に、その審判により縁組が可能になります。また、離縁は家庭裁判所が必要性があると判断しなければできません。

1-3.相続権に差が出る「普通養子」と「特別養子」

相続時には実親との関係性により、普通養子と特別養子で違いが出てきます。

普通養子は実親との関係が途切れることはなく、親子関係はなお継続します。従って、養親と実親両方を相続することができます。

しかし特別養子は実親との関係が切れてしまうため、養親の方しか相続権を得られません

ここからはこれらの養子制度が、相続時に与える影響(主にメリット)を確認していきましょう。

2.養子縁組を行うことによるメリット

養子縁組を行うことによるメリット

2-1.相続税の基礎控除額の増大

相続税には基礎控除があり、その範囲に収まる遺産額であれば相続税がかかりません。計算式は、「基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人」となるため、法定相続人の数が増えると基礎控除の枠も増えることになります。

養子は「子」扱いとなり、子は優先順位が第一位ですから、生存さえしていれば必ず相続人となることができます。 養子縁組は「子」を増やすことで、基礎控除枠を拡大する効果があるわけです。

ただし、後述しますが「子」にカウントできる人数には制限がある点に留意が必要です。

2-2.生命保険金の非課税枠の増枠

一定の生命保険金は非課税財産となり、相続財産から減算して計算することができます。 生命保険金の非課税限度枠は「500万円×法定相続人の数」となっています。

基礎控除と同じように、法定相続人の数が増えるほどに非課税枠も増える仕組みになっているので、やはり第一順位の「子」を増やすことができる養子縁組が有効に作用することになります。

2-3.死亡退職金の非課税枠

生命保険金と同じように、被相続人が勤めていた会社などが支払う死亡退職金にも一定の非課税枠があります。 こちらも「500万円×法定相続人の数」が限度枠となっているので、生命保険金と同じ理屈で養子縁組による限度枠の増枠が見込めることになります。


  さて、一見すると相続時にはメリットばかりのように思える養子縁組制度ですが、もちろん制度の活用にあたっては留意点があります。前述した「”子”としてカウントできる人数には制限がある」というのもそのうちの一つです。

ただし、養子縁組制度を利用する場合は、デメリットや注意点をしっかり踏まえておかないと大きな不利益を生んでしまう危険があります。以下で確認していきましょう。

3.養子縁組を行った場合の注意点

養子縁組を行った場合の注意点  

3-1.法定相続人に含めることができる人数が決まっている

少しややこしくなりますが、養子の扱いについては民法上と相続税法上で異なる点に注意が必要です。 民法上は養子の数に制限はありませんが、相続税法上は「子」にカウントできる数に制限を加えています。

基礎控除や生命保険、死亡退職金の非課税枠の計算で、法定相続人にカウントできるのは被相続人に実子がいる場合は一人まで、実子がいない場合でも二人までしかカウントすることができません。

3-2.「孫養子」は2割加算の対象になる

被相続人が自分の孫を養子にする場合、その者を「孫養子」と表現します。孫でありながら法律上は養子として「子」の身分も有することになります。

ここで、被相続人とごく近しい「配偶者」と「一親等の血族(代襲相続人含む)」以外の者は、相続税の税額に二割が加算されるという相続税独特の制度があるのですが、この制度と孫の関係で注意すべき点があります。

まず、孫は二親等ですから、基本的には二割加算の対象になります。

孫を養子にすれば一親等の「子」となるので本来は二割加算の対象から外れることになりますが、相続税法上でこの原則を修正し、孫養子は原則として相続税の二割加算の対象者として扱われてしまいます。

ただし、相続の際に孫養子の親が死亡しているなどで代襲相続人となれる場合は二割加算の対象から外れることができます。

3-3.相続分や遺留分に関連するトラブル発生の可能性

養子を迎えることは基礎控除や非課税枠を増やす作用があることから、相続全体を見れば税負担を軽減してくれます。しかし複数相続人がいる場合、各相続人の思惑は少し違うことがあります。

養子が増える分、各相続人の取り分は減少することになりますから、これを良く思わない相続人もいるかもしれません。

特に相続人予定者に無断で、あるいは秘密にして養子を迎えた場合は後で相続トラブルの火種になる可能性があります。 また養子は遺留分も獲得することができますから、逆に他の相続人の遺留分は減少することになります。 こうしたことから、実子と養子の間でいがみ合いにつながる危険もあります。

3-4.利益相反の問題

孫養子を迎えた場合、その親が生存していれば孫養子と一緒に相続人となります。

この時、孫養子が未成年である場合は、遺産分割協議で自らが有効な法律行為ができないため協議に参加することができません。子の代理権を持つ親も、相続では同じ相続人としての立場となるため、利益相反行為となり代理ができません。

この場合は、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければならなくなります。

3-5.税務署に否認される可能性もある

養子縁組制度は本来、子どもが望めない家庭などのため、血縁関係を超えて家族になりたいという願いを叶えるための制度です。

相続税の分野では節税効果があるのは事実なのですが、節税目的のためだけにされた養子縁組は本来の制度趣旨にそぐわないことから、税務署に否認される可能性があります。つまり、狙った節税効果を得られないということになるわけです。

否認されるかどうかは個別ケースの事情を具体的に見て判断されることになりますが、例えば養子縁組の時期が相続の時期と近接していて、養子と養親の間には特に深い親交がないなどという場合は否認されやすくなります。

4.まとめ

今回は養子縁組と相続の関係を確認しながら、そのメリットや注意点について解説してきました。

節税面のメリットがあるものの、相続税法上で一定の制限がかけられていたり、注意を要するリスクやデメリットもあります。

思わぬ落とし穴にはまる危険もあるので、すでに養子縁組をしている場合はメリットを引き出しつつリスクを回避できるよう、一度は専門家にアドバイスを求めておくと良いでしょう。

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