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ーコラムー
相続税
税理士監修記事

相続の方法を検討する「熟慮期間」の計算と伸長方法

公開日:2018.4.2 更新日:2022.10.11

人が死亡して相続が起きた時、相続人となる遺族は深い悲しみに包まれます。同時に相続財産の分配・承継という一大事を処理しなければならなくなるため精神的負担も大きくなるでしょう。

この相続財産の分配・承継の対象には故人(被相続人)の借金などマイナスの財産も含まれるため、相続人には遺産を引き継ぐか、引き継がないかの選択の自由があります。その選択は慎重に行う必要があり、準備も必要です。

今回はそのための「熟慮期間」について解説します。

目次
1.「熟慮期間(じゅくりょきかん)」とは?
2.熟慮期間の間に何もしなかったら、何が起こってしまうのか?
3.熟慮期間の計算の仕方
  3.1.配偶者と子の熟慮期間
  3.2.直系尊属と兄弟姉妹の熟慮期間
4.熟慮期間を伸長するには?
5.まとめ

「熟慮期間(じゅくりょきかん)」とは?

「熟慮期間(じゅくりょきかん)」とは?

熟慮期間とは相続を単純承認するか相続放棄をするか、もしくは限定承認するかを考え、必要であればその手続きをすることができる期間のことをいいます。

民法の第915条にその定めがあり、これによると相続人は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三か月以内」に単純承認、限定承認、相続放棄のどれを選択するか決めなければならないことになっていますが、実際には選択するだけでなく必要な手続きをとることも含まれています。

 

そして、上記3か月という期間が熟慮期間を指します。

また利害関係人や検察官は、家庭裁判所にこの熟慮期間を伸長するための申立てができるとされています。

熟慮期間の間に何もしなかったら、何が起こってしまうのか?

法の条文上は前項の3つの選択肢のうちどの選択をするか決め、必要な手続きをとるようにとなっていますが、熟慮期間内に何もしなければ自動的に単純承認をしたとみなされるため、相続を承認する決意ができているのであれば特に手続きは不要です。


問題は限定承認や相続放棄が必要なケースで、熟慮期間内に家庭裁判所で所定の手続きをしないと単純承認したとみなされてしまうことになります。

この二つ選択肢が必要なケースというのは、故人(被相続人)の借金が明らかにプラスの財産より多い、あるいはその可能性があるわけですから、もし単純承認したとみなされてしまうと故人の借金返済の責任を負ってしまう可能性がでてくるわけです。

従って熟慮期間内に故人の財産調査を行い、マイナスの財産の額を調査し、その上で限定承認や相続放棄の必要性の有無を判定しなければならないのです。

さて、実際の相続手続き時にポイントとなってくるのが「熟慮期間の計算の仕方」です。計算方法は「相続人が誰になるのか」で変わってくるため、自分がどのように相続に関わることになるのかを正確に把握しておかねばなりません。

熟慮期間がいつからいつまでなのかを意識して手続きを進めねばなりませんが、期間のはじまりがいつか、ということを間違いなく把握することが重要です。詳しく見ていきましょう。

熟慮期間の計算の仕方

>熟慮期間の計算の仕方

熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時から三か月以内」ですが、この期間の始期が具体的にいつなのかが問題になる時があります。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」というのは、「自分が相続人としての地位を持つことを知った日」です。


少し細かい話になりますが、この概念は相続人が誰になるのかによって変わってきます。

■まず、「配偶者」と優先順位が第一順位である「子」は生きていれば必ず相続人になるわけですから、この二者は「被相続人の死亡を知った日」が始期になります。

■しかし第二順位の直系尊属第三順位の兄弟姉妹の場合、前者であれば「子」、後者であれば「子」及び「直系尊属」という先順位の相続人の存在がありますから、被相続人の死亡を知ったからといって必ずしもすぐに相続人になれるわけではありません。

■先順位者がいればその者が相続放棄をするなどして初めて相続権を得ることになるので、直系尊属や兄弟姉妹は「先順位者に相続権が無くなり自分に相続権があることを知った日」がすなわち「自分が相続人としての地位を持つことを知った日」となるわけです。


先順位者が相続放棄したかどうかを後順位者に通知するシステムはないので、その事実を知るタイミングはもっと後にずれるということになります。

先順位者に相続権が無くなる場面としては、相続放棄の他に相続欠格や相続廃除などがあり代襲相続人がいないースも入ってきます。

もし先順位の相続人がいないのであれば、被相続人の死亡と先順位者の相続人がいないことを知った日が始期となります。

なお実際の計算上、起算日は民法第140条の定めにより熟慮期間の初日に原則としてカウントしないので、その翌日から3か月間ということになります。まとめると以下のようになります。

①配偶者と子の熟慮期間

被相続人の死亡を知った日の翌日から3か月間

例えば被相続人の死亡を知った日が3/15だったとしたら、翌日3/16起算で6/15の終了時までとなります。

②直系尊属と兄弟姉妹の熟慮期間

先順位者に相続権が無くなり自分に相続権があることを知った日」の翌日から3か月間

先順位者に相続権が無くなり自分に相続権があることを知った日が例えば4/10だったとしたら、翌日4/11起算で7/10の終了時までとなります。

熟慮期間を伸長するには?

熟慮期間は家庭裁判所に申立てを行い、認められれば伸長することができます。

ただし、相続財産が多い、財産構成が複雑であるなど財産調査に時間がかかる場合や、相続人が遠方にいて判断のための準備に時間がかかるなど、裁判所を納得させるだけの理由が無ければ認めてもらえません。

できるだけ原則通りの熟慮期間内に判断ができるよう、スピード感を持って動くことが大切です。

まとめ

今回は相続発生時に単純承認限定承認相続放棄どれを選ぶのか考えることができる「熟慮期間」について見てきました。

これは多額の借金を相続してしまわないよう、熟慮期間内に財産調査を行い相続することの安全性を確認するために用意されている期間といえます。

この熟慮期間は相続人の種類によって期間の始期が変わるので、自分が相続人となる可能性のある事案ではいつから熟慮期間が進行するのか意識して考えるようにしましょう。

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